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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:ビホルダーに注目せよ!青黒コントロール(新スタンダード)
今週もクールなデッキを紹介するコーナー、始まるよ!
『フォーゴトン・レルム探訪』のオンライン・リリースということで、今回は特別編。最新セットのカードを使ったデッキを考えてみよう! まあ、毎度新セットが出るタイミングではお約束のパターンだね。
今回はスタンダードを経由する通常のセットで、ダンジョンズ&ドラゴンズとがっつりコラボした特別なものだ。もうこの時点でクール! しかもカード名やテキストなには、同ゲーム内で用いられる選択肢や各種能力がそのまま記されており、テーブルトークRPGの雰囲気がしっかりと再現されている。《君は二匹のゴブリンを見つけた》とか《君は川にたどり着いた》とかね、こりゃあクールと言う他ありませんなぁ。
というわけで雰囲気抜群の新セットの中からカードをチョイスしてデッキを作っていくわけだが……今回はダンジョンズ&ドラゴンズならではのクリーチャーを用いたデッキにしてみよう。RPGの祖である同ゲームのオリジナル種族を取り上げたい、ということでチョイスはもちろんビホルダー!
その名前の由来は「behold」。「注視する」などしっかり見ることを意味する単語で、巨大な一つ目と触手の先に目玉を持つこの生物には相応しい名前だ。ビホルダーは浮力を利用してふわふわと移動し、その眼から光線という形で魔法を唱えて攻撃する。知性は高く、複数の言語を用いるそうだ。
そんなビホルダーの中でも伝説のクリーチャーとしてカード化されたのが《ギルドの重鎮、ザナサー》!
このワルそうな顔! それもそのはず、ザナサーが従えるギルドとはザナサー盗賊ギルドという集団のこと。あるいは「目のエージェント団」なんて呼び名もあるとか。このビホルダーは自身のライバルとなる同種を除去した広大なテリトリーの主人となり、一帯の奴隷交易を支配しているのだとか。
そんな悪党に相応しく、ザナサーのカードはまさしく極悪。自分のターンが来るたびに、対戦相手1人に対しそのターンにおいて呪文を唱えることを禁止する。インスタントの除去や打ち消しはその瞬間から無意味になってしまうと。
そして対戦相手のライブラリーの一番上を見て、それをプレイしちゃっても良いというとんでもない形でのアドバンテージを提供する。《未来予知》の発展形、邪悪すぎてクール!
今日はこのザナサーを用いたスタンダードのデッキを考えてみよう、まずはベースとなる既存のデッキから!
9 《冠雪の島》 7 《冠雪の沼》 1 《氷のトンネル》 1 《ヴァントレス城》 2 《廃墟の地》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 2 《群れの笛吹き男》 4 《厚かましい借り手》 1 《航海の神、コシマ》 -クリーチャー(7)- |
4 《選択》 4 《襲来の予測》 4 《旋風のごとき否定》 3 《悪意の熟達》 2 《多元宇宙の警告》 2 《激しい恐怖》 1 《絶滅の契機》 2 《サメ台風》 2 《崇高な天啓》 2 《キオーラ、海神を打ち倒す》 1 《魔法の鏡》 2 《時の支配者、テフェリー》 -呪文(29)- |
2 《不詳の安息地》 1 《トーモッドの墓所》 4 《取り除き》 4 《才能の試験》 3 《否認》 1 《影の評決》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの青黒2色のコントロールデッキ……の中でも、このリストはクール度が高いもの。
大抵のデッキは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に据えているのだが、それをせずに60枚にまとめている。80枚もクールだけれども、やっぱり60枚はクールかつビューティフル!
そしてゲームを終わらせるフィニッシャー枠に《群れの笛吹き男》!
これはなんともたまらないクールさを放つ1枚で、ネズミを量産してはクリーチャーのコントロールを奪うということを繰り返せたら、それは最高のゲーム体験になることだろう。
デッキを構成するのは青のドローと打ち消し、そして黒のクリーチャーやプレインズウォーカーへの除去が大半を占めており、自分のターンで大胆に動くということはそれほどせず、対戦相手の様子を常に伺いながら見過ごせないものを打ち消していく。
こちらは《多元宇宙の警告》で手札を増やすので、相手だけが一方的に攻め手を失っていく。資源の差が付いたらもうゲームをひっくり返すのは困難、あとはじりじりと締め上げていくだけだ。
長期戦が好みのプレイヤーにオススメな、伝統的な「青黒コントロール」。これのフィニッシャーにザナサーはまさしくぴったり。生き延びればゲームを支配してしまう、そのパワフルさを体感するには、とにかく対戦相手を疲弊させフラフラの状況まで追い込みたい。コントロール向きの新カードをリストからいくつか抜粋して紹介しよう。
まず、全体除去の新しい可能性。《スフィアー・オヴ・アナイアレイション》!
