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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
Dack'n Karn:Super Friends(レガシー)
デッキとはある種の共演の舞台だ。このカードとあのカードを一緒に使う、その時に目の前に広がる光景をイメージしながら構築するのはとても楽しいこと。デッキの組み方に迷ったら、まずは原始的でもこういうビジュアルの楽しさから考えていくと、何かを掴めるかもしれない。
共演させて楽しいものといえば、やっぱりプレインズウォーカーかな。このカードタイプが登場した当初から、各プレインズウォーカーを戦場に並べて夢の共闘を実現させるデッキというのは組まれ続けてきた。特に接点のあるキャラクター同士だと、胸も熱くなるってなもんで。
当コラムで紹介するデッキのためにあれやこれやとリストを漁っていると、おぉこれは!とグッとくる組み合わせを発見。それは盗賊プレインズウォーカーのダク・フェイデンと銀のゴーレムであるカーンの組み合わせだ。
かたや次元を股にかける盗人、かたやウルザの後継としてファイレクシアとの戦いに備えている旧世代からのプレインズウォーカー。接点は全くなさそうな彼らだが、『灯争大戦』の背景ストーリーではともに、ある作戦に参加している(チームの残る2人はサムトとオブ・ニクシリス。凄いメンツだ)。彼らはアモンケット次元でニコル・ボーラスの使命に従うテゼレットと戦い、ダクがその気を引いてカーンが目的を果たすという共闘を披露した。
それぞれの能力で見ても、アーティファクトに触れることで記憶を読み取れるダクと、アーティファクトそのものでありそれらを自在に動かすカーンとではなかなか相性も良さそうで、この2人の冒険をもっと見たかったなとも思ってしまう。
ストーリー上ではそれはもう叶わないのだが、レガシーでは彼らを共演させることが可能! 夢の続きはゲームでね……というわけで今回はダクとカーンがそれぞれ4枚採用された、なかなか凄い構成のレガシーデッキを紹介だ。
1 《島》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 4 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 4 《次元間の標》 -土地(21)- -クリーチャー(0)- |
4 《液鋼の首飾り》 1 《アゾリウスの印鑑》 1 《イゼットの印鑑》 2 《否定の力》 1 《神秘の論争》 4 《意志の力》 4 《虚空の杯》 4 《ダク・フェイデン》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《支配の片腕、ドビン》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《大いなる創造者、カーン》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(39)- |
1 《教議会の座席》 1 《トーモッドの墓所》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《歩行バリスタ》 1 《墓掘りの檻》 1 《ポータブル・ホール》 1 《液鋼の塗膜》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《神秘の論争》 1 《罠の橋》 1 《マイコシンスの格子》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《支配の片腕、ドビン》 -サイドボード(15)- |
それぞれに《ダク・フェイデン》と《大いなる創造者、カーン》としてデッキの主役を務めているが、これら以外にも総勢22枚のプレインズウォーカーが採用されている絵面がヒーロー映画みたいでかっちょいい。
この手のプレインズウォーカー大量デッキは「スーパーフレンズ」なんて呼ばれたりしたが、これほどの数のフレンズが並ぶ光景はまさしくスーパーと形容するべきワンシーンだ。共演に次ぐ共演でテンションもブチ上りそう、これだけでもプレイしたくなる魅力があるね。
クリーチャーは不採用で、すなわちコントロールを重視したデッキというのがわかる。プレインズウォーカーを唱えるためにはマナが必要で、不特定マナを支払うためにレガシーならではの2マナ土地、《古えの墳墓》と《裏切り者の都》を搭載。これで戦場に我らがヒーローが降臨するのを少々ショートカットできるのと同時に、1ターン目に《虚空の杯》をX=1で設置し、大半のレガシーデッキの序盤を抑え込むのも狙っている。
それ以外のマナ域の呪文は《意志の力》《否定の力》などで打ち消したり、もちろん杯をX=2で置いたりしても良い。
《支配の片腕、ドビン》で追加コストを要求し、インスタントタイミングでの行動は《時を解す者、テフェリー》で禁止、ドローも《覆いを割く者、ナーセット》で阻害と、プレインズウォーカーらの常在型能力も相手の自由な行動を防ぐものがズラリ。これらで盤面の支配を確立していく。
杯を最序盤に置ければ対戦相手の展開はかなりスローダウンするが、そうはいかなかったり撃ち漏らしたりしたものがあると一転ピンチを迎えることになる。プレインズウォーカーの天敵はクリーチャー、これが1体でものびのびと攻撃してくるとプランは大きく崩れることになる。
そんなわけでコントロールとしては除去をしっかり用意したいのだが…このデッキにそれは1枚も採用されていない。ワオ、どうするんだ? そこでダクの出番ってなわけよ。
《ダク・フェイデン》の[-2]能力はアーティファクト1つのコントロールを永続的に得るというもの。これと《液鋼の首飾り》を組み合わせる。
このマナ加速アーティファクトは、パーマネント1つをアーティファクト化させる能力も持つ。これで対戦相手のクリーチャーをアーティファクトにしてしまい、ダクでそれをかっさらうのだ。
ターン終了時にはアーティファクト化は解除されるが、それでコントロールが戻るということもない。ダクというやや癖のあるプレインズウォーカーを4枚搭載しているのはこのコンボのためなのだ。
また《液鋼の首飾り》はカーンとも相性抜群。《大いなる創造者、カーン》の常在型能力は対戦相手のアーティファクトの起動型能力を禁じてしまう強力なもの。対戦相手のアップキープに《液鋼の首飾り》でクリーチャーなりプレインズウォーカーなりをアーティファクト化させてしまえば、それの能力が起動されることはなくなる。土地もアーティファクト化させられたらマナを封じる手立てにもなるので、そのためカーンの[-2]で持ってくるためにサイドボードには《液鋼の塗膜》を。さらにはもう全部何もかも封じてしまおうというのであれば《マイコシンスの格子》をお使いくださいと。
ダクとカーンと液鋼、これがこのデッキのメインテーマなのだ。カーンは他にも《罠の橋》でクリーチャーを完全にシャットアウトしたり、勝ち手段の1つである《歩行バリスタ》に繋げたりと縦横無尽に活躍してくれることだろう。ダクの泥棒としての腕でそれをサポートすることが勝利への道である。
このような独創的なリストではあるが、Magic Onlineのイベントで8位にランクインしている。ダクとカーンの夢の共演という楽しさを追求しつつ、しっかりと強さも併せ持っているデッキ……素敵だね。我々もこのようなデッキに挑戦し続けていきたいものだ。
レガシーはそういう楽しみ方を肯定してくれるフォーマットだと思っているので、今プレイされている方はどうぞ末永く楽しんでね。
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