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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
「タップアウト」を恐れるな、打ち消しを用いないコントロールの形(スタンダード)
「タップアウト」ってマジック用語、聞いたことあるかな?
これはマジックのゲーム中に発生するケースだ。対戦相手、あるいは自分が土地をすべてタップしてしまっている状態をこのように表現する。
土地ないしマナを出すクリーチャーやアーティファクトがすべてタップ状態であるということは、すなわち何もできないということ(原則的にはね)。タップアウト状態で対戦相手にターンを返すとどうなるか。対戦相手は打ち消しやクリーチャー破壊などのインスタントが飛んでこないと安心しながらそのターンにとる行動を選択できる。つまり、タップアウトとは相手にとって有利な状況だということ。無防備をさらしているというわけだ。
アグロデッキのような自分のターンにやれることを全部やりきってしまうデッキであれば、タップアウトでターンを返すことは当たり前、あまり考えなくても良いこと。しかしながらコントロールデッキにおいては、時にこれが致命傷に繋がる。完全なタップアウトでなくても、例えば1~2マナしかない状況ではできることは限られる。対戦相手が「恐れるに足らず」と判断して強気に出てくることはデンジャラス、可能ならば避け続けたい状況。
コントロールが苦手なプレイヤーはこのタップアウトをいかに避けるか、自分のターンで無駄なタップをしていないかを気を付けつつ、また逆にここは勝負所と強気でタップアウトに行く覚悟を身につけることで、勝率が変わってくるかもしれないね。
このコントロールにとっての呪い、タップアウトであるが……開き直ってしまうと言う手もある。どういうことかというと、ソーサリーやプレインズウォーカーを中心としたデッキ構成にして、打ち消しなどの構えなければならないインスタントを極力減らす。そういった方向でのデッキ構築を行い、力を力で押し返す強気のコントロールが生み出されることもある。そのようなデッキは「青白タップアウト」などと呼ばれ、その名を聴けばインスタントを用いないコントロールというのがイメージできたものだ。
今回紹介するデッキもそんなタップアウトに近い雰囲気のデッキである。構えるインスタントはゼロではないが、他の青系コントロールと比べて格段に少ない。どちらかといえば自分のターンに動いて、マナに余裕があれば構える。そうやって構えていると、特に打ち消しもないのに相手は慎重に動いてくる。言うまでもなくこちらにとって余裕ができて、ゆったりしたスローゲームに持ち込める。そうなればパワーカードで押し切れる、と。
では見てみよう、現スタンダードのタップアウトの姿を!
5 《冠雪の平地》 5 《冠雪の島》 1 《冠雪の沼》 4 《氷河の氾濫原》 2 《雪原の陥没孔》 2 《陽光昇りの小道》 2 《氷のトンネル》 2 《不詳の安息地》 1 《廃墟の地》 1 《宝物庫》 -土地(25)- 3 《象徴学の教授》 2 《溺神の信奉者、リーア》 1 《砂漠滅ぼし、イムリス》 -クリーチャー(6)- |
4 《運命的不在》 3 《ゼロ除算》 3 《栄光の探索》 1 《複製する指輪》 4 《記憶の氾濫》 1 《シュタルンハイムの解放》 3 《ドゥームスカール》 2 《雪上の血痕》 2 《食肉鉤虐殺事件》 3 《日没を遅らせる者、テフェリー》 3 《情け無用のケイヤ》 -呪文(29)- |
2 《否認》 2 《才能の試験》 4 《襲来の予測》 1 《環境科学》 2 《マスコット展示会》 4 《過去対面法》 -サイドボード(15)- |
《ドゥームスカール》《雪上の血痕》《食肉鉤虐殺事件》、環境の三強とも言える全体除去を計7枚も備えた「エスパー(白青黒)タップアウト」だ。
3ターン目以降、相手のクリーチャーが並ぶたびにこれらで押し流し、クリーンな戦場を維持し続ける。
ただ全体除去を撃っているだけではいずれは手札が尽きてしまうので、青の補充手段を併用する。そんなわけでクリーチャーを展開し攻勢をかけてくるデッキ相手には全体除去1枚で2体以上を潰してアドバンテージを得て、第二陣、三陣と立て直したところにまた全体除去をかますために各種ドローを用い、圧倒的なカード・アドバンテージをもって相手の心をへし折る。これがこのデッキが描いた理想のシナリオだ。
全体除去にアクセスするためには《記憶の氾濫》でライブラリーを掘り下げながら手札を増やす。
これは長期戦にもつれ込ませることに成功した場合、フラッシュバックでもう一度用いて完全無欠の手札を作り上げてくれる。
同じくフラッシュバックという形でアドバンテージをもたらすのは《溺神の信奉者、リーア》。
《運命的不在》などを使いまわすだけでも強いが、リーア自身を巻き込む《ドゥームスカール》などをフラッシュバックすることも恐れずに選択するべし。《雪上の血痕》であれば死亡しても戻せるのが嬉しい。
同じくクリーチャーの《砂漠滅ぼし、イムリス》は相手のライフを攻める勝ち手段としても立派なもので、攻撃するたびにこちらは勝利へ、対戦相手は敗北に一歩近づいていく。
このイムリスと相性抜群なのが《日没を遅らせる者、テフェリー》だ。
イムリスはアンタップ状態であれば護法{4}と強烈な除去耐性を誇る。攻撃しつつこの能力を活かすためにテフェリーの能力でアンタップしようという算段だ。アーティファクトをアンタップできることも考慮して《複製する指輪》もこっそり採用しているところがオシャレだね。
テフェリーの[-2]で手札を得つつ、合間に[+1]のアンタップでタップアウト状態から少し使えるマナを用意し、軽いインスタントを構えるということも可能だ。
その際に用いるのは《ゼロ除算》。
確定の打ち消しではないのでその場しのぎではあるが、打ち消しとしてだけでなくクリーチャーなどを戻してしまう手段としても機能する点を買われての採用だ。すでに危険なパーマネントが出ている状況で打ち消しを引くのは悲しいからね。
相手が自分よりもアグレッシブに仕掛けてくることが分かりきっているのであれば、出る前でも出てしまってからでも時間稼ぎになる《ゼロ除算》は優れた1枚である。講義・カードによる巻き返しにも期待できるしね。
テフェリーにリーアやイムリス、除去枠の《情け無用のケイヤ》など伝説のカードが多く採用されているので《栄光の探索》はいい仕事をしてくれるだろう。
これでしっかりとライフを得たいので、2色土地はタップ状態で戦場に出る氷雪土地がメインとなっている。タップアウト戦術だからこそ許される土地構成と言えよう。どうしても行動が1ターン遅れがちではあるが、そういう弱点は《ドゥームスカール》などでカバー。《栄光の探索》のライフ回復に加えて、これから《食肉鉤虐殺事件》を持ってくればさらに除去しながらの回復が見込める。ギリギリまで相手の攻撃を受けつつも、危険域を脱出しながら後半の巻き返しに繋げよう。
サイドボードには打ち消しがびっしり採用されているのも面白い。コントロール同型ではタップアウトも何もあったもんじゃないので、テフェリーで行動回数を増やしながら要所を打ち消してゲームの支配権を手に入れていこう。
というわけで今回は対戦相手のターンに土地をタップ状態で過ごすことがリスクにならない、自分のターンでの行動を重視したコントロールデッキを紹介した。必ずしも打ち消しを構えるのだけがコントロールではない、ということが伝われば幸いだ。それじゃあ、良きコントロールライフを!
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