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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:ジャンド・ゴブリン~つながるデッキ、今昔~(モダン)
お待たせしました、2022年。Cool Deck初めじゃァァァッッ!
毎週月曜日から金曜日まで更新される当コラム、デイリー・デッキ。トリを務める金曜日は、僕が個人的に「これはクールだなぁ」と感じたデッキをお届けする「今週のCool Deck」という形でやらせてもらっている。
昨年2021年はクールの大豊作だった。マジックのクールさは年月を重ねるごとに加速していっている。つまりは2022年、このゾロ目であるクールな1年間は桁違いにクールなデッキたちが飛び出す、クール元年になる可能性があるッ!
見逃すな、その目と脳に焼き付けろ。クールなデッキたちの登場だ!
2 《山》 1 《沼》 1 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《草むした墓》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 4 《婆のあばら家》 2 《偶像の石塚》 4 《魂の洞窟》 1 《手付かずの領土》 -土地(23)- 4 《下賤の教主》 1 《スカークの探鉱者》 4 《人目を引く詮索者》 4 《飛び道具の達人》 2 《モグの戦争司令官》 1 《雄叫ぶゴブリン》 1 《ゴブリンのクレーター掘り》 4 《ゴブリンの女看守》 3 《ボガートの先触れ》 1 《パシャリク・モンス》 3 《投石攻撃の副官》 1 《ゴブリンの首謀者》 2 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(31)- |
3 《霊気の薬瓶》 2 《英雄たちの送り火》 1 《総帥の召集》 -呪文(6)- |
1 《飢餓の潮流、グリスト》 1 《仮面の蛮人》 2 《思考囲い》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《ガイアの祝福》 2 《血染めの月》 1 《屍呆症》 1 《激しい恐怖》 3 《虚空の力線》 2 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
というわけで2022年一発目のデッキはこのモダンの「ジャンド(赤黒緑)ゴブリン」。2022年に開催されたオンラインのトーナメントで上位入賞したリストだ。お正月からやる気満々、クールガイズだなぁ。
モダンという、好きなことやっちゃいなよ環境において、ゴブリンというデッキは「部族デッキで1枚挿しでデッキの引き出しを増やせる、遊び心あふれるチョイス」「マナ加速からの瞬殺コンボという手堅く勝てるチョイス」という2つの要素を併せ持っていてクールと言えよう。
まずはその手堅い強さから分析しよう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:アメージング2021
昨年、2021年はゴブリンにとって得るものの大きな1年だった。秋・冬のセットは舞台がイニストラードなのもあって、デビルにその枠を取られて新規カードは0。しかしながらその穴を埋めんとばかりに『モダンホライゾン2』では主要部族として取り上げられ、赤と黒、そして緑にクールなカードがたっぷりと追加された。
中でも注目は《下賤の教主》。
これまでのゴブリンにはなかった、生け贄などを要求しないデメリットなしの純粋なマナクリーチャーだ。これと《霊気の薬瓶》で展開を大きく加速する。モダンの他のデッキにも引けを取らないスピードをゴブリンは手に入れた。
他にも《飛び道具の達人》は除去として、他のクリーチャーデッキと戦う際に重宝する。
そして《投石攻撃の副官》。ゴブリンを生け贄に捧げてライフを1点吸い取る、ゲームを終わらせるメインフィニッシャーだ。
真面目にゴブリンを並べても十分機能するが、コンボのシメとして用いるのがクールだ。《人目を引く詮索者》がいる状況で《ボガートの先触れ》でライブラリーの一番上に《鏡割りのキキジキ》を置く。
詮索者がキキジキの能力を得て、自身の能力で自身を対象にしてコピーを生成。コピーもまた詮索者を対象にしてコピーがコピーを生む……無数のトークンを並べたら最後のコピーは先触れに。これで副官をトップに置いて、あふれるトークンを生け贄に捧げて相手のライフを吸い尽くす。
