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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:コンボの宝庫、マルドゥ・ゴブリン(ヒストリック)
毎週平日にマジックのデッキを紹介する当コラム、デイリー・デッキ。その中でも金曜日は強さや実績よりも、そのデッキがどれだけカッコいいか、すなわちクールかどうかを選定基準にしている。それが「今週のCool Deck」のコーナーだ。
クールの基準は人によって違うし、選ぶ僕自身もその時の気分で変わっているという自覚がある。不定なもの、それこそがクールなのかもしれない。すべてにおいて重視すべきはリストを見てビビッとくる直感的なものがあるか否か。
そんな風にいつも通り、楽しみながらクールなデッキを探していると……制作者自身の言葉として「cool」と書かれているものが目に留まった。自称Coolであるからにはクールなデッキ研究者としては見逃すわけにもいかない。
正面から正々堂々と拝ませてもらうと……声に出ていたかはわからないが、思わず「Cool……」という感想が自然と出てきた。自信をもって世に送り出したクールなデッキは、必ずや他人に伝わる。今回紹介するのはTwitter上で見つけたこのデッキ!
4 《古代の聖塔》 4 《手付かずの領土》 2 《サヴァイのトライオーム》 4 《血の墓所》 1 《荒廃踏みの小道》 4 《聖なる鋳造所》 1 《感動的な眺望所》 4 《針縁の小道》 -土地(24)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《飛び道具の達人》 4 《朽ちゆくゴブリン》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの女看守》 3 《ゴブリンの鎖回し》 2 《太っ腹、グラングリー》 4 《光明の繁殖蛾》 3 《投石攻撃の副官》 1 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(33)- |
3 《厳粛》 -呪文(3)- |
3 《軍勢の戦親分》 1 《ゴブリンの鎖回し》 1 《ゴブリンの首謀者》 1 《ゴブリンの損壊名手》 1 《上流階級のゴブリン、マクサス》 3 《大祖始の遺産》 2 《マグマのしぶき》 2 《無情な行動》 1 《破滅の刃》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
ヒストリックのゴブリンデッキだ。ゴブリンと言えば同族を参照する、部族シナジー第一のクリーチャータイプ。速攻を与える《ゴブリンの戦長》《ゴブリンの酋長》、速攻との相性が最高な《群衆の親分、クレンコ》、そして強いゴブリンをまとめて戦場に叩き出して一瞬で勝負を終わらせる《上流階級のゴブリン、マクサス》らが主役……なのだが。
このリストにおいてメインのマクサスは1枚のみ。そんなゴブリンデッキあんのかよ、という常識外れがもうクールじゃないか。そう、ゴブリンのシナジーは主要になって広く認知されているものだけでは決してない。この赤に白と黒を足した「マルドゥ・ゴブリン」はよりコンボ要素を重視した意欲作だ!
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:カードを揃えて即勝利、そのパーツ
そもそもこのデッキの制作者はどう自身のデッキをcoolと評していたのか。その内容は「the billions of combo just make this deck kinda cool!」というもの。要約すると「いくつものコンボルートがこのデッキをクールなものにしているぜ!」ってところだ。自慢するのももっともで、このリストには一体いくつあるんだと言わんばかりのコンボが含まれている。ではパーツごとに解説していこう。全部がコンボに関わるものなので、主要なものだけをとりあえず。
《スカークの探鉱者》:ゴブリンを生け贄に捧げてマナを得る。無限マナはもちろんのこと、マナ・コスト不要で生け贄に捧げられるという点が強み。
《朽ちゆくゴブリン》:頑強能力で生け贄に捧げても墓地から戦場に戻る。死亡した際に-1/-1カウンターが置かれていないことが戦場に戻る条件なので、カウンターを取り除くか、そもそも置かない工夫をすれば無限に戻ってくる。
《投石攻撃の副官》:これまたマナ不要の生け贄手段であり、対戦相手のライフを失わせる。コンボを抜きにしても単純にカードとして強く、粘るゲームプランを支えてくれる点は唯一無二と言える。
《光明の繁殖蛾》:飛行を持たないクリーチャーが死亡すると飛行カウンターをプレゼントして戦場に戻す、頑強と同じく、カウンターへのアンサーがあればこれまた無限に生け贄をプロデュースできてしまう。ゴブリンではないが、ゴブリン全般との相性が異常に良く、以前から好んで組み合わせるプレイヤーの姿もあった。
クールポイントその2:見よ、コンボのバリエーション!
