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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
緑単アグロ:「ポスト戦車」と仔狼(アルケミー)
2021年も終わろうかという、師走のサプライズ。MTGアリーナに颯爽と現れた新フォーマット「アルケミー」。
そこでは現スタンダードをベースに、一部のカードを調整したもの、そしてアルケミー専用のカードが使用可能になっている。スタンダードで活躍できなかったカードにスポットがあたるチャンスと、新しいデジタルならではの挙動を行うカードを体験する機会が同時にやってくるという、アリーナに首ったけなプレイヤーにたまらないプレゼントになったことだろう。
突然始まった新環境ではあるが、スタンダードと地続きなのもあって、ある程度のカードのポテンシャルは計算できている状況下でのスタートになる。なので既存のデッキをベースに、調整されたカードを採用するか別の候補と入れ替えるか、あるいは新カードを取り入れるかという、一味違うデッキが環境初期には多く見られた。
まずはやっぱり……アグロでしょうと。クリーチャーを展開して攻めるアグロデッキは、新カードの恩恵を受けやすい。とりあえずクリーチャーを見て、その中から性能の良いヤツを選べば良いわけだからね。
そんなわけで今日はアグロの中から、直近のスタンダード大規模トーナメントであるイニストラード・チャンピオンシップでも活躍した「緑単アグロ」のアルケミー版を見てみよう!
21 《冠雪の森》 2 《不詳の安息地》 2 《ハイドラの巣》 -土地(25)- 3 《執拗な仔狼》 4 《隆盛な群れ率い》 4 《群れ率いの人狼》 2 《冬を彫る者》 4 《老樹林のトロール》 3 《ウルヴェンワルドの奇異》 1 《狼の先触れ》 1 《霊群れの頭目》 -クリーチャー(22)- |
1 《貪欲な追跡》 4 《吹雪の乱闘》 2 《蛇皮のヴェール》 3 《レンジャー・クラス》 2 《豊穣の碑文》 1 《不自然な成長》 -呪文(13)- |
2 《タジュールの荒廃刃》 1 《辺境地の罠外し》 3 《フロギーモス》 1 《蛇皮のヴェール》 3 《貪る触手》 2 《武器を選択せよ》 1 《直接射撃》 2 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの「緑単アグロ」の強みと言えば《老樹林のトロール》、そして《エシカの戦車》。前者はアルケミーでも変わらぬ姿だが、戦車の方はアルケミー用に調整されている。
4マナで猫が2体出てくる機体だったが、これが1体に減少。搭乗コストも減少しているのはプラスに働く調整だが、使い勝手が大きく変わったのは事実だ。
なのでこれを採用しないタイプの緑単が環境スタート時には多く見られることになった、戦車が抜けた4マナ域には《ウルヴェンワルドの奇異》という既存の強力アタッカーが存在しているので心配なしだ。
そしてこの緑の4マナという枠には、アルケミー印の新カードが2種類加入。このリストでは両者を1枚ずつ採用し、様子見している感じだね。
パワー5と優れたサイズに、死亡時に手札にパーマネントを抽出する能力を併せ持ち、切れ目ない攻めを継続させる《霊群れの頭目》。
そして4/4速攻・トランプルと奇異と変わらぬ超優秀なスペックで、予顕で唱えるとサイズアップするという選択肢も持った《狼の先触れ》だ。
どちらも見た目からして強く、デッキにマッチする1枚を決めるには実際にプレイしてみて確認するのが一番。個人的にはメインではいつ引いても嬉しい先触れ、サイド後には頼もしい頭目という感じで使い分けるのも良いのかもなと感じたね。
そしてその4マナ域よりもホットと言えるのが、新たな1マナ域。《執拗な仔狼》だ。
このカードはかなりすごい。1/2と本体は普通ながら、次の唱えるクリーチャーに+1/+1カウンターを置いて打点アップに貢献。さらにトランプルと警戒もカウンターで与えるので、相当に強いクリーチャーを生み出すことが可能となる。この能力はターンを跨いでも有効なので、1ターン目に仔狼→2ターン目に2マナのクリーチャーと動くだけで、対戦相手にとってかなりの脅威を展開できる。《群れ率いの人狼》が4/4警戒・トランプルになるなど、目玉が飛び出る超生物が誕生だ。
20 《冠雪の森》 2 《不詳の安息地》 1 《ハイドラの巣》 -土地(23)- 4 《執拗な仔狼》 4 《冬を彫る者》 4 《群れ率いの人狼》 1 《絡みつく花面晶体》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《老樹林のトロール》 4 《ウルヴェンワルドの奇異》 -クリーチャー(25)- |
2 《吹雪の乱闘》 4 《豊穣の碑文》 4 《レンジャー・クラス》 2 《野生の怒り、ガラク》 -呪文(12)- |
1 《内陸のシェフ》 3 《辺境地の罠外し》 2 《墓所のうろつくもの》 1 《秘密を知るもの、トスキ》 1 《フロギーモス》 4 《蛇皮のヴェール》 1 《吹雪の乱闘》 1 《貪る触手》 1 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
こちらはアルケミーリリース直後に僕が組んだリスト。《執拗な仔狼》の強さというか、理想のクリーチャーを生み出す楽しさにオールインという姿勢で構築してある。
何よりもやっぱり《カザンドゥのマンモス》!
これが素のサイズが4/4になって、警戒とトランプルを持つなんて……最強すぎるぜ。適当なトークンなどでしのがれるマンモスの弱点をトランプルで補える、この破壊力は体験する価値あり。
そして《野生の怒り、ガラク》!
ガラク好きとしては使わざるを得ない。[-5]能力の仕様など、《野生語りのガラク》を思い起こさせるデザインが素晴らしい。
[-1]能力はアルケミーならではの「呪文書からドラフトする」というもの。クリーチャーらのムラはあるが、状況に可能な限り即したクリーチャーを得られるのは嬉しい。トークンでもないので手札に戻ったり墓地に落ちたりもするし、クリーチャーだけでなく《ガラクの蜂起》も出てくるので、ゲーム展開によっては対戦相手にとってかなりいやらしく働きかけてくれることだろう。
手札のクリーチャー強化&コスト軽減も強く、なかなかに隙が無い緑のプレインズウォーカーが久しぶりに出てきたなというところ。《エシカの戦車》とはまた違ったベクトルで戦場を維持・再建するパーマネントとして期待が持てるね。
「緑単アグロ」はアルケミーでもパワフルで、かつスタンダードのデッキをベースに大規模な改造や新カードの参入が必須でないというハードルの低さも相まって、人気デッキとして定着しそうな予感だ。各種クリーチャー対策に満ちたデッキとの対峙を見越して《蛇皮のヴェール》の準備だけは忘れずに!
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