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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:グルール・オボシュ・X(パイオニア)
不確定なことにこそクールさが潜んでいる、そう思わないか?
というわけで今週もやってきました金曜日、Cool Deckのお時間が。クールなデッキ、組んでますかぁぁッ!……うん、良い返事だ。
で、冒頭に戻って。マジックを始めたばかりの頃。そのデザインのクールさに中学生当時の僕や友人は圧倒されたわけだが、個人的に「海外産のゲームをやってるな」というクールさを特に感じたのが「X」の存在である。マジックのカードには、マナ・コストやテキストにXを含むものがそれこそ数えきれないほどある。有名どころだと《火の玉》。始めた当時は《熱光線》とかね。
これらのXは呪文を唱えるまでは不確定な値だ。自分で好きなようにマナを支払えることを未知数……Xと表現するんだなと、中学生ながらに異文化のノリを体験を持って学べたのだ。いろんな作品に出てくる正体不明のミスターXって、そういうことだったんだなと。
X呪文はそのビジュアルもさることながら、マナを注げば注ぐほど効果が大きくなる可能性と、最小限のマナでも使える小回りとか同居しているのがクールだ。
というわけで今日はそんなX呪文に注目! クールなデッキ、行っちゃうぞッッ!
9 《森》 5 《山》 4 《岩山被りの小道》 4 《踏み鳴らされる地》 -土地(22)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《エルフの神秘家》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 3 《グルールの呪文砕き》 1 《運命の神、クローティス》 1 《不屈の神ロナス》 3 《栄光をもたらすもの》 2 《黄金架のドラゴン》 2 《長老ガーガロス》 -クリーチャー(28)- |
1 《変わり樹の共生》 2 《グレートヘンジ》 1 《苦悩火》 1 《火口の爪》 2 《ボーラスの壊乱者、ドムリ》 2 《ビヒモスを招く者、キオーラ》 1 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(10)- |
1 《獲物貫き、オボシュ》 -相棒(1)- 2 《再利用の賢者》 1 《運命の神、クローティス》 2 《ガラクの先触れ》 1 《マグマのしぶき》 1 《形成師の聖域》 3 《驚天 // 動地》 3 《原初の力》 1 《野獣の擁護者、ビビアン》 -サイドボード(14)- |
このクールなデッキは?
フォーマットはパイオニア、「グルール・アグロ」だ。ご覧の通り《獲物貫き、オボシュ》を相棒にしている。
なので、デッキ内のカードはすべて点数で見たマナ・コスト(CMC)が奇数のカードで構成されている。その多くは現行あるいは近年のスタンダードにいたもので、マジックを始めてそれほど経っていないプレイヤーにも組みやすいものだろう。
オボシュはじめスタンダードのカードをベースに組めるグルール・デッキ、パイオニアでもこれがなかなか強い。赤と緑は戦闘に関係する能力を持ったクリーチャーにおいては他の色よりも秀でていると言っていい。そのイイところを寄せ集めたパイオニアのデッキ、それでは詳細を見ていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:未確認生命体オボシュX
さて、では核心から話そう。オボシュとX火力の組み合わせは、最高にクールなロマンにあふれているッ!と。
自身がコントロールするCMC奇数の発生源が与えるダメージを倍にするオボシュ。これをコントロールしている状態で《火の玉》のようなX火力呪文を、Xの値を調整して全体のCMCが奇数になるように唱えると、もちのロンで倍ダメージ! X=2の3マナで唱えれば4点、X=4の5マナで唱えて8点、X=6で12点。コストパフォーマンスに優れ過ぎだって!
