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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グルール・シャーマン(ヒストリック)

岩SHOW

 多元宇宙の、とある次元に飛ばされたとする。

 流行りの転生ものってわけじゃないが、マジックの物語の舞台になった各次元は、我々の住んでいる世界と共通するところもあれば大いに異なる面もあって、そこで生きていくのは大変なことになるのは想像に難くない。

 都合の良い展開でそこの住人と言葉は通じたとして、さあどうしよう。最も現実的な選択は、村や町に赴いてとにかく生きていくのに必要な衣食住の確保。すなわちそれに繋がる職業を探すべきではないかな。

 さまざまな魔法が存在する次元において、我々の住まうこの地球での人間の職業とは全く異なるお仕事をしなければならないかもしれない。むしろ、そういう仕事を積極的にやっていきたいと個人的には思うね。

 例えば……屍術師とかはちょっと怖いかなぁ。墓に行って誰かを蘇らせる、かなり難易度も高いしそもそも違法である可能性もある。錬金術師は面白そうだけども、化学の知識が求められるのと危ない薬品を扱うのもハードルが高いよなぁ。

 そんなちょっと危険で個性的なお仕事のひとつに、やってみたいものがある。シャーマンだ。

 シャーマンってそもそもなんのか。わかりやすいところだと日本なら巫女がシャーマンであると言える。何らかの信仰を持って神や精霊、祖先と繋がる人・魂を扱い、予言やアドバイスを行い、霊的な治療を施す人、要するに目に見えない霊的世界とこの物質世界との橋渡し的な役目を担う職業だ。

 シャーマンの語源はロシア語だそうで、シベリアの厳しい大地を生きる人々はその地の精霊の声を聴いたり、祖先からの助言に従って行動していたのだろう。今でもアフリカには多くのシャーマンがいるそうで、個人的には精霊信仰など自然をリスペクトする生活はなんだか良いなぁと思っているので……シャーマンがいる次元で、高名な方に弟子入りして生きていきたいもんだな。

 ラヴニカ次元のグルール一族に入門とか理想的だ。ちょっとヤバい薬草とか生き物とかを取り扱うかもしれないが、そこは根性で何とかなるだろう。次元や団体によっては結構ヤバい儀式を行っている面々もいるようだが……そう、エレメンタルやスピリットと繋がれるシャーマンは多元宇宙のあらゆる次元でそれぞれの信仰に基づいて、今日も祈りを捧げたりまじないを行っている。

 そんなシャーマンが大集合したデッキがヒストリックの「グルール・シャーマン」だ。

Flavio Ausilio - 「グルール・シャーマン」
ヒストリック (2021年9月5日)[MO] [ARENA]
4 《
1 《
4 《踏み鳴らされる地
4 《根縛りの岩山
4 《岩山被りの小道
1 《ハシェプのオアシス
2 《ラムナプの遺跡
-土地(20)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《炎樹族の使者
4 《エルフの幻想家
4 《ゴブリンの壊乱術士
4 《調和の神童
2 《獣相のシャーマン
4 《憤怒の鍛冶工
4 《歴戦の紅蓮術士
2 《砕骨の巨人
2 《太っ腹、グラングリー
-クリーチャー(34)-
4 《集合した中隊
2 《髑髏砕きの一撃
-呪文(6)-
2 《土覆いのシャーマン
2 《再利用の賢者
1 《運命の神、クローティス
3 《ゴブリンの廃墟飛ばし
2 《魂標ランタン
3 《削剥
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
Flavio Ausilio氏のTwitter より引用)

 

 『Jumpstart: Historic Horizons』にてシャーマンは大幅強化を受けた。何といっても《憤怒の鍛冶工》の再録、これがないと始まらない。

 戦場に出た際にすべてのシャーマンに+1/+1カウンターという形で永続的な強化を与え、そしてそれらカウンターの置かれたクリーチャーで攻撃すると対戦相手に直接ダメージを与えられるという、攻めに特化したシャーマン界至高の部族シナジーカードだ。

 というか実際問題、シャーマンを参照するカードは戦士やウィザードといったメジャー職業に比べて非常に少なく、その割にシャーマン・タイプのクリーチャーは意外にも多い。ヒストリックにもいつか鍛冶工が来ないかと、一部のマニアが待ち望んでいた1枚なのだ。

 そんな鍛冶工が単騎で来てくれただけでも十分なところに、さらに心強い味方も一緒にやって来たのだからたまらない。《調和の神童》である。

 これ自身はウィザードであるものの、その能力はウィザードとシャーマンに作用するという変わり者。そしてその実態は、シャーマンの能力が誘発する際に、それをオマケでもう1回という、2マナのクリーチャーが持つには破格の性能。これつまり、鍛冶工のカウンターを置く能力もダメージを与える能力も、両方倍になるってわけだ。サイズアップもエグいが、ダメージ倍増が鬼強。この誘発だけで15点とか削ってしまうこともあるくらいだ。

 この神童→鍛冶工という必殺ラインを備えたのがヒストリックの「グルール・シャーマン」である!

 他のシャーマンも見てみると、神童と組み合わせて強いものばかりで思わず口角が上がってくる。ヒストリックを代表するカードの1つである《炎樹族の使者》。

 彼女は2マナで唱えて2マナが出る、実質無料のフリースペルなのだが……この2マナを加える能力も2回誘発。つまり2マナが4マナに膨れ上がる、まさかの大マナ加速! そのマナで展開するカードは《エルフの幻想家》でドローして得るべし!

 もちろんこれらのシャーマンの誘発型能力は、神童の枚数が増えれば増えるほど誘発する回数も増える。2マナが6マナに、カード1枚で4枚ドローしたりなんていうのも決して夢ではない。このバカげた展開力の前には、ほとんどのデッキが為す術なく物量で押し切られてしまうだろう。

 なので《調和の神童》は見たら即除去・打ち消し・ハンデスを! まあそうしたところで、中隊でシャーマンと神童が一緒に出てくる時はどうしようもないんだけどもね。

 サイドボードの《ゴブリンの廃墟飛ばし》にも注目だ。

 このゴブリンはキッカー込みの4マナで唱えれば、戦場に出た際に土地を破壊できる。この能力は多くのコントロールやコンボにとって致命的に機能するので積極的に狙っていきたいおものだが、忘れちゃいけないのはこの廃墟飛ばしもシャーマンであるということ。つまり神童がいれば基本でない土地を2枚叩き割れる! これは決まればそのまま決着レベルのデンジャラスコンボで、むしろメインデッキから狙っていっても良いんじゃないかと思わせる。

 《ゴブリンの壊乱術士》なんかでマナを食いがちなデッキをしっかりと支えつつ、やりたいことやってやろうぜ!

 というわけでシャーマンに就職希望な方は、身近に神童と呼ばれるような素晴らしいメロディを奏でる人がいないかを確認しよう! その人の横で祈祷を行えば、霊験あらたかな名シャーマンとして明るい未来がやってくるに違いない!

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