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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
緑単アグロ(スタンダード)
環境初期は単色のアグロデッキが隆盛する。昔から言われ続けている格言だ。
最近ではコントロールが確立されている状態で新環境を迎えることも増えて、そうとも言い切れなくはなったのだが、それでもなおこの説が囁かれることには、ひとつ大きな理由がある。マナ総量が大きいカードよりも小さいカードの方が、そのカードパワーの強弱の判断が簡単だからである。
低コスト、それこそ1~2マナのカードには能力は多く与えられない。だからこそ能力を2つ以上所有するものは他と浮いて見える。高コストのカードであればいずれも多くの能力を持っているので、どれが強いかは一目ではわかりにくく、ひとつひとつ試さなければならないのに比べると、低コストのカードはスッとデッキに採用しやすい。クリーチャーサイズの差もわかりやすく、単色の1~2マナで3/3あればそれだけでもう強いということがハッキリとわかる。
『フォーゴトン・レルム探訪』を例に挙げれば、《蜘蛛の女王、ロルス》や《モルデンカイネン》はどんなデッキでどれほどの活躍をするのか、カードを見ただけでは想像しにくい部分があるのに対して……《群れ率いの人狼》なんかはものすごくわかりやすい。
緑単色のアグロの2マナ圏を担えるだけのサイズと能力を持っているな、と。
そんなわけでこれを採用した「緑単アグロ」はランク戦やトーナメントでも多くのプレイヤーが選択するデッキとなったわけだ。今回は全101名のプレイヤーが参加したオンライントーナメントにおいて10勝0敗の優勝を成し遂げたリストを紹介しよう。
20 《冠雪の森》 3 《不詳の安息地》 -土地(23)- 4 《群れのシャンブラー》 2 《漁る軟泥》 2 《群れ率いの人狼》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《恋煩いの野獣》 4 《水晶壊し》 3 《探索する獣》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(27)- |
2 《吹雪の乱闘》 2 《強行突破》 2 《レンジャー・クラス》 2 《グレートヘンジ》 2 《原初の力》 -呪文(10)- |
2 《鎖巣網のアラクニル》 2 《漁る軟泥》 3 《ガラクの先触れ》 2 《蛇皮のヴェール》 1 《強行突破》 2 《影槍》 3 《解き放たれた者、ガラク》 -サイドボード(15)- |
緑単色のアグロデッキを構成するものは、まず第1にクリーチャー。1マナから4マナまで、リストによっては5マナ以上も搭載しており、いずれもサイズに優れたもの or ひと癖あるものが揃っている。個人差もあるが、このリストではクリーチャーが27枚となっているように、大体30枚前後は採用している。
《カザンドゥのマンモス》《恋煩いの野獣》とパワフルな打点を誇る面々により《群れ率いの人狼》の「集団戦術」を誘発させるのは簡単だ。
《石とぐろの海蛇》など+1/+1カウンターが置かれるクリーチャーも多く、《群れのシャンブラー》により除去を撃たれてもタダではやられない。
これらに《水晶壊し》を変容して上に重ねることで。対戦相手のパーマネントに対処しながらサイズの大きなクリーチャーを作り出して重い一撃を叩き込める。地上での殴り合いでは絶対に負けないという、緑の意志を感じる顔ぶれになっているね。
第2の構成要素は除去。アグロデッキにおいては自分を守るのはもちろんのこと、ブロックを阻止してダメージを叩き込んでいち早く勝利するという意味でもかなり重要。かと言ってこれを入れすぎるとそれはそれでクリーチャーの枠を圧迫するので、枚数の調整は難しいところ。
1マナで破壊不能も付与する《吹雪の乱闘》と、サイズアップさせて打点にも貢献する《原初の力》は格闘をさせる緑ならではのソーサリー除去。
そして格闘と似て少々異なる《強行突破》は、タフネスが低くとも一方的に潰せて、なおかつインスタントというのが優秀だ。
1マナと軽くて使いやすいものか、打点上昇でクリーチャーが出てこなくても意味があるものか、インスタントでありプレインズウォーカーにも飛ぶし対戦相手にダメージをねじ込めるものか、一長一短。どれを何枚メインに採用するかは、仮想敵を考えながら各自の感性で決めよう。
そして最後の要素となるのがアドバンテージ源。クリーチャーをただ出しているだけでは手が尽きてしまうので、手数をリカバリーする手段を設けておく必要がある。
《グレートヘンジ》はこのデッキの定番であったが、状況によってはコストが払えずに使いにくい側面も持っている。そういう点でより軽く使いやすいカードとして参入したのが《レンジャー・クラス》。
2マナという軽さで、2/2のクリーチャーも兼ねている点がまずエラい。ここからレベルを上げていくと、クリーチャー強化とライブラリーから直接クリーチャー・呪文を唱えるという、アグロデッキにとって理想的なエンジンを担えるポテンシャルを持つ。複数枚引いても無駄にならず機能するのも悪くない。
何枚採用するかはこれまた難しいところで、このリストのように2枚をアクセント的に採用しているものから、4枚ガッツリ主戦力に据えているものまで人それぞれ。とりあえずは少数でも良いので使ってみて、強いなぁと実感したらワイルドカードを使うなりパックを剥くなりして追加を手に入れデッキを練っていこう。
大規模な大会で勝ったリストなので信頼できるものでもあるし、「緑単」そのものがかなり勝てそうなチャンスというのも伺える。果たして研究されて落ち着いてしまうのか、あるいはここからさらに緑単側も敵に合わせて進化していくのか。サクッと手軽に回せてランク戦も回数がこなせる、即ち世界中のプレイヤーに寄って研鑽されていくことになるので、環境が進んでいく中でどのように変化していくのか……? そういう面から見ても面白く、オススメできるデッキだね!
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