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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドレッジ:異世界に何を見る(モダン)
マジックには時折「損するカード」というものがある。その代表として、昔から取り上げられてきたのが《索引》だ。
マジック初心者にとってこのカードは悪くないものに見える。ライブラリーのカードを上から5枚見て、好きなように並べ替える。土地を淀みなく引き込み、序盤に手札に来てもしょうがない重いカードは後からドローするように仕込むことでスムーズなゲーム展開を狙える。
ただ、このカードには問題がある。それしかできないのだ。一見ゲーム展開を良くすることには価値があるように見えるが、果たしてそのためにカードを1枚消費することは……言うなれば、これを1ターン目に唱えれば手札が6枚になり1回マリガンしたようなものだ。そしてゲーム終盤、お互いに手札も尽きてトップデッキが勝負を決めるという場面でこれをドローすると……以降のドローへの望みは高まるが、そのターンは何もできていないも同然だ。
したがって《索引》よりも見れる枚数は少ないが、ドローが付いており手札が減らない《思案》や《定業》を用いた方が良い、と。こういうことに気付ければあなたもカードを見てその強さを判断する目が初心者から一歩進んだと言えるだろう。そんなサンプルとなる意味でも《索引》というカードが作られた意味はあると思うね。
この《索引》が世に送り出されたのが『アポカリプス』。このセットのカードに胸をときめかせたのは昨日のことのように思い出せるが、なんと20年前のセットである。ひぇ~ッ。
それだけの時間が経てば、《索引》自身も進化するというもの。2021年に登場した、ある1枚の「手札が増えないライブラリー操作呪文」を目にした時は「《索引》もこんなに立派になったんだなぁ」としみじみ思ったものである。そのカードとは《異世界の凝視》。
見られる枚数は3枚、これを自由に並び替えてOKと、数字だけ見れば《索引》に劣る。しかしながらこのカードの優れたところは、そのライブラリーの上にある3枚のうち好きなだけ墓地に置けるという点。要らないカードはどかせられるので引かなくて済むし、何よりも墓地利用系のデッキにおいて大きな役割を果たしてくれる。
それらのデッキではある意味墓地が増えるのは手札が増えるのと同じなので、《異世界の凝視》はカードが引けなくても十分にカード1枚分以上の役割を果たしてくれるというわけである。フラッシュバックで再利用できるのもポイントで、これ自身を捨てたり落としたりしても良しと隙が無い。
墓地を耕すために使ってくれと言わんばかりのこの1マナインスタント、モダンのこのデッキが見逃すはずがない!
4 《真鍮の都》 4 《宝石鉱山》 4 《マナの合流点》 3 《黒割れの崖》 2 《尖塔断の運河》 1 《感動的な眺望所》 -土地(18)- 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《臭い草のインプ》 3 《銀打ちのグール》 2 《アゴナスの雄牛》 -クリーチャー(21)- |
4 《暗黒破》 4 《異世界の凝視》 4 《安堵の再会》 4 《身震いする発見》 4 《這い寄る恐怖》 1 《燃焼》 -呪文(21)- |
3 《宝石の洞窟》 3 《思考囲い》 2 《コジレックの審問》 2 《虹色の終焉》 1 《古えの遺恨》 1 《天啓の光》 3 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
「ドレッジ」デッキからお呼びの声がかかったぞ!
ドレッジとは「発掘」能力のこと。この能力を持ったカードを墓地に落として、ドローを発掘に置換。こうすることでさらに墓地に多くのカードを落とし込み、それらを活用して勝利するのを狙う伝統的な墓地コンボだ。
このリストで用いている発掘カードは《ゴルガリの凶漢》《臭い草のインプ》《暗黒破》。
これらを墓地に落とすため、手札から捨てるカード各種と《異世界の凝視》を用いるというわけだ。凝視は基本は全力で3枚落としにかかることになるだろう。土地やソーサリーなど手札に欲しいカードがめくれた場合は温存可能なのが素晴らしい。
では墓地に落ちてから仕事をするカードたちを見ていこう。重要なのは墓地から戦場に出てくるクリーチャー。その主役と言えるのが《秘蔵の縫合体》。
他のクリーチャーが墓地から戦場に戻ると、このゾンビもつられて遅れて這い出してくる。3/3と無視できないサイズで、これを含むクリーチャーを複数体、マナを支払うことなく展開して殴っていくというビートダウンがデッキの目指すゴールだ。
そして、縫合体をおびき出すための役目を担うのが《ナルコメーバ》。
ライブラリーから墓地に落ちると能力が誘発し戦場に直接出てくるので、これを発掘や《異世界の凝視》で狙っていく。サイズは小さくとも飛行を持っているので、攻防ともに役立ってくれるはず。
自動のナルコに対してこちらはひと手間必要ではあるが、《銀打ちのグール》もパワーが3あって打点として魅力的。
これが戻ってくる条件はそのターンに3点のライフを得ていること。達成するには、手札から発掘持ちを捨ててドローする《身震いする発見》を2回唱える……というのはあまり現実的ではないので、主に《這い寄る恐怖》を用いて行う。
ナルコと同じくライブラリーから墓地に落ちた時に誘発して、対戦相手のライフを3点失わせこちらは3点得る。これが複数発掘や《異世界の凝視》されれば一気に相手のライフをもぎ取りつつ、グールがワラワラと寄ってくる。グールはターン終了時に戦場に出るので、縫合体はその次のターンの終了時に戻ってくるというタイムラグが発生するのを忘れずに。
最後に《アゴナスの雄牛》。
土地やその他不要なカードを追放して脱出で唱えることで、《秘蔵の縫合体》を引き連れて5/3がお出ましだ。さらに手札を捨ててカードを3枚引けるので、回収した発掘カードを捨ててからドローを発掘に置き換え、《這い寄る恐怖》などがドカッと落ちるのを狙おう。
1マナとコストが軽いため、非常に使いやすい《異世界の凝視》。「ドレッジ」にとっては発掘カードや《ナルコメーバ》《這い寄る恐怖》、その他クリーチャーを落とすことでどんな状況からでもチャンスメークすることが可能になった。手札が増えないライブラリー操作は弱いが、そこに墓地という一文が添えてあるだけで大化けする。優秀な子孫の活躍ぶりには《索引》も草葉の陰で喜びの涙を流していることだろう。
「ドレッジ」に限らず、あらゆる墓地系デッキのスターターとして今後ますます活躍しそうな《異世界の凝視》。その動向から目を離さないように!
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