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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

このタイミングで新機軸? マルドゥ・ホーンティング!(スタンダード)

岩SHOW

 すっかり新セットの情報に注目してしまう時期がやってきた。次は神河ということもあって、いつも以上にそのムードが高まってくるよね。

 で、こういう現行セットの末期というタイミングは、どうしてもスタンダードの注目度は下がってしまいがちである。十分な時間が経過し、各セットのカードの強さやそれらの組み合わせがもたらす化学反応は研究され尽くし、目新しいデッキというものが出てくることがなくなるからだ。時間の流れには逆らえないからなぁ、こればっかりはしょうがない。

 逆に末期の煮詰まったスタンダード、奇抜なデッキチョイスや新しい発明で勝利するのではなくやり込んだデッキでのプレイングでがっぷりぶつかり合うというのが好きなプレイヤーも珍しくない。

 そんなわけでこの時期はスタンダードのデッキを取り上げることは減ってしまうのだが……今回は例外だ。なんとこのド末期に、スタンダードに新しいアプローチのデッキが登場した。

 そんなわけで焦らさず早速リストを見てみよう!

The MTG Hero - 「マルドゥ・ホーンティング」
スタンダード (2022年1月15日)[MO] [ARENA]
2 《平地
1 《
4 《砕かれた聖域
4 《陽光昇りの小道
2 《日没の道
4 《針縁の小道
2 《憑依された峰
4 《荒廃踏みの小道

-土地(23)-

3 《ドーンハルトの殉教者、カティルダ
3 《月恵みのクレリック

-クリーチャー(6)-
4 《石成の荒廃
4 《厄害のルーン
4 《速度のルーン
4 《持続のルーン
2 《監禁の円環
2 《仮初めの時間
4 《神聖なる憑依
4 《スカルドの決戦
3 《食肉鉤虐殺事件

-呪文(31)-
4 《蝋燭罠
3 《パラディン・クラス
2 《監禁の円環
4 《ヴァラクートの探検
2 《仮初めの時間

-サイドボード(15)-
MTG Arena Zone より引用)

 

 これは……土地、クリーチャー、そしてエンチャント!

 おびただしいエンチャントで構成されていることで、これがテーマだというのがよくわかる。イニストラード系セットでは呪いや降霊など、エンチャント・カードが豊富。それとシナジーを形成するカードも取り揃えられているので、エンチャントをメインテーマにしたデッキは組もうと思えば組める。むしろ今日まであまり表に出てこなかったことの方が不思議かも?

 というわけで「マルドゥ・ホーンティング」の登場だ。ホーンティング/Hauntingとは英語で「憑依」のこと。すなわち、デッキのキーカードである《神聖なる憑依》のことだ。

 エンチャントを唱えればスピリットを生成、このスピリットは同種族の数をカウントしその数に等しいパワー/タフネスになる。エンチャントを唱えて唱えて、どんどんスピリットを戦場に送りだせば数もサイズもえらいことになってしまう。

 さらにエンチャントの数が7を超えると飛行と警戒も付与。どんなクリーチャーデッキとも殴り合える、不滅の霊魂軍団を結成しようというロマンあふれる神話レアだ。《神聖なる憑依》の持つ価値を最大限に引き出すため、このような尖ったバランスの構成に至ったというわけだね。

 また憑依とともにエンチャントを打点に変換するカードとして《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》も用いる。

回転

 彼女はエンチャントの数に等しいパワー/タフネスに飛行と絆魂というこれまた殴り合いどんとこいなガッツあふれる仕様。またスピリットでもあるので、憑依から湧いてきた面々を強化する役目も兼ねていると言える。

 彼女のサイズはエンチャントだけでなくスピリットもカウントするので、これらはばっちり共生関係と言えるね。破壊や生け贄などという形で除去されたら、墓地から降霊で彼女と同じ能力を与えるオーラになる。スピリットに対して降霊するというのはなんともシュールだが、ある種の除去耐性があるのはありがたい。

 憑依とカティルダ、二大巨塔を活かすにはとにかくエンチャントを詰め込んだデッキにする必要がある。そこでこのデッキが出したアンサーが……「ルーン」の採用だ。

 ルーンはそれがつけられたパーマネントに、戦闘に関するキーワード能力を与える。クリーチャーか装備品に付けることで真価を発揮するのだが、実はルーンをつけるパーマネントのタイプには制限がない。つまり、土地にだってつけられる。

 というわけで序盤はルーンをとにかく土地に貼っていく、そんなゲーム展開になることだろう。絆魂や速攻を与えることに意味はないが、ドローができるので手札が減らない。これで土地やその他必要なカードを引き込む、いわゆるデッキ圧縮の役目を担っている。

 そして同時に、《神聖なる憑依》&《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》のエンチャント・カウントを増やすといういぶし銀の仕事ぶりを見せてくれる。

 もちろん憑依やカティルダが機能し始めたら、これらのスピリットに能力を与えて戦闘を有利に進める、本来の使い方をしても良し。

 ルーンと同じく土地に付けられる《石成の荒廃》は3色である自デッキのマナ基盤のサポートとしても使えるし、クリーチャー化する各土地への除去的な役割も担う。

 特にカティルダの降霊を防ぐ《目玉の暴君の住処》は許しちゃいけない、全力で阻止しつつドローでライブラリーを掘り進み、勝利へと向かうキーカードを引き込むべし!

 まさかまさかの環境末期にエンチャントをテーマとした目新しいデッキに遭遇するとは。しかもルーンの使い方が固定観念から逸脱した新しい世界観! こりゃあカッコいいよなぁ、やっぱりデッキ構築は諦めないと何かが生み出される。そんなことを再確認させてくれる、良いリストだったなぁ。

 皆も環境末期だからこそ新しいアプローチ、狙っていくのを意識するとマジックがより楽しめるかも? やってみようぜ! もちろん神河産のエンチャントも要チェックだ!

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