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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
待ち合わせは苔橋で(レガシー)
マジックのカードは2種類に分かれる……と思うんだな。
まず、「こう使え!」と言わんばかりの、自己主張が激しいカード。パッと見てどんなデッキで活躍しているのかがイメージできるものだ。
そしてもう1種類、パッと見ではどのように使われるのかあまりイメージできない控えめなものだったり、初見のイメージとは全く別の形で使われるようなカードだ。
たとえば『モダンホライゾン2』の新カード《激しい叱責》。
クリーチャーの能力を1ターンの間だけ失わせるというこのエンチャント。対戦相手のクリーチャーの能力を失わせることでアドバンテージを得たり、コンボが成立するのを防ぐ、防御的な1枚に見えるが、自身のクリーチャーのデメリットを消してしまうという使い方もある。今回はそんなデメリットを消す方向で《激しい叱責》を用いるレガシーのデッキを紹介しよう。
まあ、それぐらいのことはイメージできたかもしれない。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と併せて使うとかね。しかしながら、今日紹介するリストはこれがなかなか腕白な逸品で、他のデッキでは見慣れないカードが乱れ飛ぶスペシャリティあふれるものだ。
ただでさえマニア好みのレガシーというフォーマットで、新たなマニア層を生みだしそうな期待のデッキを見てみよう!《激しい叱責》の登場でこんなデッキが存在感を示すなんて、全くイメージできなかったなぁ。
2 《冠雪の島》 1 《冠雪の森》 2 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 4 《虹色の眺望》 4 《苔汁の橋》 1 《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》 3 《ウルザの物語》 1 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《エルフの開墾者》 4 《ファイレクシアン・ドレッドノート》 1 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(13)- |
1 《森の知恵》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 4 《激しい叱責》 4 《実物提示教育》 4 《意志の力》 2 《全知》 -呪文(25)- |
1 《ボジューカの沼》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 3 《忍耐》 1 《基盤砕き》 2 《花の絨毯》 2 《夏の帳》 1 《自然への回帰》 1 《活性の力》 2 《全知》 -サイドボード(15)- |
1マナという軽さに12/12トランプルというキラースペック、そこにさらに乗っけられたのが「パワー12になるように生け贄用意してね☆」という強烈なデメリット。普通のデッキではこんなもの扱えるか!となってしまうのだが、この能力を《もみ消し》で打ち消すという手法でレガシーの初期には活躍していた。
この《もみ消し》の枠を《激しい叱責》に置き換えることで、ドローがついているならもしも除去されても1対2交換で損することなくて安心!というのがこのデッキの狙いの1つ。3ターン目にドレッドノート降臨で4ターン5ターンと殴って勝つ。シンプルな勝ち筋だ。
ただこのリストには、そんなドレッドノートをサイズで上回る怪物が他にもいるではないか。《引き裂かれし永劫、エムラクール》!
マジック史上最強との呼び声も名高い超巨大クリーチャーだ。15/15という桁違いのサイズに、攻撃するだけで対戦相手のパーマネントを薙ぎ払い、さらにはきちんと唱えた場合は追加ターンを得られるというゲームを終結させる存在。{15}という飛びぬけたコストのこのカード、ドレッドノートと同じデッキに採用して一体どのように運用しようというのか?
それがこのデッキが他と飛びぬけたところだ。《苔汁の橋》。
この土地は戦場に出た際に、ライブラリーの上からカードを1枚追放する。自分がコントロールしているクリーチャーのパワーの合計が10以上であるなら、能力を起動してその追放したカードをコストを支払わずに唱えられる。
そう、ドレッドノートと組み合わせることでその条件は満たせるのだ。2ターン目に《苔汁の橋》を出しておき、3ターン目にドレッドノートを唱える。これの能力が誘発し生け贄を求められるが、解決しない限りはドレッドノートは戦場に存在する。なのでこの誘発に対応して{G}, {T}で《苔汁の橋》を起動。《渦まく知識》や《思案》でエムラクールを仕込んでおけば……はい、勝利と。こりゃ派手なトリックだなぁ~。
ドレッド苔汁ルートだけではエムラクールを運用するのは少々厳しいので、安心と信頼の《実物提示教育》というルートもしっかり擁している。
これでエムラクールを出すもよし、あるいは《グリセルブランド》《全知》という他のパワーカードのコストを踏み倒すもよし、だ。
これらはもちろん苔汁から展開しても強いし、その上ドレッドノートを叱責して殴りに行くパターンもある。まさしく千変万化の戦術で、その時の手札や戦場の状況・対戦相手のデッキから最適解を見極めて、ベストな選択肢で攻めていきたいところだ。
このデッキは『モダンホライゾン2』リリース前にも組むことはできたが、デッキの完成度はリリース後の方が格段に上がった。それは《激しい叱責》が《もみ消し》に置き換わったことのみではない。キーカードのドレッドノートを確実に手に入れる手段として《ウルザの物語》も手に入れたからである!
Ⅲ章能力でドレッドノートを持ってきて、そのまま苔汁を起動! 《全知》! 手札から《グリセルブランド》、能力で7枚ドロー! エムラクールでフィニッシュ! というような流れるようなコンボの着火剤として、ドレッドノートをサーチ可能な《ウルザの物語》は、このドレッド×苔汁コンボを強力デッキと呼ぶにふさわしいレベルへと一気に押し上げたというわけだ。
ドレッドノート、エムラクール、グリセルブランド……多元宇宙随一の怪獣たちが苔むした橋の上に大集合。皆大好きウルザもいるよ!という感じでビジュアル面の楽しさと、プレイしていてしっかりと強いコンボであるという点が絡み合って、かなり分厚く太い、とことん楽しめるデッキ……その愛称は「オムニ・ブリッジ」とか「モス・ノート」とかまだ何とも定まり切ってはいないが、ブームになればビシッとハマる名前が定着するんじゃないかな。とにかく、要注目のわくわくコンボなのだ。
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