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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

《照光の巨匠》デッキと二段攻撃の歴史(スタンダード)

岩SHOW

 『ニューカペナの街角』のリミテッドでは《舞台座一家の新入り》を使うのにちょっとハマっちゃったね。

 1マナのクリーチャーというのは当たり前だがサイズが小さいものばかりで、リミテッドの肝である戦闘における貢献度は低い。戦場に出たところで大抵は2マナクリーチャーに立ちはだかられ、攻撃もできず使い捨てのブロックくらいしか出番がない……異常なまでに賞味期限が短いので、回避能力を持つものか戦闘に参加せずに仕事をするもの以外はデッキに入れたくないのが正直なところ。

 そんな中で《舞台座一家の新入り》は二段攻撃を得られるため、素のサイズは頼りなくとも戦闘においてなかなかの存在感を放ってくれる。インスタントやオーラ、+1/+1カウンターなどで強化してやることで、自分よりマナ総量がはるかに大きいクリーチャーを打ち倒してしまったり、対戦相手に致命的なダメージを与えたりと大活躍。

 特に《儀礼用シャベル》とは二段攻撃の最大の友であるトランプルを付与&市民であるため装備コストが{1}と素晴らしい相性を誇っており、この2枚だけでかなりのプレッシャーをかけられる。二段攻撃、やっぱり強えぇなぁ〜。

 二段攻撃の初出は『レギオン』。実に19年前のセットではあるが、初見時のインパクトは今でもありありと思い出せる。《尾根の頂の猛禽》は4マナ2/1とかなり貧弱ボディの持ち主であり、今見ると二段攻撃持ちとはいえアンコモンでこの性能というのは時代を感じるね。

 ニューカペナなら同じアンコモンで2マナ1/1の《照光の巨匠》がいるもんな。

 この巨匠、ただ二段攻撃を持つだけでなく自身のサイズを成長させる可能性も備えている。自分の呪文の対象となるたびに謀議することができるのだ。カードを1枚引いて1枚捨てる、手札入れ替えであるわけだが……そもそもこれを白単色のカードで行えるのがこれまでのカードにはできなかったことであり、『ニューカペナの街角』においてマジックはまた一段階進化したのだと実感する。

 そして謀議はただの手札入れ替えでなく、土地以外のカードを捨てればそれを行ったクリーチャーがサイズアップするという大きすぎるオマケ付き。不要な土地を捨てて有効なカードを探すか、盤面を強化するかという2択も発生するわけだ。うーんすげぇな巨匠。

 デカくなればなるほどに威力を増す二段攻撃、これは構築でも火を噴くレベルのカードであること間違いなし! というわけで、今回は『ニューカペナの街角』参入後のスタンダードにおける二段攻撃デッキを紹介だ!

lewk - 「ボロス・アグロ」
スタンダード(BO1) (2022年5月4日)[MO] [ARENA]
7 《
5 《平地
4 《日没の道
4 《針縁の小道
2 《バグベアの居住地
2 《フロスト・ドラゴンの洞窟

-土地(24)-

4 《照光の巨匠
4 《蜥蜴丸
4 《双刃の霊
4 《無謀な嵐探し
2 《不気味なくぐつ師

-クリーチャー(18)-
4 《祖先の怒り
4 《導きの声
4 《熊野と渇苛斬の対峙
3 《猛り狂い
2 《天使火の覚醒
1 《髑髏砕きの一撃

-呪文(18)-
1 《謹慎補講
1 《環境科学
1 《拡張解剖学
1 《墨獣召喚学
1 《スピリット召喚学
1 《歴史解明学
1 《マスコット展示会

-サイドボード(7)-
lewk氏のTwitter より引用)

 

 巨匠を謀議させるにはこれを対象に呪文を唱える。スタンダードにおいてうってつけの1枚が《天使火の覚醒》!

 サイズ2段階アップに加えて、警戒・トランプル・絆魂・破壊不能・速攻とキーワード能力のオンパレード! 除去やブロック、《放浪皇》など何も考えずに突っ込ませて、二段攻撃からの大ダメージ&大回復! 対戦相手とのライフに絶大なる差をつけて勝利をもぎ取る鬼の組み合わせだ。

 謀議によりカウンターがもう1個増えて威力上昇、さらに《天使火の覚醒》自体がフラッシュバック持ちなので謀議で捨ててもOKというのが噛み合いすぎている。この2枚を軸に組まれたのがこの赤白の二段攻撃デッキである!

 デッキを構成するのは巨匠以外の二段攻撃持ちと、そして覚醒以外のそれらを強化する手段だ。《蜥蜴丸》に《双刃の霊》、それぞれ自分以外のクリーチャーに二段攻撃を持たせる手段も兼ねているのがただの殴り要員ではないエラいヤツらだね。

回転

 《無謀な嵐探し》はパワー上昇と速攻付与で二段攻撃持ちからの突然大ダメージを演出。

回転

 《不気味なくぐつ師》はサイズを変更するという形で二段攻撃持ちを爆弾へと化けさせるので、対戦相手のダメージ計算とライフがガラガラと音を立てて崩すことになるだろう。

 このリストはBO1(1本勝負)用なのでサイドボードは7枚のみ用いることができる。ここを使わないデッキの方が圧倒的に多いが、このデッキは《導きの声》という《照光の巨匠》などを対象にする呪文があるので、60枚デッキに対して67枚デッキで勝負できるのは大きな強みになっている。

 これ1枚で1/1の巨匠が謀議も込みで3/3に→《拡張解剖学》でさらに6/6まで、警戒もついて二段攻撃でマックス12点!?……こいつはやべーなぁ。

 《祖先の怒り》や《熊野と渇苛斬の対峙》などなど、ただ強化するだけではないカードで構築されているので、この手の攻めるために手札を消費するデッキにありがちな息切れも緩和されている。これらを効率よく使いこなして、最速でライフを削り切れ!

回転

 『ニューカペナの街角』は派手な3色カードに目を奪われがちだが、単色にも《照光の巨匠》のような優秀なカードが含まれている。かなり奥が深く、強力なセットな気がして……今日もマジックをやりたい思いが止まらない! さあ、スタンダードでデッキを作ろうぜ!

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