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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
クローシス、グリクシス、貴顕廊……(過去のフォーマット&スタンダード)
魔除けサイクル。マジックにおいてかなり古い時代から存在するサイクルで、共通するのはいずれもインスタントであるということ。そして魔除けのテキストには複数の効果が書かれており、その中からモードを選択する形式の呪文である。
『ニューカペナの街角』では3色の魔除けが5種類登場。今回の3色の組み合わせでの魔除けは、実は第3世代になる。一家の名前が付いた今回の魔除け、そして『アラーラの断片』の断片名を冠する魔除け、そして初代は『プレーンシフト』のエルダー・ドラゴンの魔除け。同じ色の組み合わせでも実に20年以上の歴史があるのだ。
……自分で書いててマジかぁと、戸惑いを隠せない。初代3色魔除けを見て「すげー!」とか思ってたのが21年前って、なぁ(笑)。
当時1番人気だったのは《ドロマーの魔除け》。
確定の打ち消し呪文であり、ライフ回復や小粒の除去もできる便利さが今見ても素晴らしい。
個人的に好きだったのは《クローシスの魔除け》。
色合いがカッコいいし、魔除けを提示する《粛清するものクローシス》の手が何だかエイリアンっぽくて、そそるものがあったのだ。
ただ、この魔除けはわざわざこれを使わなくても、このカラーリングに《はね返り》や《終止》といったむちゃ強除去が揃っていたので……何とも言えないポジションな1枚だったなぁ。
それでも世界選手権の決勝ラウンドという最高の舞台で使用されてもいたので、派手さはなくともシブい魅力にあふれているカードに見えたものだ。そのリストというのがこちら。
8 《島》 4 《地底の大河》 4 《塩の湿地》 3 《シヴの浅瀬》 1 《硫黄泉》 3 《アーボーグの火山》 -土地(23)- 3 《冥界のスピリット》 -クリーチャー(3)- |
3 《選択》 2 《強迫》 4 《蓄積した知識》 4 《対抗呪文》 2 《サーボの網》 4 《蝕み》 2 《ウルザの激怒》 2 《クローシスの魔除け》 3 《嘘か真か》 2 《サーボの命令》 4 《火 // 氷》 2 《悪意 // 敵意》 -呪文(34)- |
3 《サーボの暗殺者》 3 《弱者の石》 2 《強迫》 2 《紅蓮地獄》 1 《テフェリーの反応》 2 《仕組まれた疫病》 2 《ロボトミー》 -サイドボード(15)- |
当時は「ネザーゴー・タッチ赤」みたいに呼ばれていた。今なら「グリクシス・コントロール」とまとめられそうだな。グリクシスという青黒赤の断片名が出るまでは、そういった3色の愛称はなかったからね。ゆえに「クローシス・コントロール」とかそういう風にも呼んでいたものだ。
「ネザー・ゴー」とは当時の青黒コントロールの最大手。ネザーとは《冥界のスピリット》のこと。
3マナ2/2と当時でも並みのスペックではあるが、この怪物は墓地にこれが唯一のクリーチャーとして存在する場合、マナなど不要で自動的に戦場に出てくるという、なかなかにとんでもない能力を持っている。
これを戦闘要員にして相手の攻撃をブロックしてしのぎ、盤面を支配すれば攻撃していく、という超ロングゲームを狙った戦術が「ネザー・ゴー」である。
ゴーとはターン終了を意味するかけ声であり、自分のターンに何もせずゴーを宣言するのが《対抗呪文》などインスタントで立ち回る当時のコントロールの基本だったことからこう呼ばれている。手札を8枚にしてわざとネザーを捨ててゴー宣言、これが必勝パターンだったわけだな。
《嘘か真か》で落とすのもむちゃ強で、当時はこのカードを撃たれたら5枚のカードをどう分けるかで悩んだなぁ(それが楽しかった)。
青黒のネザーに赤を足すことで《火 // 氷》《ウルザの激怒》といったダメージ呪文を扱えるようにしたものが上記のリスト。クリーチャーデッキ相手には除去になり、対同型などではゲームを1ターンでも早く終わらせる手段としてプレイヤーに撃ち込む飛び道具になる。
で、赤を足したので《クローシスの魔除け》を使っていると。戦い方もデッキリストのビジュアルも最高にカッコよくて、当時は心底憧れたデッキだったよ。
今回はこの古き良き時代を伝えて終わり……でも良いのだが、折角なのでこの2022年にグリクシスカラーの、否、クローシスカラーのネザーを蘇らせてみないか?という企画でやってみようと思い立った次第だ。
《クローシスの魔除け》の孫にあたる《貴顕廊一家の魔除け》を使いたいと思ってデッキを考えたところ、なんかネザーっぽいの組めそうだな、とね。
そのネザー感を味わわせてくれるのは《スカイクレイブの影》。
上陸により墓地から唱えられるこのクリーチャー、確かにしぶとくて強い1枚だが……ブロックできないコイツがコントロール向けかというと疑問の声も上がるかもしれない。
ただこれ1枚ではないのだよ、《貴顕廊一家の隆盛》と組み合わせて使うのだ!
墓地にあるインスタントやソーサリーを、それのコストに加えて追加でクリーチャー1体を生け贄に捧げることで唱えられてしまうという墓地再利用系エンチャントであるこの隆盛。そう、これで《スカイクレイブの影》を生け贄に捧げてアドバンテージを得ては上陸で戦場に戻す、というのを毎ターン繰り返して対戦相手と資源の差を拡げて勝利することを狙うコントロールを組むのだ!
というアイディアからこんなリストを考えてみた。
1 《島》 1 《沼》 1 《山》 3 《ザンダーの居室》 2 《難破船の湿地》 4 《清水の小道》 2 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 3 《憑依された峰》 2 《荒廃踏みの小道》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《天上都市、大田原》 -土地(25)- 4 《スカイクレイブの影》 2 《エイヴンの心臓刺し》 1 《妖艶な泥棒、コルメラ》 1 《蒐集家、ザンダー卿》 -クリーチャー(8)- |
1 《血の長の渇き》 3 《表現の反復》 2 《冥府の掌握》 2 《不憫な悲哀の行進》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《悪意の熟達》 1 《ハグラの噛み殺し》 1 《家の焼き払い》 1 《マグマ・オパス》 1 《不笑のソリン》 3 《染みついた耽溺》 3 《貴顕廊一家の隆盛》 3 《貴顕廊一家の魔除け》 2 《大勝ち》 1 《耳打ち》 -呪文(27)- |
新カードをかなりタップリ目に盛り込んでみた、ネザーデッキの2022年版の叩き台だ。
《表現の反復》など自身のターンで動くことも多いので「ゴー」デッキとは言えないが、《貴顕廊一家の隆盛》と《スカイクレイブの影》が回転しだすと……マジックやっている感が味わえる、気持ちの良いコントロール生活が送れるんじゃないかと、期待を込めて。
《貴顕廊一家の魔除け》は除去や欲しいカードを掘り当てる手段として用いつつ、ゲーム終盤に影で殴りだすような展開になれば隆盛から再利用し、3点ライフを吸い取る詰めの手段としてそのポテンシャルを最後まで味わい尽くそう!
クローシス、グリクシス、そして貴顕廊……姿かたち、名前は変われども、青黒赤の3色のカッコよさは変わらず。むしろ年月を重ねるにつれて深みが増していく、このカラーリングの妙味。懐かしのデッキを振り返りつつ、新しい時代を担うデッキを組む。それが僕たち構築好きプレイヤーの使命なのである。
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