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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オルゾフ・ゾンビ:デッキのご注文は? お好みのオーダー受け付けてます!(ヒストリック)

岩SHOW

 マジックプレイヤーにはいろいろなタイプがいると思うが、デッキの好みというものは少なからずある。どんなデッキも等しく好き、という人もいないこともないとは思うが、ほとんどのプレイヤーには好みの傾向というものがあるものだ。

 アグロ・コントロール・コンボという大きな括り、デッキのカラーリング、コンボの中でもチェーンコンボや墓地利用などなど……それぞれのプレイヤーの好みに適合するデッキは必ずある。皆の好きなデッキはどんなものだろうか、機会があれば聞かせてほしいものだ。

 僕の好きなものは……クリーチャーで殴って勝つ、アグロ寄りのミッドレンジに何かしらのコンボが含まれているものが大好きだ。殴り切れず絶体絶命のピンチでコンボをトップして大逆転、あるいはコンボは対策されたけども普通に殴って勝ててしまうという、いわゆる二段構えのデッキがたまらないね。全体除去に耐性があればもう言うことなしだ。注文が細かいようだが、例えばお酒なんかも皆好みがあるのと同じ。「ウォッカ・マティーニを、ステアせずシェイクで」と注文するのと似たようなものだ。

 というわけで「アグロ寄りのミッドレンジ、コンボと除去耐性を添えて」とオーダーしてみたところ、ヒストリック環境から素敵なデッキがサーブされてきた。そのリスト……何の文句もない、まさしく好みのものだった。

Simpi - 「オルゾフ・ゾンビ」
ヒストリック (2021年10月6日)[MO] [ARENA]
5 《
4 《神無き祭殿
4 《秘密の中庭
1 《孤立した礼拝堂
4 《陽光昇りの小道
2 《ロークスワイン城
2 《ファイレクシアの塔

-土地(22)-

4 《滅びし者の勇者
4 《墓所破り
4 《縫い師への供給者
4 《アンデッドの占い師
4 《むら気な召使い
3 《死体騎士
3 《ラゾテプの肉裂き
4 《戦墓の巨人

-クリーチャー(30)-
4 《戦列への復帰
4 《闇の救済

-呪文(8)-
1 《残忍な騎士
4 《思考囲い
2 《致命的な一押し
2 《腐敗した再会
2 《消失の詩句
1 《魔女の復讐
1 《激しい恐怖
2 《死が触れぬ者、リリアナ

-サイドボード(15)-
Simpi氏のTwittermtggoldfish より引用)

 

 白黒2色のゾンビデッキ……なんと美しい。ゾンビというタイプもまた好みなので、これはもう琴線に触れまくってて怖いくらいだ。

 ゾンビを並べて殴るビートダウンであり、《滅びし者の勇者》が登場したことで1マナ域が非常に強いもので固められている。

 この邪悪な勇者を1ターン目に出して、後はマナを使い切りながら効率よくゾンビを展開していけば、いつの間にか手の付けられないサイズに成長していてゲームエンド。これが理想の勝ち筋。

 ゾンビであればどのカードも相性が良いが、特筆すべき存在は《戦墓の巨人》。

 ゾンビを唱えればゾンビ・トークンが生成され、すなわちカード1枚で勇者が二度デカくなる。序盤に勇者が除去されたなら墓地のそれをカウントして巨人が大きくなって出てくると、この2体のゾンビをエース格としてグイグイと攻めていける。《ラゾテプの肉裂き》が絡もうものならもう勇者も巨人も止まらない、大量のゾンビで雪崩れ込んで地獄を見せてやるってなもんだ。

 さて、このゾンビデッキに白が入っている理由。それこそが流れを変える逆転コンボの要素だ。まずクリーチャー陣、《むら気な召使い》《死体騎士》。

 ゾンビが出てくればライフを失わせる、同様の能力を持った2マナゾンビだ。バラバラとゾンビを展開しているだけでライフを失わせるので単体で見ても十分強いのだが……。

 まあとりあえずこいつらは置いといて、先に上げた巨人と相性が良いので採用されているのが《縫い師への供給者》。

 これでライブラリーを切削し、ゾンビを落として巨人のサイズアップを図ろうというものだが、この際に上記の2種のゾンビが墓地に落ちる、あるいは普通に展開していたゾンビが死亡するとチャンス到来。コンボの火種、《戦列への復帰》の出番だ。

 マナ総量2以下のクリーチャーを墓地から戦場に戻せるこのソーサリーで、召使い&騎士を含むゾンビを複数体同時に戦場へ。するとこれらの能力が大量に誘発し、対戦相手のライフをゴリゴリと削り取ることになる。複数体のライフ喪失能力持ちが同時に戦場に出ることで、10点以上のライフを一瞬で0にしてしまうことだって容易いのだ。

 ゾンビを普通に展開しているところを《神の怒り》で処理された、という状況を立て直す除去耐性の要素も兼ねている《戦列への復帰》。召集能力はゾンビ・トークンなどでもコストを支払えるので、見た目以上にとんでもない状況を作り出すまさしく必殺の1枚である!

 《縫い師への供給者》は相手のクリーチャーをブロックして死亡してくれるのが一番望ましいが、なかなかそうもいかない。死亡時の能力を誘発させ、墓地を肥やして巨人や復帰の威力を高めるためには能動的に墓地に送る手段が欲しい、ということで《ファイレクシアの塔》の出番である。

 生け贄に捧げてマナ加速しつつ墓地を満たしてビッグアクションに繋げよう。

 この時に横に居てほしいのが《アンデッドの占い師》。

 このデッキでプレイしていて、大黒柱的存在だなと強く感じた1枚だ。ゾンビが死亡すると1枚ドロー、この1枚の恵みがそれだけ重いことか。1点のライフを失うというデメリットは《むら気な召使い》が帳消しにしてくれるので、あまり恐れずに。各種除去もドローがついてればその威力は半減しているようなものだ。

 この占い師と《墓所破り》のおかげで、順調にデッキが回っていればどれだけ除去されようが手札も戦場も空になることはない。コントロールも裸足で逃げ出しかねない尽きぬアドバンテージ、これでアグロプランもコンボフィニッシュも支えられているのである。あぁもう大好き。

 このリストに限らず、ゾンビデッキにおける《闇の救済》は今むちゃくちゃ強いということもお忘れなく。

 そう、トークンが生成されることで《滅びし者の勇者》がゴリッと育つからだ。で、このリストではそのトークンが《むら気な召使い》たちを誘発させてライフを奪い、ターンが返ってアンタップすれば《墓所破り》でドローして、《ファイレクシアの塔》で生け贄に捧げてマナにして、その死亡で占い師でドローして、《戦列への復帰》の召集のためにタップして……ととにかくすべてが噛み合っていて肉が腐り落ちているゾンビを骨までしゃぶれる至れり尽くせりだ。

 ゲーム中盤以降は最高のパフォーマンスが引き出せるようマナを注いで用いるのは当然のこと、マナが少ない序盤ではX=0で《致命的な一押し》的に使って攻防を優位に進めることも視野に入れよう。

 ここまで好みにストライクなデッキに出逢うと、マジックって楽しいなと心から思える。そういうデッキがすでにある君も、これからの出逢いに胸を焦がす君も、好きなデッキを追い求めて今日もマジック! 明日もマジック! いつまでも飽きのこない、このゲームそのものが大好きなのは言うまでもないね。

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