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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
緑単信心:大量マナで圧勝! 光を放つ意外なチョイスも(パイオニア)
海の向こうでテーブルトップの競技マジックが動き始めた。
アメリカ各地にて「SCGCON」の開催が始まった。「SCG (StarCityGames)」といえばかつてSCG Openなる独自の賞金制トーナメントを開催し、アメリカ全土をツアー形式で周り、毎週末どこかで何らかのフォーマットの大規模トーナメントが開催されていたものだ。
あの雰囲気が帰ってくるのは、現地のプレイヤーにとってはもちろんのこと、世界中のプレイヤーにとっても喜ばしいことである。これが成功すれば、自国での同様イベントの復活にも少なからず繋がるはずである。
デカいホールで数百人、数千人が集まって紙のカードで楽しく真剣にマジックに取り組む……あの空気感、当時は慣れてしまっていたが、失われた今となっては本当に尊く価値のあるものだったのだなと強く実感する。
僕はプレイヤーとして参加することはもうなくて、ほぼスタッフとして携わる形だったけれども……お客さんとステージでマジックのお祭りをキャッキャと楽しむのは最高に楽しい時間だったなぁ。そんなことをSCGCON Indianapolisのデッキリストを眺めながら思い耽っていた。
それでは今回はそんな希望を抱かせる大会の結果から、パイオニアのトーナメントから上位入賞したリストを紹介だ!
8 《森》 4 《繁殖池》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(22)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《老樹林のトロール》 4 《茨の騎兵》 1 《生体性軟泥》 4 《大食のハイドラ》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(23)- |
3 《ニッサの誓い》 3 《収穫祭の襲撃》 3 《ビヒモスを招く者、キオーラ》 2 《アーク弓のレインジャー、ビビアン》 2 《世界を揺るがす者、ニッサ》 2 《怪物の代言者、ビビアン》 -呪文(15)- |
2 《セテッサの請願者》 1 《生体性軟泥》 1 《女王スズメバチ》 1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《ハイドロイド混成体》 3 《急速混成》 2 《墓掘りの檻》 4 《歪める嘆き》 -サイドボード(15)- |
パイオニア制定当初から人気デッキの1つである「緑単信心」だ。
自分がコントロールしているパーマネントの持つ、色マナシンボルの数を参照して何かを行う信心という概念。その中でも最強と呼べる存在が《ニクスの祭殿、ニクソス》!
信心をカウントしてその数だけその色マナを加えるという驚異のマナエンジンだ。
最序盤からパーマネントを並べて、信心により得たマナでデカくて色濃いパーマネントを展開、そこからさらにニクソスを爆発させて……という、高カロリーなパーマネントでの圧勝を狙うのがパイオニアの信心デッキ。
中でも緑はシンボルが濃く強いカードが多く、ニクソスと好相性のカードにも恵まれているため、信心=緑単というイメージも強い。
そして緑単と言っても、そこに赤や青を足している構築が主流だ。単色じゃできないことをカバーするという形だね。上記のリストも青を足すことでメインとサイドに良いアクセントが加わっている。
デッキとしてはまず1ターン目、マナエルフからスタートを切るのがベスト。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》と8枚体制なのでかなりの確率で2ターン目に3マナが捻出可能になる。
そこからさらなるマナエルフを並べたり《ニッサの誓い》で後続を探したり。
あるいは攻めも守りも任せろ!な《老樹林のトロール》を投下したりなんかできれば、信心もゴリッと稼げて文句なしだ。
序盤から対戦相手とマナの格差を開き《茨の騎兵》などでそれをさらに押し広げる。
《世界を揺るがす者、ニッサ》も強烈なマナ加速であり、同時にクリーチャーを戦場に用意するフィニッシャーだ。土地がアンタップするのでニクソスをクリーチャー化させて……という具合に動ければもう唱えられないカードなんてないだろうなというぐらいマナが得られる。
同じく土地をアンタップする《ビヒモスを招く者、キオーラ》も素晴らしいマナ加速役であり、巨大生物が戦場に降臨する際にはドローももたらしてくれる、まさに「緑単信心」にうってつけの逸品となっている。
大量に得たマナからは得られるものは、緑らしくドでかいクリーチャー。《大食のハイドラ》《ハイドロイド混成体》のハイドラコンビはマナを注げば注ぐほどデカくなる。
大食の方は格闘で相手のクリーチャーを打ち倒す貴重な除去でもあるので、必要とあらば躊躇せずに使っていこう。
混成体は飛行で空から攻められる上にドローとライフまでもたらす。この手のデッキはマナが出るようになってヘビー級を出して攻勢に出る……という頃にはもうライフがすっからかんで間に合わないということがつきもの。その弱点を補うこのハイドラとクラゲのハイブリッド生物は青という色を足すのに十二分に見合う価値ある1枚だ。
同じくクリーチャー枠には《生体性軟泥》の姿も。
マナを支払いウーズを増やし、ターン終了時にそれらをまとめて強化。対処できなければゲームが終わる、じっくりと確実にプレッシャーを与えていくデザインがたまらないね。この辺のちょっと懐かしいクリーチャーがまだまだ現役で活躍しているのがパイオニアの魅力ってやつだなぁ。
クリーチャーやプレインズウォーカーをまとめて呼び出す《収穫祭の襲撃》、これのフラッシュバックもニクソスからのマナでガンガン狙っていきたいね。
最後にサイドボードをチェック。青を足したことで《急速混成》を搭載、1マナと軽いインスタントのクリーチャー除去だが……なぜこのチョイスなのか?
主な理由は《軍団のまとめ役、ウィノータ》への対抗策。出たターンにすぐさま機能し、即ゲームを終了させる爆発力を持ったウィノータを、攻撃宣言前になんとか処理する手段となっている。カエル・トカゲをあげてしまうことになるが、ただの3/3ならこのデッキからしたらかわいいものだ。
また《歪める嘆き》のチョイスも光る。
ソーサリーを打ち消すのがメインの狙いだが、それなら青が入っているし《否認》で良いのでは?と思ってしまうところ。なぜ、この無色のカードなのかというと……青いデッキが持つ打ち消しへのアンサー《神秘の論争》にひっかからないというのが利点になるからだな。{U}を出せる状態でコンボパーツなど重要なソーサリーを唱えてきた対戦相手の思惑を完全崩壊させる、イカしたチョイスだ。{C}もニクソスと《ヤヴィマヤの沿岸》から得られるので、青い打ち消しを構えるのと唱えるための難易度は変わらない。これをケアして相手が行動を遅らせてくるのであれば、思うつぼってやつだな。ついでに小さいクリーチャーへの除去という枠も兼ねるので、サイドのスロット節約にもなる。
いやぁこういうカッコいいデッキが飛び交うパイオニア、ぜひとも日本でも大規模トーナメントを開けるようにしたいところ。その日が来るのが今から楽しみで、活躍したメイドインジャパンなデッキリストをここで取り上げる日も待ち遠しいッ!
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