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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:赤単アグロに加わった犬とクセ(スタンダード)

岩SHOW

 ヘイヘイ、クールなマジックライフ過ごしてるかい? 金曜日のお約束、クールなデッキを紹介する当コラムの始まりだ。

 派手で誰もが振りむくようなものをクールに感じること、誰もがあることだ。それを経て、今度はシブくマニアしか見向きしないようなものをクールに感じること、これもあることだ。

 僕はプロレス観戦が趣味のひとつなのだが、最初は派手な飛び技やデンジャラスな投げ技を連発する選手を好きになったものだ。そこからシブく玄人受けする試合運び、極め技を得意とする選手こそクールだと思うようになった。それらのプロセスを経過して今現在、誰が見ても凄いとわかる派手な選手も、一見すごさが伝わらないシブい選手も、どっちもクールで最高だ!と思うようになった。

 マジックに対しても同じような感覚になってきた。大人気なデッキも良し、ユーザーの少ないマニアックなデッキも良し。全てをクールと思えるプレイヤーになりたいな。

 ということで今日のデッキは……どちらかといえばシブいデッキであるこちら!

BrewLab - 「赤単アグロ」
スタンダード(BO1) (2022年5月22日)[MO] [ARENA]
16 《
2 《バグベアの居住地
2 《反逆のるつぼ、霜剣山
-土地(20)-

4 《黄金犬
4 《鉄の弟子
4 《兎電池
4 《大峨頭の兜
4 《継ぎ接ぎ自動機械
4 《暴走ごみ収集ボット
4 《双弾の狙撃手
-クリーチャー(28)-
4 《熊野と渇苛斬の対峙
4 《盗み癖
4 《電圧のうねり
-呪文(12)-

 

このクールなデッキは?

 スタンダード、MTGアリーナのBO1イベントで7勝2敗のリストだ。

 ザックリ分類するなら「赤単アグロ」となるね。赤という色は伝統的にマナ総量の軽い1~2マナ圏に優秀なクリーチャーが揃っている。使用者の名から「スライ」と呼ばれ愛されたデッキがあったように、長きに渡って赤いアグロデッキは組まれ続けている。

 最近ではカードデザインの傾向がプレイヤー本体とクリーチャーの両方にダメージを与えられる呪文を極力作らない傾向にあるようで、以前のように《稲妻》や《黒焦げ》のようなダメージ呪文を投げつけるのを主としたデッキは組みにくくなっている。

 しかしながら速攻や威迫など攻めるための能力に恵まれたクリーチャーはむしろ強くなっているとも言える。赤単はまだまだ、まだまだ組まれ続ける。そんなことを再認識させてくれるクールなリストだ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:Treasure Dog

 このリストはただのアグロというわけではなく、テーマを持っている。アーティファクトだ。

 『神河:輝ける世界』のリリースにより組まれるようになったデッキだね。《兎電池》《大峨頭の兜》などの「換装」能力持ちが出たこと、そしてアーティファクト呪文を唱えることでサイズアップする《継ぎ接ぎ自動機械》がそれらと組み合わさることで、早いターンから強い盤面を作ることが可能となって成立したアグロの新しい選択肢である。

 と、そこまでは良いが、果たしてこのデッキは『ニューカペナの街角』で新戦力を得ることができたのか。ニューカペナは3色の一家をメインテーマとした多色セットである。レアの大部分は派手な多色カードが占めている。赤単色でアグロデッキに新加入するようなカードは果たして……

 ……あった!あったよ! このセットでは多色デッキを支えるためのマナサポートとして、「宝物」とそれに関するカードも小テーマを担っている。その宝物でありながらトークンではなく、しかもクリーチャーであるのが《黄金犬》。

 他の宝物と同じく生け贄に捧げて好きなマナを捻出できるのはもちろんだが、1マナ1/1で威迫と先制攻撃という2つのキーワード能力を持っている点が実は結構ハイスペックなクリーチャーだ。

 アーティファクトであるので前述の《継ぎ接ぎ自動機械》を強化する役を担うし、赤単の大きな強みである《熊野と渇苛斬の対峙》で+1/+1カウンターを置いたり換装持ちを装備させたりしてパワーを上昇させればかなりブロックしにくい攻撃役としても機能する。

 このリストにはかなり珍しいカードである《暴走ごみ収集ボット》も採用されている。

 墓地のアーティファクトとエンチャント分のパワーを持つこのボット、これのパワーを上げることになるので宝物として使い捨てのマナとして消費しても大丈夫ってことなんだな。こういう細やかな心配りの行き届いた構築こそ、アグロデッキには重要なクールポイントだ。

クールポイントその2:Sticky Fingers

 ニューカペナからはもう1枚新戦力が加わっている。《盗み癖》だ。

 このオーラを付けたクリーチャーには3つのボーナスがもたらされる。

  1. 威迫
  2. 攻撃が対戦相手に通ったら宝物生成
  3. これがつけられたクリーチャーが死亡すると1枚ドロー

 どれもアグロデッキにおいては嬉しい特典だ。威迫を与えるのは特に《継ぎ接ぎ自動機械》と好相性。高い打点と護法による除去耐性は持つものの、ちっぽけなトークンでブロックされて時間稼ぎされてしまうのが自動機械の弱点。これを威迫はきっちりカバーしてくれるってわけだな。

 2番目の能力、マナ加速はアグロデッキ的にはそれほど重要なことではないが、それでもタダでもらえるものはありがたく受け取るのがクールなプレイヤーの嗜み。《バグベアの居住地》の起動コスト、また《電圧のうねり》の追加コストなどに充てて有効活用だ。

 3番目はオーラというカードの弱点を埋めてくれるクールな保険だ。オーラがつけられたクリーチャーを除去された時、カード2枚を失うことになる。1枚の除去呪文で処理された場合は1対2交換。ただでさえアグロデッキは1枚のカードを2枚以上に増やす術を持たないので、こういった差をつけられると取り返しのつかないことになることも。

 その点《盗み癖》はノーリスクみたいなものなので、威迫を付けたいクリーチャーに躊躇なく貼り付けてダメージを叩き込むべし!

さらなるクールのために

 BO1仕様といえどポテンシャルは感じるデッキ、なのでサイドボードも用意してBO3で戦えるようにしてみたいね。

 《削剥》《勝負服纏い、チャンドラ》などのお決まりのカードはもちろんのこと、今のスタンダードであれば《炎恵みの稲妻》もクールなカードになりそうだ。

 《しつこい負け犬》対策ね。あとは《食肉鉤虐殺事件》のようなカードに対抗するために《乱動する渦》もしっかりとっておくのがクールな勝利の秘訣になるか。

クールなまとめ

 3色推しセットの『ニューカペナの街角』、されど新戦力はそれだけにあらず。シブい単色コモンがクールなデッキをこっそり強化していたりするのだ。リミテッドで「このコモン強いな」と感じるものがあったら、構築で試す価値はあるぞ。

 では今週はここまで。Stay cool! Treasure is here!

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