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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
没カードから神河の魂へ。香醍を使ったデッキ例(新スタンダード)
マジックはもう少しで生誕から30年。これだけの期間、もう「歴史」と表現しても何も大げさなことはないね。
それだけの長い歴史の中で、幾万のカードが製品化されてきたわけだが……僕らの知るそれらのカードと同じくらい、実際に製品にはならずに埋もれていったデザインというものも存在するってことを考えてみたことはあるかな?
ゴーサインが出たカードたちがアートを得て印刷され、パックに詰められる。デザイン・チームが思いついたカードの何割がそうやって現物のカードになって出回るのかはわからないが、それらの陰にはたくさんの没カードがいるものなのだ。
時たまそのようなカードが表に出てくることもある。『Mystery Booster』のように銀枠扱いで商品化されたり、開発関係者が記事などのコンテンツで公開したり……そういった没カードを見るのは結構楽しいので、皆も暇な時に検索して探してみてほしいね。
『神河:輝ける世界』で製品化されたあるカードも、実はそんな没カードの1つと関係があったりする。まずは没カードの紹介から。開発部のガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyによる『統率者レジェンズ』の没カード紹介動画(英語)にて登場した1枚だ。
〈Kyodai, Sister of Spirit〉
{5}{B}{B}
伝説のクリーチャー ― スピリット
4/4
絆魂、接死
あなたのターンの戦闘の開始時に、他の、あなたのコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それの上に神性カウンターを1個置く。それは破壊不能を得る。
共闘
Kyodaiとはかつて神河にて起こった《神の乱》の直接的な原因となった存在で、これは神河における最高神ともいえる存在・
彼女は《永岩城の君主、今田》によってさらわれており、《奪われし御物》としてもカード化されている。
ストーリーでは最終的に人間である《真実を求める者、今田魅知子》と協力し《復讐の神、大口縄》を撃退。彼の力とその役目を引き継ぐ存在となったという。人間と神は兄弟のようなもの、という意味を込められた名前なのかな。
漢字で書くと香醍となる。この字面、見覚えがあるかな? そう、『神河:輝ける世界』より登場した新カード《神河の魂、香醍》だ。
彼女が大口縄の力を引き継いでいるのは、5色のマナを注ぐとパワーアップすることで表現されているね。また、パーマネント1つに破壊不能を与えるのも《奪われし御物》や上記の没カードから発展した能力だね。
その神聖なる力であらゆるものを必ず守る、信頼できる守護者である香醍。今日は彼女をスタンダードで使うならどうするか? これについて考えてみよう。
とりあえず瞬速&破壊不能付与の能力で自己完結した感のある《神河の魂、香醍》。対戦相手が何かを破壊しようとするタイミングでシュッと飛び出てそれを護る。ゲーム中に最も破壊されるものであり、また護って嬉しいパーマネントとなると言うまでもなくクリーチャー。対戦相手の唱えた除去に対応して飛び出しても良いし、ブロック確定後に相討ちになるところを救ったりと、いろいろと計算を狂わせることが可能で、これで勝負がつくシーンも多々ありそうだ。
サブプランとしてクリーチャー・デッキにプレインズウォーカーを採用し、それを黒などの破壊する呪文から庇ってやるのも決まれば気分爽快だ。まあこの能力については特に考えなくても白いデッキに採用すればそれなりの活躍を見せてくれる。
このカードを最大限活かす構築を考えるのであれば、5色のマナを支払って+5/+5というでっかい修整を与えられるデッキにしたいところ。だからといってうーん5色デッキかぁと、そう考えるのは実はちょっと早計である。
香醍のタイプに注目したい。没カードではスピリットだったが、こちらはドラゴン・スピリット。大口縄の後を継いだという設定がしっかり反映されている。ドラゴンと言えば、現スタンダードではこの部族に関して色マナを供給する手段がいくつか用意されている。
その中でも《オーブ・オヴ・ドラゴンカインド》はまさにうってつけだ。
このアーティファクトは1マナを任意の色の組み合わせ2マナに変換する。このマナはドラゴンを唱えるか……ドラゴンの能力を起動するために使うことのみが可能となっている。
《オーブ・オヴ・ドラゴンカインド》はスタンダードやその他のフォーマットにおけるドラゴン・デッキを支えてくれる優秀なマナ加速としてかなり使われてはいたものの、これまでこの色マナを加える能力がドラゴンの能力起動に使われるというケースはほとんどのプレイヤーが体験していないのではないだろうか。十分な量のマナが得られるようになったら生け贄に捧げられていたオーブであるが、これからは香醍をパンプアップさせて大ダメージを弾き出すという新たな役目も担うことになるかも?
