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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
「地味シブ」カードシリーズ始動? 白緑人間(スタンダード)
突発不定期企画、今週の地味シブカードォォォッ!
世の中には豪華絢爛、極彩色の派手なものもあれば、地味で落ち着いたものもある。不思議なもので、歳を重ねるにつれその地味なものの魅力というのがわかってくる。地味ではあるがシブい、そこに価値を見出せるようになれば世の中の見え方が変わってくる。わびさびの精神というと大げさではあるが、この感覚はマジックを続けて行く過程でも育まれていくものであると、僕は考えている。
最初はやっぱり煌びやか、カッコよく派手なことを行う神話レアやレアに目を奪われる。これはごく自然なこと。カードをいくつも見ていくうちに、一見地味なアンコモンやコモンにも目が向くようになる。「なんかこのカード、地味だと思ってたけど良いデザインだな」「ニッチな能力だし、実際に使ってみたいな」こんな感情が芽生えたら、君も地味シブカード道を歩み出したということ。さあ、地味シブカードを活かした構築を楽しもう。
今回はもちろん『イニストラード:真紅の契り』の新カードの中から一見地味ながらもシブい、そんな素敵なカードをフィーチャーしたデッキを紹介しよう。その名は……《オリバクの随員》。
1マナ1/1、スペックに派手さはなくついつい見逃してしまいかねない。その能力は、まず警戒。1/1が攻撃した後に生きているという状況自体が稀有なので、この能力が活きるかどうかはこれを強化できるかにかかっている。
で、ここまで地味ながらもう1つの能力は独自性が高い。自身を生け贄に捧げることで+1/+1カウンターが置かれているクリーチャーを破壊不能に。オマケに絆魂もつけちゃうという……シブいね、うんシブい。思わずつぶやきたくなる、そんな地味シブと呼ぶにふさわしい新たなるアンコモンだ。
リミテッドでは訓練能力を持つクリーチャーの横に寄り添って、地味ながらいやらしい睨みを利かせてきてなかなか手こずった1枚で、それゆえにこれを使った+1/+1カウンターを重視したデッキが組めるかもななんてほんのり考えていた。
そして後日、メタゲーム・チャレンジ(このイベントについてはコチラ)で7勝0敗を達成したリストを眺めている時、そこにこの《オリバクの随員》の姿を見つけた!
デッキ自体もシブくてたまらない、今日はスタンダードの「白緑人間」デッキをご覧いただこう!
8 《平地》 5 《森》 4 《草茂る農地》 4 《枝重なる小道》 -土地(21)- 4 《施しの司祭》 3 《オリバクの随員》 2 《有望な信徒》 4 《光輝王の野心家》 3 《剛胆な敵対者》 3 《ドーンハルトの主導者、カティルダ》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 3 《粗暴な聖戦士》 2 《小村の先兵》 2 《領界渡り》 2 《天使の拳、トーレンズ》 3 《光の勇者、シガルダ》 -クリーチャー(34)- |
2 《カビーラの叩き伏せ》 1 《豊穣の碑文》 1 《収穫祭の襲撃》 1 《スカイクレイブの大鎚》 -呪文(5)- |
2 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《精鋭呪文縛り》 1 《傑士の神、レーデイン》 1 《神に愛された者、シグリッド》 2 《秘密を知るもの、トスキ》 1 《パラディン・クラス》 3 《勇敢な姿勢》 1 《運命的不在》 1 《スカイクレイブの大鎚》 -サイドボード(15)- |
白と緑の人間を用いたデッキはヒストリックで人気な強デッキの1つであるが、2つのイニストラード・セットを経てその頭数が揃った今、スタンダードでもクオリティの高いものが組めるようになった。
『イニストラード:真紅の契り』新メカニズムの訓練を持ったものを含めて環境の優秀な人間が勢揃い。《光の勇者、シガルダ》でそのサポートをする、アグレッシブなビートダウンデッキなわけだが……では各人間の性能をチェックしよう。
まずは訓練持ちから。「白単アグロ」でもお馴染みの《有望な信徒》は訓練によりサイズアップして戦闘で有利に立てるだけでなく、エンチャントやアーティファクトへの対策になるという点で現環境にもマッチしている。
もう一つの訓練持ちは《天使の拳、トーレンズ》。
彼も素のサイズは3マナで2/2と地味ではあるが、訓練1回で3/3になりコスト比で優秀に。2回以上訓練できれば御の字だが、そのような展開にならなくてもクリーチャー呪文を唱えれば訓練持ちの人間・トークンを生成できるので、どんどんと盤面を埋め尽くす人間軍団を結成できる。
エンチャントやアーティファクトを出したい相手は信徒を、横並びを阻止したい相手はトーレンを除去したがるところだが、そこを《オリバクの随員》で破壊不能にしてやることでプランを大きく狂わせるのが狙いだ。
訓練以外にも人間は+1/+1カウンターを得るのが得意な部族だ。まずは白系のあらゆるクリーチャーデッキで採用される《光輝王の野心家》。
真っ先に処理したいクリーチャーの筆頭ではあるが、これも随員を側に置いておくことで除去への牽制が可能。1ターン目随員2ターン目野心家はこのデッキのベストムーブと言っても良いだろう。野心家でカウンターをばら撒くことでどのクリーチャーにも破壊不能や絆魂を付けられるようになれば……相手する側からすれば地獄そのもの。
《ドーンハルトの主導者、カティルダ》は人間デッキならではのマナ加速担当であり、大量展開した人間から得たマナですべてのクリーチャーにカウンターを置くことで随員の効果範囲をグイッと上昇させる。
そして最新セットからこれまたシブい人間《小村の先兵》。
他の人間の数の倍のカウンターを得るので、3マナにしてなかなかヤバいサイズになることも。トランプルなどの派手なキーワード能力は持たないが、地味ながら護法{2}で相手を手こずらせる。人間を大量に並べて勝つ、その戦術をこれらのカードが成り立たせているのだ。
いや~、《オリバクの随員》もさることながら、全体的にシブいカードで構成されているデッキだったね。メタゲーム・チャレンジ全勝という結果も伴っており、随員はパッと見よりも強いカードなのかもしれない。
君も一見地味なせいで注目されていないカードに何かピンとくるものがあったなら、ぜひともデッキ作りに挑戦してみよう。地味シブ道、一歩ずつ進むべし!
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