では、上記のクールな主要パーツを用いたコンボを紹介しよう。かなり多いので覚悟してくれ!
無限マナ編1:《スカークの探鉱者》+《朽ちゆくゴブリン》+《太っ腹、グラングリー》or《厳粛》
-1/-1カウンターは+1/+1カウンターと相殺される。グラングリーの能力で頑強で戻ってきた《朽ちゆくゴブリン》は両方のカウンターを得て両方失う。真っさらになればまた生け贄に捧げても戻ってくる。《厳粛》でそもそもカウンターが置かれないという状態にしても同じくループが可能。
無限マナ編2:《スカークの探鉱者》+《光明の繁殖蛾》+《厳粛》(+その他ゴブリン)
繁殖蛾の飛行カウンターも《厳粛》で置かれないようにすれば何度でもゴブリンが蘇ってくる。とりあえずは探鉱者自身を生け贄に捧げることで無限にマナを得られるが、ここに他のゴブリンを加えて生け贄に捧げた場合は、それの戦場に出た時の能力を任意の回数誘発させられる。《ゴブリンの女看守》や《上流階級のゴブリン、マクサス》で好きなだけゴブリンを得て、《ゴブリンの鎖回し》で無限ダメージでフィニッシュ!
無限投石編1:《投石攻撃の副官》+《朽ちゆくゴブリン》+《太っ腹、グラングリー》or《厳粛》
探鉱者と同じく生け贄時にマナを必要しない副官に置き換えれば、言うまでもなく対戦相手のライフを無限に失わせられる。どれだけのライフ差がついていてもこの3枚、あるいは…
無限投石編2:《投石攻撃の副官》+《光明の繁殖蛾》+《厳粛》
これら3枚で大逆転可能というのは実にクールなリーサルウェポンだ。
意外なルート編:《投石攻撃の副官》or《スカークの探鉱者》+《朽ちゆくゴブリン》+《光明の繁殖蛾》
上記のパターンから、要するに《朽ちゆくゴブリン》には《厳粛》か《太っ腹、グラングリー》、《光明の繁殖蛾》には《厳粛》という組み合わせで無限が発生するというのが法則というのは分かるが、実は《光明の繁殖蛾》+《朽ちゆくゴブリン》の組み合わせでも無限は起こる。
パッと見、2枚に繋がりはないように見えるのだが……繁殖蛾がいる状態で《朽ちゆくゴブリン》が死亡すると、繁殖蛾とゴブリン両方の能力が誘発する。繁殖蛾の能力で戦場に戻したとしよう。そうすると《朽ちゆくゴブリン》の状態は飛行を持った2/2になる。で、この後もう1回《朽ちゆくゴブリン》を生け贄に捧げると、飛行は持っているので繁殖蛾は誘発しないものの今度は自身の頑強能力で戦場に戻る。状態としては-1/-1カウンターが置かれて1/1なだけ。飛行を持っていない、ということでここから生け贄に捧げると飛行を持った2/2で戻ってくる。またノン飛行、飛行と交互にモードを切り替えて無限に出し入れ可能なのだ。これ、実際にプレイしてみてちょっと感動したね。隠しルート的なクールあふれるコンボ、一度体感すべしだ。
さらなるクールのために
土地の構成は調整しなければならないだろうが、《厳粛》があるなら《九つの命》もサイドボードなんかに忍ばせて、アグロデッキに対して不死身になってしまうというのもまたひとつのクールな選択肢だな。
自身にとってのデメリット、相手にとってのメリットに繋がるカウンターの類を用いるパーマネントと組ませるということを意識して、デッキの可能性をクールに拡張してみよう。
クールなまとめ
今回のデッキは勝手にクールな挑戦状として受け止めさせていただいた。結論として、お見事ッッ!これぞクールデッキに恥じない、独自チューンの施されたコンボゴブリン!
今後さらなる変化を加える余地もあるように見えるし、作者の次回作にも期待したいところ。皆もアッと言わせてくれるようなクールすぎる挑戦状、叩きつけてみてほしい。それじゃあ今週はここまで。Stay cool‼ Show me your coolest deck!!
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