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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
デルバーは新キャラ山盛りに?(レガシー)
レガシーというフォーマットにおいて、「新キャラ」が活躍するハードルは高い。
最新のセットというのは基本的にスタンダードで使われることを第一に考えて作られているもので、カードプールの狭いスタンダードではあまり強すぎるカードというものはデザインしにくい。特定のカードやデッキしか使われなくなっちゃうからね。特にコストの低いカードに強いものが多くあってしまうと、序盤を重視したデッキばかりになってしまい、さまざまな戦略がぶつかり合うスタンダードという理想が失われてしまいかねない。
したがって通常のセットの低コストのカードは、強くなり過ぎないようにブレーキが掛けられている。それでも何枚かはマナ総量が2以下で強いカードが収録されていたりする。
レガシーはそんなセットの積み重ねおよそ30年分が一堂に会するフォーマットだ。なので多くのデッキは0~2マナの非常に軽いカードで構成されたものとなっている。珠玉の低コストカードと並んで、最新セットのカードが複数使用されるという光景はなかなか見られるものではないのだ。
しかし、あのセットであれば話は別だ。『モダンホライゾン2』はスタンダードに関係がない。低コストのカードを大量に収録したとてスタンダード環境が荒れるわけではなく、モダンやレガシーといったこのセットが使用可能なフォーマットではコストの軽さこそ正義。インパクトを与えることを意図しているのだから、何を恐れることがあるかと言わんばかりに低コストの強力カードが目白押しだ。
その結果、レガシーで新キャラもりもりのデッキが誕生するに至ったのだ。
1 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 2 《濁浪の執政》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 2 《二股の稲妻》 4 《目くらまし》 4 《表現の反復》 2 《否定の力》 4 《意志の力》 -呪文(28)- |
2 《外科的摘出》 3 《紅蓮破》 1 《猛火の斉射》 1 《墓掘りの檻》 3 《溶融》 2 《削剥》 1 《無のロッド》 2 《水没》 -サイドボード(15)- |
低コストクリーチャーの最高峰である《秘密を掘り下げる者》。
これの英名より、この昆虫化する人間とそれを使うデッキは「デルバー/Delver」と呼ばれる。このリストは青赤のデルバーで、デッキの歴史は長い。
青はデルバーとそれを変身させるためにライブラリーの一番上を操作する《渦まく知識》《思案》など軽量ドロー、そして変身したデルバーを除去から護ったり相手のコンボなどを防ぐため《意志の力》《目くらまし》とマナを支払わずに使える打ち消しを担当。
赤は主に火力で、《稲妻》などを除去として用いたりあるいは対戦相手のライフに撃ち込んだり。《僧院の速槍》という優れたクリーチャーがいたのも赤が使われる理由のひとつだった。
そんな青赤のデルバーの最新リストは。デルバー以外の残りのクリーチャー10枚がなんと『モダンホライゾン2』からの新キャラで固められている。こんな光景にはなかなかお目にかかれない、ちょっとした事件だ。それぞれ1枚ずつ確認していこう。
まずは「デルバー二世」の触れ込みで登場した《ドラゴンの怒りの媒介者》。
同じ1マナ1/1からスタートで、最終的には3/3飛行になるという点が似ているがゆえの評価であったが、使い勝手は大きく異なる。
媒介者がドラゴンの力を得る条件は昂揚だ。墓地に4種類以上のカード・タイプのカードが落ちている状況では強化されるので、ライブラリーを操作するデルバーとは異なり、墓地を肥やすことを全力で狙っていくことになる。
レガシーであれば《沸騰する小湖》などのフェッチランドや《不毛の大地》といった能動的に墓地に落とせる土地があり、インスタントやソーサリーも豊富でこれらを唱えていればポンポンと墓地が貯まる。このリストで最後の4つ目のタイプを担うのはクリーチャーで、これはデルバーなどを除去されたり打ち消されるか、あるいは媒介者自身が持つ諜報能力でライブラリーから墓地にクリーチャーを置くことで達成する必要がある。クリーチャーばかり引いてもしょうがないデッキではあるので、割り切って墓地に落として航空戦力の獲得を目指そう。
もう1つの赤い1マナクリーチャーは《敏捷なこそ泥、ラガバン》。
リリース前からかなり話題になっていた1枚で、伝説であっても4枚採用されるレベルのパワフルな能力の持ち主だ。1マナでパワー2と、1ターン目に出すには申し分のないクリーチャーで、2ターン目に攻撃が通ったなら宝物生成&対戦相手のライブラリーの一番上をくすねるという、多大なるアドバンテージをもたらしてくれる。
相手のデッキもほとんどは軽い呪文が採用されているものなので、土地や打ち消し以外のカードがめくれれば美味しくいただくことができるのだ。《渦まく知識》をこそ泥された時のことなど考えたくもないくらい、強力なおサルさんだな。そのままデルバーを出されたりしたらもう次のターン変身するのは確定みたいなもんなので、場合によっちゃマジで投了モノだ。
最後の新キャラは青から《濁浪の執政》。
7マナと重いが探査能力を持つので、実質2マナみたいなもんである。呪文の連打や土地の使用、そして媒介者の諜報で膨れ上がった墓地をコストに、少ないマナでドラゴンを戦場に呼び出そう。昂揚を保ちながら唱えたい場合には追放するカードに気を付けよう。
この探査の際に追放したインスタントとソーサリーの数だけ+1/+1カウンターが置かれて戦場に出るので、こいつは《墓忍び》も裸足で逃げ出すサイズにまで成長してしまう。消耗戦の末に最後のワンパンをねじ込むにはうってつけで、必要のない序盤はライブラリーの上に置いて媒介者で墓地に送ったり、《意志の力》&《否定の力》のコストとして追放してしまっても問題ない。青いということはレガシーでは正義なのだ。
バラエティー豊富な新キャラによって攻める力が大きく向上した青赤のデルバーデッキ。非クリーチャー呪文を見ても、《表現の反復》が4枚採用されているね。
この呪文はスタンダードからレガシーまであらゆるフォーマットで強さを発揮する、非常にポテンシャルの高いアドバンテージ獲得カードだ。冒頭でも述べたように、とにかく軽い呪文が多いレガシー。1マナのカードを追放したならこれを唱えるというのは楽勝なので、美味しくアドバンテージを得ながら優秀なクリーチャーで押し切りたい。
ここまでナイスな連中が揃えば、クリーチャーのために3色目を足すということはもう必要ないのかもしれない。激変した伝統的なデッキの、今後の動向に注目だ。
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