というわけで《オーブ・オヴ・ドラゴンカインド》、そして《神河の魂、香醍》を採用したドラゴン・デッキを作ってみることにしよう! ザックリ組んでみたリストは以下の通り。
2 《山》 2 《平地》 4 《日没の道》 4 《針縁の小道》 1 《落石の谷間》 1 《憑依された峰》 1 《嵐削りの海岸》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 4 《ドラゴンの女王の寺院》 -土地(20)- 3 《無私のパラディン、ナダール》 2 《月の帳の執政》 4 《黄金架のドラゴン》 2 《アダルト・ゴールド・ドラゴン》 1 《ヴェロマカス・ロアホールド》 1 《ティアマト》 3 《神河の魂、香醍》 2 《燃え立つ空、軋賜》 1 《夜明けの空、猗旺》 -クリーチャー(19)- |
2 《棘平原の危険》 4 《ドラゴンの火》 4 《オーブ・オヴ・ドラゴンカインド》 2 《削剥》 1 《天使火の覚醒》 1 《ドラゴンの介入》 4 《髑髏砕きの一撃》 3 《冥途灯りの行進》 -呪文(21)- |
2 《パラディン・クラス》 2 《ポータブル・ホール》 2 《燃えがら地獄》 2 《勇敢な姿勢》 1 《ドラゴンの介入》 2 《孤独な鍛錬》 1 《冥途灯りの行進》 1 《地震波》 2 《獅子の飾緒》 -サイドボード(15)- |
香醍以外にも《燃え立つ空、軋賜》《夜明けの空、猗旺》など新ドラゴンを採用した、赤白をベースにした5色ドラゴン!
ドラゴンを多く採用することで《ドラゴンの女王の寺院》も機能するようになる。
これと赤絡みの2色土地、《黄金架のドラゴン》などで得た宝物にそしてオーブとで、香醍のパンプを起動して勝負を決める。
また、せっかく5色揃うのであればと《ティアマト》にも参戦してもらうことにした。ドラゴン5枚ドロー、スタンダードでバシッと決めてみたいね。
神河の新カードは除去や墓地対策、アドバンテージを得られるものなど軽量コストで優秀なものが揃っており、そういったカードも積極的に採用してみた。
個人的には《孤独な鍛錬》には期待している。
ライブラリーを追放して期限付きで唱えられる、衝動的ドローと呼ばれるアドバンテージが得られるエンチャントだ。2マナと軽い上にクリーチャーでの単騎攻撃だけで条件を満たせるので、序盤からガンガンこれで追加ドローを得ているような状況を作れるのではないかな。対コントロールデッキなど、そもそも盤面にクリーチャーをあまり並べずに手札に一定数温存しておきたいゲームにおいては輝く1枚になりそうな予感。
今回はスタンダードで「赤白ドラゴン(5色)」の構築にチャレンジしてみた。没カードとなったKyodaiは《神河の魂、香醍》としてカード化された。デザイン・チームがよりキャラクターにマッチした1枚を送り出した今、彼女を活躍させるのは我々プレイヤーの役目。このデッキはアルケミーのドラゴン・デッキにも簡単にスイッチできるので、そちらに組み替えて遊んでみるという手もある。
誰かの何かの参考になり、香醍が戦場で輝きを放てば幸いだ。さあ、デッキを組んでみようぜ。
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