名前もクールだがその能力も同様にクール、誘発までは1ターンを要するが先置きしておける全体追放除去だ。しっかりと墓地まで巻き込むのが偉い。
ライフが大ピンチという場面では間に合わないが、いったん戦場に出ているものを処理しつつこれ以上の追加を抑止するという役割にはピッタリで、これで牽制しつつ盤面を掃除したら後続は打ち消しでシャットアウトというゲーム展開が理想的。
全体除去の枠をすべてこれに置き換えてしまうと上述のようにいざという時に苦しいので、《絶滅の契機》《激しい恐怖》《影の評決》とバリエーションを組み合わせて用いたいところ。赤単などの速いデッキ相手に2ターン目X=1で設置などできる点はとても優秀だ。
単体の除去で見れば《パワー・ワード・キル》は最近の黒によくある、対象に制限があるが2マナという軽さが武器の確定除去の系譜だ。
4種のタイプは除去できないため、2マナで便利だからとこれ4枚をぶっこむとそれはそれで危険ではあるが、大抵のクリーチャーデッキには問題なくヒットするのでメイン・サイドあわせて採用したい。
同じく単体除去を兼ねる《ゼラチナス・キューブ》は、サイドに用意しておくと輝くかもしれない。
「青黒コントロール」相手にクリーチャー除去はあまり残さずに他のカードと入れ替えてしまうので、相手のクリーチャーを取り込むこのウーズを安全に運用できそうだ。
打ち消し呪文の枠には派手さはないがシブいカードが。その名もクールな《君は悪党の住処を見つけた》はモード選択式の呪文で、打ち消しとして用いるのがベストではあるが、いざという時には手札入れ替えタイプのドローとして働く。
もう十分に土地が戦場に出ている際には出さずに手札に置いておいて、打ち消しを構えるよりさっさとこちらから仕掛けた方が良い場合にはそれらの土地と入れ替えでザナサーなどの攻め手を得るために働いてくれる。
《ゲートを塞げ》は打ち消し対象が限られるが、その分ボーナスとしてダンジョン探索が行える。
ダンジョンは全く新しい未知数の要素で、それだけでもワクワクできるクールなものだ。今週末はこの文字通り未踏のメカニズムに踏み込んで、どれほどの恩恵を受けられるのか体感してみたいところ。
とりあえず今回このコラムを執筆している時点ではまだ全カードは公開されていないので、レビューはこのあたりで。上記を踏まえて、ザナサー入りの青黒コントロールをザックリとリストにしてみたのが以下のものだ。
7 《冠雪の島》 7 《冠雪の沼》 4 《清水の小道》 1 《ロークスワイン城》 1 《ヴァントレス城》 1 《廃墟の地》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 2 《厚かましい借り手》 2 《残忍な騎士》 1 《航海の神、コシマ》 2 《ギルドの重鎮、ザナサー》 -クリーチャー(7)- |
4 《選択》 1 《湖での水難》 4 《襲来の予測》 1 《旋風のごとき否定》 4 《多元宇宙の警告》 2 《悪意の熟達》 2 《絶滅の契機》 1 《激しい恐怖》 2 《サメ台風》 1 《崇高な天啓》 1 《精霊龍、ウギン》 2 《パワー・ワード・キル》 2 《君は悪党の住処を見つけた》 1 《スフィアー・オヴ・アナイアレイション》 -呪文(30)- |
2 《不詳の安息地》 2 《取り除き》 2 《無情な行動》 2 《否認》 2 《才能の試験》 3 《神秘の論争》 1 《影の評決》 1 《スフィアー・オヴ・アナイアレイション》 -サイドボード(15)- |
まだまだクールとは呼べない、雛型も良いところ。しかしそんな仮組みでも、消耗戦の末にザナサーが戦場に出て無事にターンが返ってきたらどうなるか……考えただけでニヤニヤしてしまう。
他のフォーマットで、ザナサーと組み合わせたいカードとしては《対称な対応》がある。
お互いが好きなカードを探してライブラリーの上に置く、本来なら相手に恩恵を与えるので使いにくいソーサリーなのだが、ザナサーがいる状況でこれを唱えると相手は強いカードを持ってくるわけにはいかなくなる。かと言ってどうでも良いカードを持ってくるとそれはそれでザナサーで唱えてもらえずにスルーされて自分が引く羽目になる。そのジレンマに悩んでいる間にこっちは悠々と強いカードをライブラリートップに仕込むのだ。無茶苦茶強い動きというわけではないが。なんだかクールだろう?
というわけで今回は《ギルドの重鎮、ザナサー》をはじめ、青と黒の新カードを採用した「青黒コントロール」を考えてみた。皆も各々クールなデッキを考えて、素敵な週末を楽しんでね。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Behold the Beholder!
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