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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
見事な再生コンボ:今日のマジック用語「フェッチランド」(スタンダード)
今日は皆さんにこのマジック用語を覚えて帰っていただきます! 不定期にやっているシリーズ、今回はこれ。「フェッチランド」!!!
「ランド」というだけあって土地のことである。フェッチ/Fetchとは人の心を捕らえたり魅了するという意味の他に「取ってくる」や「引き出す」という意味も持つ。「取ってくる土地」ということで、これはカードの挙動そのものを示している。
『ミラージュ』の《氾濫原》など、2種類の基本土地タイプどちらかを持つ土地をライブラリーから探してきて戦場に出す5種類のサイクルが初出だ。
それ自身がマナを生み出すわけではないが、2色以上のデッキにおいてその時に欲しいマナを得られるようにする多色土地として機能する。
『オンスロート』にて持ってきた土地をアンタップ状態で戦場に出せる《汚染された三角州》など5枚のサイクルが到来してからこのフェッチの時代は本格始動。
基本土地だけでなくそのタイプを持った《Tropical Island》や《血の墓所》などの土地もフェッチしてくることが可能なため、さまざまなフォーマットにてマナ基盤を強化した。
そしてこれはただの土地ではなく、たとえば《渦まく知識》でライブラリーに戻したカードを引かないようにシャッフルしたり、墓地のカードが増えるので《宝船の巡航》などの墓地利用カードのサポートをしたり……とにかく便利な土地なため、世界中のプレイヤーから愛されている。
フェッチランドはリミテッドの多色デッキを成立させる役目も兼ねていたりする。《進化する未開地》はその定番だね。
『ニューカペナの街角』では3種類の基本土地をフェッチしてくる《常夜会一家の店先》などのサイクルが登場。
一家を司る3色の土地を引っ張ってきて、戦場に出す時はタップ状態ではあるが1点のライフのオマケをつけてくれる。
今回の新フェッチの新しいところは、戦場に出た時に自動的に生け贄に捧げられるというところかな。オートフェッチとでも呼ぼうか、利点としては《エメリアのアルコン》のようなカードでテンポを大幅に削がれることがないところが挙げられるかな? いつか今回とは異なる3色の組み合わせのバージョンが登場するのだろうなぁ。
で、そのオートフェッチ。基本土地しか持ってこれない&土地はタップ状態で出るというのが構築フォーマットではどうしても脚を引っ張る要素となるので、できれば他の多色土地を使いたいところ。コモンだし、十分やっている方ではあるよなぁ、こればっかりは仕方ない……なんて思っていないか?
なんと今、スタンダードでこれら一家の土地を大量に採用したデッキが…!?
5 《冠雪の森》 4 《冠雪の島》 6 《冠雪の山》 4 《斡旋屋一家の潜伏先》 4 《舞台座一家の中庭》 4 《貴顕廊一家の劇場》 1 《天上都市、大田原》 -土地(28)- 4 《遺跡ガニ》 -クリーチャー(4)- |
4 《霜噛み》 4 《巧みな軍略》 2 《ジュワー島の撹乱》 3 《乱動の再成長》 3 《ヴァラクートの探検》 2 《弱者粉砕》 4 《凶兆の血の暴行》 4 《見事な再生》 2 《家の焼き払い》 -呪文(28)- |
1 《耐え抜くもの、母聖樹》 3 《墓所の門番》 4 《山火事の精霊》 3 《否認》 3 《轟く叱責》 1 《記憶の氾濫》 -サイドボード(15)- |
フォーマットはスタンダード。赤緑青の3色を用いたデッキだが……リストに輝く一家の名前。《貴顕廊一家の劇場》《舞台座一家の中庭》《斡旋屋一家の潜伏先》の3種類を採用。
これら12枚のフェッチからアクセスするために基本土地も15枚と大ボリュームな構成が、スタンダードの他のデッキと一線を画す。というかそもそも土地の枚数が28枚、《ジュワー島の撹乱》もそう見なせば30枚とデッキの半分を占めている。
なぜこのような構築が施されているのか? 答えは《遺跡ガニ》《ヴァラクートの探検》などの上陸カード。
土地が戦場に出ることで誘発する能力を持つため、フェッチはそれ1枚で2回分の上陸となる。6枚切削したり2枚追放して唱えられるようにしたりと、その効果は絶大だ。
……というだけではこれらの土地をデッキの主役とするのには、ちとパンチが弱い。フェッチであること、それが複数枚新たにやって来たこと、それがこのタイミングでこの新たな上陸デッキが組まれた理由であり、そしてあふれんばかりの魅力なのだ。
フェッチランドは生け贄に捧げられる、つまりは墓地に落ちる。12枚もの枚数を採用しているのだから、ゲーム中にこれにより墓地に落ちる土地は1枚や2枚では済まないだろう。そこで用いるのが《見事な再生》!
これで墓地からフェッチを戦場に戻し、そして即座に生け贄に捧げられてライブラリーから新たな基本土地が戦場に出る。一体これでどれだけの回数上陸が誘発するのか、考えただけでも恐ろしい。《遺跡ガニ》でライブラリーを削り切る、あるいは《ヴァラクートの探検》で追放したカードをそのままにしてターンを終了して大ダメージで勝利。実にスタイリッシュで、対戦相手に決められても「見事!」と拍手してしまいそうなイカしたコンボである。
フェッチとともにこのコンボを後押しするのが墓地に土地を送り込む各カード。《巧みな軍略》でコンボに必要なパーツやクリーチャー除去を手に入れつつ土地を複数墓地に仕込む。
あるいは《凶兆の血の暴行》《乱動の再成長》のように自身の土地を戦場から墓地に送る手段も併用する。これらはマナ加速であり、上陸を誘発させ、そして《凶兆の血の暴行》はパーマネント除去でもあるのがよくできている。実に噛み合ったカードチョイス!
《見事な再生》を使ったコンボは、大量のフェッチランドを迎え入れたことにより以前よりもガチなデッキへと昇華したようだ。ぜひ、フェッチならではの大量上陸の爽快感を味わってほしいね。
コモンといえど侮るなかれ、フェッチなど特殊な挙動を行う土地を見かけたらそれは構築で活躍するチャンスが大ありなのだ。
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