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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ジェスカイ変容:忘れないよ、2020年(ヒストリック)
2021年のスタンダード・ローテーションより、早くも3か月が経とうとしている。
この期間にローテーション後の新セットが2つリリースされるという異例の事態により、環境は続けざまに変化。結果として……多くのプレイヤーは、もう9月以前のスタンダード環境を忘れてしまったかもしれない。
2020年にリリースされたさまざまなカード、我々を驚かせた能力の数々は環境を去ってしまったわけだが、もうなんだか随分と前の話のように思えてしまう。店舗での大会などもなかなか開催できなかったというのも少なからず影響しているだろう。
かなり濃い期間だっただけに、忘れてしまうのはもったいない。あの個性的なカードやメカニズムを忘却の彼方に追いやるにはまだまだ早い! いや忘れちゃいけない!
なので、それらのカードで遊べるフォーマットがあればぜひとも2020年というインパクトの大きなシーズンがもたらしたカードでエンジョイしてやってほしい。
個人的には「変容」はかなり良い能力だったなと。『イコリア:巨獣の棲処』が世に送り出した、ぼくのわたしの理想の大怪獣を創り出せる変容能力。重ねたカードのすべての能力を持った正真正銘の化け物で無双するのは本当に楽しかった。
競技目線で見ても、《雷の頂点、ヴァドロック》および《伝承のドラッキス》が活躍していたのは実はついこの間まで見られた日常だった。
これらを《黄金架のドラゴン》に変容させ、宝物・トークンを得ながら墓地のインスタントやソーサリーを再利用して手札を満たし続け、グルグルとループを形成するデッキが大型トーナメントで白星を量産していたもんだ。
そんなヴァドロックとドラッキス、まだまだやれるカードだぞ! そう、スタンダードをローテーションで去っても、ヒストリックという舞台がある!
1 《島》 1 《山》 1 《平地》 4 《ラウグリンのトライオーム》 3 《蒸気孔》 2 《硫黄の滝》 3 《神聖なる泉》 3 《氷河の城砦》 3 《聖なる鋳造所》 3 《断崖の避難所》 -土地(24)- 3 《アダントの先兵》 4 《伝承のドラッキス》 4 《雷の頂点、ヴァドロック》 3 《海駆けダコ》 3 《幼獣守り》 -クリーチャー(17)- |
3 《表現の反復》 3 《稲妻のらせん》 3 《真実の視認》 4 《栄光の好機》 2 《プリズマリの命令》 4 《試練に臨むギデオン》 -呪文(19)- |
2 《神々の思し召し》 2 《ラゾテプの板金》 2 《ドビンの拒否権》 2 《才能の試験》 1 《裁きの一撃》 1 《引き裂き》 1 《轟音のクラリオン》 1 《時の一掃》 1 《反応 // 反正》 1 《夢を引き裂く者、アショク》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
というわけで、これが「ジェスカイ変容」のヒストリック版だ。
スタンダード当時のキーカードである《黄金架のドラゴン》はヒストリックで使うには少々コストの重さが気になるので不採用ではあるが、また別の形でヴァドロックたちのポテンシャルを発揮させるアプローチで組まれている。
まず、このカラーリングの変容デッキならではの1枚が《真実の視認》。
ヴァドロックはこれが変容した際に墓地からインスタントかソーサリーを唱えられる能力持ちである。手札以外の場所から唱えた《真実の視認》はシンプルに手札が3枚増える。そりゃあ狙うっしょ、と。
同じく手札を増やし手数を増加させる《表現の反復》、3点ダメージ除去であり回復も兼ねるコントロール要素《稲妻のらせん》と、これらをヴァドロックで墓地から唱えたり、ドラッキスで手札に回収したりしてアドバンテージを取っていくのがデッキの狙い。
《海駆けダコ》《幼獣守り》はヴァドロックたちの変容時誘発能力を引き出す役目と同時に、それぞれドローにトークン生成にと、これまた強い能力を持ちアドバンテージの差を押し広げる。
そしてこのデッキがドラッキスで回収、あるいはヴァドロックで再利用を最もやりたいと願っている1枚が《栄光の好機》だ。
え、何回も唱えてターンをどれだけ得たって、最初の追加ターンが終わったらゲームに敗北するでしょって? その通りなのだが、ある男がそれをなかったことにしてくれる。そう、《試練に臨むギデオン》だ。
彼の紋章でゲームに敗北しない状況を作り出せば、後は好きなだけ墓地から拾って、あるいは直接と唱えて好き放題! ギデオンはクリーチャー化するもののタイプは人間であるため変容はできない。なのでこのカードを変容と組み合わせるという発想自体がそもそもなかったなぁ。このアイディアには天晴れという他ないね! 変容しまくり、ターンを得まくって大変に気持ちの良い状態でゲームに勝ってしまってくださいなと。
豪快な変容コンボではあるが、弱点はもちろんあって、それは今さら言うまでもなくクリーチャー除去。変容しようとした重ねるその先のクリーチャーが破壊されてしまっては、ヴァドロックもドラッキスもお手上げだ。
ヒストリックのような除去の強い環境ではこれはある種致命的でもあるが……そこはご安心を。《アダントの先兵》なら大丈夫!
4点のライフと引き換えに破壊不能を得られるので、矢でも鉄砲でも火炎放射器でも持ってこいやぁ。安心して変容できる先が2マナと軽いのは頼もしい。ジャンジャン重ねてアダントを最強生物に進化させ、生態系の頂点に立て!
ヒストリックの「ジェスカイ変容」、当時変容に魅せられていたプレイヤーには素敵なものとして映ったんじゃないかな? ヒストリックでデッキが組めるということは、カードプールに共通点のあるパイオニアでもデッキが組めそうだ。まだまだ変容クリーチャーと一緒に楽しいことをやっていけるってことで、そう考えるとこのマジックというゲームをつくづく無限に遊ぶことができてしまうのだなと。
惚れ込んだカードは、いつまでもどこまでも愛してやろうじゃないか。2020年にリリースされたカード、本当に輝くのは実はこれからなのだ。
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