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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドラゴンストーム:熟達者のリスト(ヒストリック)
いやぁ、オンライントーナメントって本当に良いもんですね。
紙のマジックをお店などのコミュニティで遊ぶ、そんな自由がある程度許されるようになったご時世。マジックの良さはリアルでの人と人のふれあいにあり――なんだけれども、オンラインはそれはそれで良いものがあると、今だからこそ実感できることもある。
たとえ移動が自由になったとはいえ、他府県においそれと遊びに行くというのは頻繁にできることじゃない。それに海外に在住のプレイヤーと遊ぼうと思ったら、年に一度できるか否かのレベル……その点、オンラインでトーナメントを開催すれば、いろいろな地域の人と時間や場所という制約をとっぱらってマジックを遊ぶことができてしまう。こんなに素晴らしいことがあるかね、というわけで個人的にはこれからもMTGアリーナを用いたオンライン上での交流会を開催していこうと考えている。
僕のオンラインコミュニティで人気なのはヒストリック。これは紙のマジックでなくMTGアリーナならではのフォーマットというのもあって、それこそオンラインならではの楽しみ方だね。私、岩SHOW主催のヒストリックでのオンライントーナメントは、基本的にスイスラウンドの3回戦で終わるものとなっている。金曜の夜に集まって、少人数でも仲良くワイワイやるフライデー・ナイト・マジックをイメージしたものだ。
今回はそんな和気あいあいとした大会で全勝したデッキの中から、個性と確かなプレイングが光っていて、良いデッキだなぁと思わされたリストを取り上げさせていただこう!
4 《島》 4 《山》 3 《蒸気孔》 2 《硫黄の滝》 2 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 -土地(19)- 2 《峰の恐怖》 1 《霜のモーリット》 3 《帰ってきた刃の翼》 -クリーチャー(6)- |
2 《否定の契約》 3 《信仰無き物あさり》 3 《異世界の凝視》 2 《呪文貫き》 2 《白鳥の歌》 4 《方程式の求解》 3 《プリズマリの命令》 4 《ミジックスの熟達》 4 《出現の根本原理》 1 《海門修復》 4 《ドラゴンの嵐》 2 《全知》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(35)- |
4 《才能の試験》 3 《非実体化》 2 《燃えがら地獄》 2 《神々の憤怒》 2 《弱者粉砕》 1 《プリズマリの命令》 1 《奇妙な根本原理》 -サイドボード(15)- |
「ドラゴンストーム」! ヒストリックでは半年前、『ヒストリック・アンソロジー5』のリリースにより成立し、その破壊力とエキサイティングさから一部のプレイヤーのハートを鷲掴みにしたコンボデッキだ。
キーカードはデッキ名にもなっている《ドラゴンの嵐》。
これを使ってライブラリーからドラゴンを複数体揃えて勝利するわけだが、いかんせんこのソーサリーのコストは重く、真面目に支払ってはいられない。
なので、これを墓地に置いた状態で《ミジックスの熟達》でコストを踏み倒すという手段を取る。
熟達の分ストームも稼げて、4マナでドラゴンを2体得られる。もちろん同ターンに《信仰無き物あさり》なども唱えておけばストームが増えてより強力な呪文となっていく。
大量のドラゴンを並べれば何であれ勝負はつきそうだが、コンボを決めたターンに速やかに勝利するというのがより安全で確実。そこで、このデッキでは《峰の恐怖》と《帰ってきた刃の翼》を用いる。
《峰の恐怖》がいる状態で《帰ってきた刃の翼》が出て4点ダメージを対戦相手に与える。この状況下で、《ドラゴンの嵐》でライブラリーから出すか、あるいは《帰ってきた刃の翼》の能力で墓地から戻すかして、もう1体の《帰ってきた刃の翼》を戦場に並べる。
《帰ってきた刃の翼》は伝説のクリーチャーなので、まずは片方の刃の翼を墓地に置くことを選択することになる。で、2枚のうちどちらかの刃の翼が墓地に落ちたら、そこで《峰の恐怖》と2枚目の刃の翼の能力が誘発する形になる。また4点ダメージ、そしてドラゴンを墓地から戦場に戻せるので今しがた墓地に置いた刃の翼を……と、ループさせることで無限にダメージを叩き出す。
この工程の「これぞコンボ」と言いたくなる美しさと破壊力、4マナあれば決められるという手軽さがこのデッキの魅力である。
このリストの特徴としては、《ドラゴンの嵐》だけでなく《出現の根本原理》を《ミジックスの熟達》の対象として用意している点が挙げられる。
これを熟達から唱えて、さあどうするか。持ってくる3枚の単色カードは……まずは《ドラゴンの嵐》。コンボの中枢だからね。
次に《方程式の求解》。熟達など各種コンボパーツや《プリズマリの命令》《信仰無き物あさり》《異世界の凝視》など墓地にターゲットを配置する手段、あるいは《否定の契約》《白鳥の歌》《呪文貫き》などコンボを決めるための打ち消しと、このカードで探せるものはデッキのすべてと言って良い。
そして《全知》。
さあ、この3枚を渡されたら、あなたはどの1枚をライブラリーに戻すようにお願いするだろうか。実は、どれを選んでももう決まっちゃってるんだよね。
まず《ドラゴンの嵐》以外を選んだ場合。それはもう、そのまま《ドラゴンの嵐》が解決されて刃の翼たちが雪崩れ込んできてゲームエンド。では、《ドラゴンの嵐》を選んで戻した場合。《方程式の求解》で《ドラゴンの嵐》を手札に加える。そして《全知》が戦場にドン。手札からマナを支払わずに呪文が唱えられるようになるので、これで《ドラゴンの嵐》をファイア。ひえ~、死の三角形。よく考えられているなぁと、トーナメントを実況していて感動したものだった。
2種類のドラゴンどちらの水増しにもなり、《帰ってきた刃の翼》に化けた場合はパワー6で与えるダメージが大きくなりクリックの回数を減らせる《霜のモーリット》は面白いチョイス。
サイドボードの《奇妙な根本原理》も独特で、これは何に使うのだろうと、実際にこのリストでプレイしながら考えていた。
おそらくは《スレイベンの守護者、サリア》や《傑士の神、レーデイン》といった追加コストを強いるカードへのケアなのだろうと。《出現の根本原理》の場合、2枚の呪文をコスト支払いなしで唱えられるが、そこに追加コストが上乗せされる形になる。熟達もコスト増加、そこからの根本原理もコスト増加となっているところでさらにマナを支払って……というのはとてもじゃないが不可能だ。
その点、《奇妙な根本原理》はこれ1枚で墓地からパーマネントをすべて出せてしまうので、ここからコンボを決めたり、《全知》を置いて、といったゲームの流れを大きく変えるアクションに繋げられる。1枚採用していると、そういうこともできるようになる。個人的にはそういうデッキの可能性を拡げるカードを選択した構築は好きなので、グッときた1枚だね。
使用されたプレイヤーは「ドラゴンストーム」を半年間プレイしているとのことで、その果てに生み出されたリストは納得の完成度の高さ。プレイングも的確で、オンライントーナメントだとこうやっていろいろなデッキと遭遇し、プレイもしっかり観られるのが良いよなぁと、改めて強く実感した。
これからもヒストリックを遊ぶ場所を提供できるよう、あれこれやっていこうと思うので、よろしくね!
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