まあ、そもそもが3マナ支払って《獲物貫き、オボシュ》をサイドボードから手札に加え、その後5マナでオボシュを唱え、それからやっとX火力を唱えるため、マナやターンといった手間暇はかけねばならない。全ゲームでオボシュからのX火力でフィニッシュというわけにはまずいかないが、そういう最終手段があるということに意味があるのではないだろうか。
スタックにないX火力の{X}はCMCがゼロ扱いなので、色マナ・シンボルが1つのものであれば1マナのCMC奇数呪文としてオボシュ・デッキには採用可能だ。幸いなことにパイオニアにはいくつかの選択肢がある。
《苦悩火》はX=5以上で唱えれば打ち消されも軽減もされなくなる。青いコントロール系デッキ相手などにゲームが超長期戦に陥った際の、最後の一撃にはもってこいだ。
もうひとつのX火力である《火口の爪》はパワー4以上のクリーチャーをコントロールしていればXに2を足した点数のダメージを与える。1マナで《ショック》同等として使っても良いし、何かとクールな1枚だ。
またサイドボードには、対戦相手にダメージを与えるものではないが除去としてのX火力《驚天 // 動地》が採用されている。
まさしくオボシュ・グルールならではのクールなチョイスで、それぞれの半分がCMC1と2の分割カードであるこれは、1枚のカードとしてのCMCが3である。飛行持ちのスピリットを多数並べるデッキ相手に《驚天》で薙ぎ払え!
クールポイントその2:優れた奇数チーム
CMC奇数のカードのみで構成されているクリーチャー主体のデッキ、ということで1ターン目は1マナのものを、3ターン目は3マナのものを展開すれば良いが、間の2ターン目が空白となる。ここを埋めるための工夫があった方がデッキの質は高まるが……パイオニアなら何も問題はない。1マナの《ラノワールのエルフ》と《エルフの神秘家》、マナを生み出すクリーチャーが8枚体制だからだ。
これで2ターン目に3マナ捻出できるので、《恋煩いの野獣》でも何でもカモン! 3ターン目の4マナを《グレートヘンジ》へと綺麗に繋げられたらパーフェクトだな。
マナ・クリーチャーたちがいるのもあって、他のクリーチャーデッキよりも多めに5マナのクリーチャーが採用されている。
ドラゴン2種はパワー4で飛行・速攻とライフを詰めるには文句なしのスペック。《栄光をもたらすもの》は対戦相手のクリーチャーを除去し、《黄金架のドラゴン》はマナを増やしてオボシュやX火力に繋げる。
長期戦になりそうでも《長老ガーガロス》が多大なアドバンテージをもたらしてなんとかしてくれる……
と、クリーチャーの質は文句なし。《運命の神、クローティス》《不屈の神ロナス》と次元を超えて神二柱が並ぶのも最高にクールでは?
クールテクニック!
その神・クリーチャー、条件を満たさなければクリーチャーとして戦闘してくれないのだが、クローティスとロナスとではやや事情が異なる点に注目。
信心が足りなければクリーチャーではなくなってしまうクローティスに対して、ロナスはパワー4以上が他にいなくともとりあえずはクリーチャーではある。つまり、他にクリーチャーをコントロールしていない状況でも《ボーラスの壊乱者、ドムリ》で対戦相手のクリーチャーと格闘が可能だ。
破壊不能と接死で一方的に殴り倒す様はまさしく神。ドムリのクリーチャー強化能力も相まってパワー4以上が用意できない状況はあまりないデッキだとは思うけどもね。
そういう意味で《グルールの呪文砕き》で速攻を選んでも《ビヒモスを招く者、キオーラ》でドロー可能なのもクールだし、ドムリは無駄にせずに大事に使いたい1枚だ。
さらなるクールのために
《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》とくれば……《エッジウォールの亭主》も組み合わせて出来事デッキにしたくなってしまうスタンダード・プレイヤーも少なくないはず。その場合は《豆の木の巨人》も採用し、全体的な土地の枚数も増やしてよりオボシュとX火力で勝つ重めの構成になるだろうか。
あるいは色を足して……《残忍な騎士》でクリーチャーとプレインズウォーカーに触れる要素を強めるか。
その場合はサイドに《思考囲い》なども用意できるし、《草むした墓》などを採用しても赤と黒の混成カードであるオボシュを唱えるのに苦労はしなさそうなのがクールだね。
クールなまとめ
不確定なものはそれゆえにどんな値にもなれる。Xはクール、X火力はいつの時代もクールだ! 至高の勝ちパターン、本体に直接大ダメージを今こそパイオニアで体感しよう。
では今週はここまで。Stay cool! Play Fireball to you!!
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