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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
祖父と孫、吸血鬼デッキで共演す(パイオニア)
今週は『イニストラード:真紅の契り』リリース直後に登場したデッキ特集ということで、スタンダード前環境における3強・今環境でも引き続き強力なデッキとして君臨しそうな「緑単アグロ」「白単アグロ」「イゼット天啓」と紹介してきた。今回は少々趣を変えて、スタンダード以外のフォーマットからデッキを取り上げよう。
『イニストラード:真紅の契り』ではオリヴィア・ヴォルダーレンがエドガー・マルコフと結婚しようとするのを、その孫ソリン・マルコフが阻止するというのがメインストーリーとなっている。うーむ、なんちゅー修羅場だ。
エドガーはイニストラード次元最初の吸血鬼であり、天使の血を飲むというおぞましい儀式を持ってそれに変貌した。オリヴィアやルノといった面々もそれに同席しており、そしてソリンも同様の方法で吸血鬼となった。この時の精神的苦痛がソリンをプレインズウォーカーとして目覚めさせたという。これはなんと数千年も前の話で、今回の物語はテフェリーも含めれば多元宇宙のご長寿たちの大騒動といったところだ。
さて、そんな歪んだ関係にある祖父と孫、マルコフ家の2人はそれぞれ今回のセットで新規カードとして登場。どちらも吸血鬼という設定を活かし、それを用いるデッキで強く機能するように作られている。
吸血鬼と言えば、近年のセットでもたびたび強力なものが作られている。そのため、パイオニアなどではなかなかに強い吸血鬼デッキを組むことが可能となっている。
今回はそんなパイオニアのリストに、マルコフ家の新カードが参入したリストを紹介しよう。
7 《沼》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《陽光昇りの小道》 2 《ヴォルダーレンの居城》 3 《ロークスワイン城》 3 《目玉の暴君の住処》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《漆黒軍の騎士》 4 《才気ある霊基体》 3 《薄暮軍団の盲信者》 2 《残忍な騎士》 3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《魅せられた花婿、エドガー》 4 《薄暮の勇者》 -クリーチャー(22)- |
4 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 1 《冥府の掌握》 2 《真っ白》 4 《傲慢な血王、ソリン》 1 《不笑のソリン》 -呪文(14)- |
1 《ヴィズコーパの血男爵》 2 《致命的な一押し》 2 《墓掘りの檻》 1 《冥府の掌握》 1 《軍団の最期》 1 《害悪な掌握》 2 《真っ白》 2 《激しい恐怖》 2 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》 1 《不笑のソリン》 -サイドボード(15)- |
パイオニアの「黒単吸血鬼」にエドガーのために白を足したものだ。
《漆黒軍の騎士》《才気ある霊基体》と、軽くて接死で攻撃してもブロックしても役に立つ吸血鬼連中で戦場を支えながら、吸血鬼デッキの要である《傲慢な血王、ソリン》でこれらのサイズアップを狙ったり、あるいは3点ダメージを飛ばして盤面の主導権を握る。
サイズにも優れ、またドローをもたらす《薄暮の勇者》をソリンの[-3]能力で戦場に出し、手札切れにもなりにくいビートダウンというのが吸血鬼デッキのセールスポイントである。
《致命的な一押し》や《思考囲い》など軽くて扱いやすい非クリーチャー呪文にも恵まれている……
と、ここまでのカードはヒストリックでも使用できるため、そちらでもお馴染みのデッキではある。パイオニア版はここに対クリーチャーデッキにおける強烈なアンチカードである《ゲトの裏切り者、カリタス》が加わることでより強力なものとなっている。
クリーチャーの死亡時に誘発する能力を許さず、墓地に留まることも禁じながら、こちらはゾンビを生成するという、その悪虐っぷりはなかなか比類するカードがない。これに《傲慢な血王、ソリン》で絆魂をつけて殴りだせば、ダメージレースで負けることもそうそうないだろう。
また《変わり谷》が使えるのもパイオニアならでは。
《不詳の安息地》よりも圧倒的に軽いコストでクリーチャー化し、氷雪マナも必要ないので土地構成もより柔軟に。しっかりと吸血鬼であることの恩恵を受けながら、最後の一押しを叩き込んでくれる名カードである。
さて、ここに加わった新カードに触れていこう、まずは《魅せられた花婿、エドガー》。
このカードのためだけに《陽光昇りの小道》、そして新土地カード《ヴォルダーレンの居城》で白マナを捻出可能にしてある。居城は血・トークンでゲーム終盤のドローの質を向上させるチャンスメークも兼ねている。
話はエドガーに戻って……花婿らしいカラーリングで4マナ4/4と優れたボディ、そして他の吸血鬼に+1/+1修整を与える攻撃的な能力。
単体でも横並べでも強いのだが、これに加えて死亡すると《エドガー・マルコフの棺》へと変身する。棺にはアップキープごとに血統カウンターが置かれる。これが3つになると棺はまた花婿へと変身、つまりはクリーチャーとして復活を果たすのである。死亡しても置いておくだけ、フルオートで蘇るのは非常に強力だ。
そして血統カウンターが貯まるまでの間、1/1絆魂持ちの吸血鬼トークンも生成する。偉大なる始祖エドガーに付き従う使用人というところか。3体のトークンが並びながらこれを蘇ったエドガーが強化するので、なんとカード1枚で10点分の打点を形成してしまうのだ。こりゃあ、クリーチャーを破壊して耐えるタイプのコントロールじゃどうしようもないな。
エドガーを使う、あるいは使われる際の注意点として、棺から本人へと変身したらそのターンに攻撃が可能ということを忘れずに。棺としてずっと戦場に居たので、召喚酔いにはなっていないのだ。思わぬ攻撃によるライフの計算違いに要注意。
そしてエドガーの孫、ソリンは既に《傲慢な血王、ソリン》としてデッキの中核になっているのだが……それに加えてお試し的に新カード《不笑のソリン》も加わっている。
吸血鬼・トークンを生成する時点で他のカードとのシナジーが期待できる。[+1]能力で手札も増やせるので長期戦にはかなり強そう。ライフを失うというデメリットも、それを得る手段が多いデッキなのでそこまで問題にはならないだろう。そして[-7]能力はしぶとい対戦相手への解答としては最高のものだね。なんてったって13点!
お試し的に新しい吸血鬼関係のカードを取り入れたパイオニアの吸血鬼デッキ。『イニストラード:真紅の契り』の他の吸血鬼も試してみる価値はあるだろう。部族関係のカードというのはスタンダードではそのポテンシャルを発揮できなかったとしても、カードプールが広いフォーマットだと化ける可能性がある。さあ、まずはパイオニアで、次にモダンやレガシーで……気になったものは何でもデッキに入れてみよう!
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