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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
イゼット天啓&コントロール:安定感と新たなるパワー(スタンダード)
前々回、前回は、『イニストラード:真紅の契り』がオンラインで先行リリースされた直後に開催され、約1,000名が参加したオンライン・トーナメントの結果から、上位に入賞したアグロデッキを紹介させてもらった。
「緑単アグロ」「白単アグロ」と、前環境から続けてスタンダード代表として君臨するデッキが続いたら……次に来るデッキはそう、同じく環境の顔にして覇王とも言えるデッキ「イゼット(青赤)天啓」だ。
スタンダードにおいて最強のカードといえる《アールンドの天啓》。
追加ターンを得ながら、1/1飛行を2体というクロックを同時に獲得できる驚異の呪文。これを《感電の反復》でコピーして大量のトークンと山のような追加ターンを得て、対戦相手を圧殺するのが「イゼット天啓」の誇るスタンダード環境最強の動きと言えるだろう。
天啓&反復は合計9マナ以上が必要になるのでマナを食うが、《予想外の授かり物》で宝物を得ることでそれを解消。
なんだったらこの授かり物を反復でコピーして一気に手札とマナを増やすという技もあり、反復にフラッシュバックが付いていることでスムーズに天啓2倍コンボへと移行することが可能なのだ。
と、前環境ですでに何度も目にした光景の説明はここらにして、その新しいリストを見てみよう。
4 《島》 4 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 2 《廃墟の地》 -土地(20)- 1 《船砕きの怪物》 -クリーチャー(1)- |
4 《棘平原の危険》 2 《消えゆく希望》 4 《表現の反復》 4 《感電の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《削剥》 4 《ゼロ除算》 2 《悪魔の稲妻》 1 《プリズマリの命令》 1 《セレスタス》 4 《予想外の授かり物》 1 《記憶の氾濫》 2 《家の焼き払い》 4 《アールンドの天啓》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(39)- |
2 《心悪しき隠遁者》 2 《くすぶる卵》 2 《溺神の信奉者、リーア》 1 《船砕きの怪物》 2 《バーニング・ハンズ》 1 《燃えがら地獄》 1 《環境科学》 1 《才能の試験》 1 《悪魔の稲妻》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
まずリストで大きく変わったところというか、『イニストラード:真紅の契り』から得た純粋な恩恵は……《嵐削りの海岸》!
なんだかんだ、やっぱり土地が手に入ることが2色以上のデッキにとっては大きな追い風になる。3ターン目以降ならアンタップインの土地を使って、安定したデッキ運用が可能になった。
「イゼット天啓」の特徴として、マナを食うデッキなのにデッキ内の土地総数は少なめというのがある。このリストでもわずか20枚。ただし第2面が土地である両面カードを含めれば全部で28枚としっかりと枚数は割かれているのでご安心を。基本的には土地として運用しつつ、タイミングが合えばインスタントやソーサリーとして用いるわけだ。
で、こういった土地を採用しているのもあって、《凍沸の交錯》はちょっと使いにくい。往々にしてタップインになるので、ここぞという場面でマナ計算が合わずに予定が1ターン遅れる=敗北となりかねない。なので《島》《山》の数が少ないこのリストにおいては《嵐削りの海岸》の獲得は無視できないものであり、他の2色デッキよりもその持つ意味合いは大きいかもしれない。
そしてここからが要注目カードの登場だ。このメインデッキ唯一のクリーチャー、《船砕きの怪物》出現!
インパクトあふれるイラスト通り、7マナ7/8というビッグサイズのクラーケンだ。瞬速を持っているので対戦相手のターンエンドに安全に唱えられ、かつ打ち消されないのでおもむろにぶっ放しても問題ないのが嬉しい。
そしてただデカくて戦闘面で強いだけでなく、その能力も絶品だ。呪文を唱えると、呪文か土地でないパーマネントを手札に戻せるという……これはかなりヤバい。
パーマネントを戻せるというのは、クリーチャーをボンボン戻して攻撃させないという点でわかりやすい。呪文を戻すというカードは少ないのでニュアンスが伝わらないかもしれないが、この戻される呪文というのは唱えられて解決される前、スタックに置かれている状態の呪文のこと。これが解決される前に手札に戻るということは、解決されずに終わってしまう、つまり実質打ち消されたのと同じだ。手札に戻るのでまた唱えなおせば良いが、それもまた船砕きの能力おかわりで戻される、といった具合に一種のハメパターンに持っていくことが可能となる。
手札が減らないドロー呪文であればなお相性は抜群で、グルグルやっているだけでクリーチャーは戦場から戻されるわ何唱えても弾かれるわで、文字通り船を砕かれた船乗りのような状態に陥ってしまうだろう。《アールンドの天啓》が《才能の試験》などで対策された際のサブの勝ち手段として頼りがいがある1枚だ。
《船砕きの怪物》はかなりのパワーカードであり、もはや天啓を用いずにこれをメインのフィニッシャーにしても良いんじゃないのか? 打ち消されないので青同士のマッチアップならなおのことそうだ、という発想からか、天啓コンボを全抜きした純粋なコントロールであるイゼットも、同トーナメントの上位に入賞したので紹介しておこう。
4 《島》 5 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《廃墟の地》 -土地(20)- 1 《くすぶる卵》 2 《溺神の信奉者、リーア》 4 《船砕きの怪物》 -クリーチャー(7)- |
4 《棘平原の危険》 3 《消えゆく希望》 2 《考慮》 4 《表現の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 1 《安堵の火葬》 1 《燃えがら地獄》 1 《感電の反復》 1 《轟く叱責》 4 《ゼロ除算》 2 《プリズマリの命令》 2 《セレスタス》 1 《悪魔の稲妻》 4 《予想外の授かり物》 -呪文(33)- |
2 《黄金架のドラゴン》 1 《溺神の信奉者、リーア》 2 《炎恵みの稲妻》 3 《バーニング・ハンズ》 2 《才能の試験》 1 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《環境科学》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
セス・マンフィールド/Seth Manfieldの使用した純然たるコントロールだ。《アールンドの天啓》は不採用、1枚のみの《感電の反復》は何をコピーしても美味しいというユーティリティ枠だな。《表現の反復》《マスコット展示会》各種除去など本当に何をコピってもまあ強いこと。
《船砕きの怪物》は堂々の4枚採用で、これで勝つという意気込みを感じる。エンドに船砕き、続く自ターンで《溺神の信奉者、リーア》からのフラッシュバックで船砕きタイム突入というのが理想のフィニッシュ。もちろん船砕きは複数体並ぶとその数だけ能力が誘発するので、2体も並べばもう何も通らなくなってしまうわな。恐るべし。
ちなみに呪文は対戦相手のものしか戻せないが、パーマネントは自分のものも戻せるのも忘れずに。除去されそうになったら自分で自分を戻して避けるのも手だ。
安定運用可能な2色土地と、パワフルな新フィニッシャー。イゼットカラーが得たものは、その種類は多くなくとも質が高い。これら新カードでさらに完成度を増す、インスタントとソーサリー主体のイゼット式マジック。この冬、最もアツいデッキが組めるかもしれないね。
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