このコンボは2021年から決められるようになり、モダンのゴブリンに一級品の武器を授けた。《罠の橋》などで攻撃できない状況を作られても勝てるようになったゴブリン、これが手堅いクールな強さだ。《英雄たちの送り火》でコンボパーツが揃えやすいのもGreat。
クールポイントその2:総帥の記憶
そしてこのリストがクールだと思った最大のポイントは、掲載サイトに表記されたデッキ名が「Jund Goblin Bidding」だという点。Biddingとはなんのことか? これはメインデッキに1枚仕込まれた隠し技《総帥の召集》の英名Patriarch's Biddingから。
クリーチャー・タイプを指定し、それをすべて墓地から戦場に出すという変則リアニメイト(復活)呪文である《総帥の召集》で、ゴブリンが破壊されようが捨てさせられようが打ち消されようが、すべてまとめて再出撃させて勝負を決めるというわけだ。
実は召集とゴブリンの関係というのは、今に始まったことじゃない。《総帥の召集》の初出、『オンスロート』ブロック時代には既にこれを使って除去耐性を高めたゴブリンデッキが存在していた。その名もストレートに「ゴブリン召集」。
《スカークの探鉱者》《ゴブリンのそり乗り》《包囲攻撃の司令官》などゴブリンを生け贄に捧げる手段、そしてゴブリンの死亡=1点ダメージに変換する《ゴブリンの名手》。
これらでダメージを叩き出し、生け贄となったゴブリンを墓地から戻してさらにダメージを重ねるという、コンボデッキ的な動きが可能になる。これに《頭蓋骨絞め》が加わるともう、鬼だったね。
そんな「ゴブリン召集」のバリエーションの中でも、個人的にたまらなくクールに感じたのが「Death Goblin Wish」だ。
4 《山》 2 《沼》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《硫黄泉》 4 《シャドーブラッドの尾根》 4 《リシャーダの港》 -土地(22)- 4 《スカークの探鉱者》 3 《モグの狂信者》 4 《ゴブリンの群衆追い》 1 《火花鍛冶》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 1 《ゴブリンの名手》 4 《ゴブリンの首謀者》 1 《包囲攻撃の司令官》 -クリーチャー(26)- |
2 《金属モックス》 4 《陰謀団式療法》 4 《燃え立つ願い》 2 《生ける屍》 -呪文(12)- |
3 《強迫》 1 《再活性》 1 《チェイナーの布告》 1 《腐朽》 1 《紅蓮地獄》 1 《非業の死》 3 《頭蓋の摘出》 1 《苦悶の触手》 1 《落盤》 1 《総帥の召集》 1 《溶融》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
これがかつて存在したフォーマット、エクステンデッドで活躍した「Death Goblin Wish」。Wishの名の通りBurning Wish、《燃え立つ願い》を採用。《総帥の召集》はそのサーチ先としてサイドボードに潜ませてある。
その他にも《非業の死》《溶融》《腐朽》といった特定のデッキへのアンチカードを備えることで、状況に合わせて柔軟に戦えるようにデザインされている。
リアニメイトデッキに《再活性》を使って相手の仕込んだ大物を美味しくいただいたり、《苦悶の触手》で予想外の決着へと持っていったりと、ゲームごとに全く別のデッキのように立ち回れるのが本当にクールに見えたね。
そんなクールも、しっかりとデッキの土台あってこそ。《ゴブリンの戦長》を中心とし、《ゴブリンの群衆追い》での攻めや《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》のもたらすアドバンテージ、これら部族デッキとしての骨組みがあってこそ、Wish戦術というクールな肉を付けることが可能となるのだ。
過去のデッキながら、このリストから学べることは2022年の今なお多くあるように思うね。
クールなまとめ
マジックのデッキというものは、どれも過去とのつながりが見えるもの。最新のゴブリンからは18年前のリストが思い起こされた。これって、冷静に考えてむちゃくちゃクールなことだよね。今年も過去と現在がリンクする、デッキリストから得られる感動を楽しみにしている。
それでは今週はここまで。Stay cool!......あ、そういえば今回は連載1499回目。次回、お楽しみに。Go to the next level!!
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