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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

リビング・エンド:リマスターでもっと身近に(モダン)

岩SHOW

 『時のらせんリマスター』の開封報告でネットが賑わっていた3月下旬。

 このセットは再録カードのみで構成されている。中でも目玉は通称・旧枠のタイムシフト。近年リリースされたセットのカードから選ばれたものが、『スカージ』以前のカードに使われていた枠デザインになって登場だ。

 《思案》《思考囲い》といった歴代人気カードが初めて旧枠になったということで、他の旧枠のカードと組み合わせられるレガシーなどをプレイしている者にとってはたまらない逸品とあって、すでに『時のらせん』ブロックのカードを持っているプレイヤーでも思わず剝いてしまう、魅力あふれるセットだ。

 このセットが『時のらせん』ブロックとの初遭遇というプレイヤーにとっては、すべてが新しい出会いで倍楽しいことだろう。『時のらせん』ブロックのカードが再録されて手に入りやすくなったことで、それらをキーカードとしたデッキを組んでみるには良い機会じゃないかな。

 たとえば、モダンならこんなデッキ。

Sodeq - 「リビング・エンド」
Magic Online Modern Challenge #12277646 準優勝 / モダン (2021年3月28日)[MO] [ARENA]
1 《冠雪の島
1 《神聖なる泉
1 《繁殖池
1 《蒸気孔
1 《聖なる鋳造所
4 《溢れかえる岸辺
4 《沸騰する小湖
2 《植物の聖域
2 《尖塔断の運河
1 《感動的な眺望所
1 《マナの合流点

-土地(19)-

4 《厚かましい借り手
4 《秘法の管理者
4 《通りの悪霊
2 《ガラス塵の大男
4 《砂漠セロドン
4 《風呼びのエイヴン
4 《縞カワヘビ

-クリーチャー(26)-
3 《死せる生
4 《献身的な嘆願
4 《否定の力
4 《暴力的な突発

-呪文(15)-
1 《宝石の洞窟
3 《鋳塊かじり
3 《神秘の論争
4 《虚空の力線
1 《摩耗 // 損耗
3 《死亡 // 退場

-サイドボード(15)-

 

 デッキそのものの解説前に、まずはこのリストにおける『時のらせんリマスター』に収録されているカードの枚数をご紹介。

 計15枚、メインサイド併せて75枚のうち、5分の1と考えれば結構な枚数だ。

 リマスターから得たカードを使って組めるこのデッキは「リビング・エンド」。デッキ名は《死せる生》の英名から、ということでこのソーサリーがキーカードのコンボデッキだ。

 《死せる生》にはコストが存在しない。つまり、普通に唱えることができない呪文だ。そんなものどうするのかという話だが、普通に使うのであれば待機を用いることになる。タイムラグが発生するが、これであればコストがない呪文を唱えられる。

 ただ、真面目に待機させて使うとなると、4マナ支払って効果が得られるのが3ターン後と、悠長ではある。なのでちょいとばかしズルい方法でその3ターンをショートカットする。続唱との組み合わせだ。

 続唱はそれを持つ呪文を唱えた後、ライブラリーから点数で見たマナ・コストがそれより小さい呪文が公開されるまでライブラリーをめくって、公開された呪文をマナ・コストを支払わずに唱えるという能力。《暴力的な突発》《献身的な嘆願》と3マナの続唱呪文を採用し、デッキ内の2マナ以下のカードを《死せる生》のみにする。すると、これら3マナのカードを唱えれば確定で《死せる生》が公開される。マナ・コストを持たない呪文は点数で見たマナ・コストが0と定義されているので、唱えることが可能になるという仕組みだ。

 続唱から唱える《死せる生》で何をするのか。このソーサリーは古の《生ける屍》がモデルになっており、それと同様に戦場と墓地のクリーチャーを入れ替える。対戦相手のクリーチャーを一網打尽にしつつ、こちらの墓地から複数のクリーチャーが蘇り、一方的な戦場を作れてしまうのだ。

 そしてこれのためには墓地にカードを置く手段が必要になってくる。切削や直接クリーチャーを墓地に置くカードもあるが、続唱というデッキの根幹部分を崩すわけにもいかないので2マナ以下のカードは使えない。

 選択肢が狭められた中で完璧とも言えるアンサーがサイクリングだ。3マナ以上の重めのコストで、それなりのパワー/タフネスやなんらかの能力を持っており、かつサイクリング・コストが1マナ以下。そういったクリーチャーがこのデッキには詰め込まれている。

 それらを1~2ターン目にサイクリングし、3ターン目に続唱《死せる生》でドン!と3体以上戦場に繰り出す。対戦相手がクリーチャー・デッキだった場合は除去と展開が同時にこなせてお得。後はこれらで殴って勝つ、というシンプルなものである。

 相手によっては呪禁持ちの《縞カワヘビ》が2体出てきただけで詰むということもある。コモンのクリーチャーばかりなので見た目はあまり強くはなさそうだが、早いターンに複数出てくるとどれも十分に立派な脅威なのだ。

 サイクリング界最強クラスの《縞カワヘビ》がいることや、《死せる生》を通すため、またその後の相手の抵抗を弾くために《否定の力》を使うため、色は青がメインになっている。

 青絡みであれば《予言により》を用いたデッキもある。《死せる生》は点数で見たマナ・コストが0なのでこのエンチャントから即座に唱えられるというわけだ。

 そちらはよりコントロール色の強いデッキで、こちらはスピード重視のコンボといったように毛色は若干異なる。どちらにせよキーカードは『時のらせんリマスター』で手に入るので、以前よりも組みやすくなったデッキと言える。ゆえにモダンでの使用者も増えるかも?

 点数で見たマナ・コストが2以下の呪文を使えないという弱点を持つ続唱型の「リビングエンド」。このリストでは《厚かましい借り手》や《死亡 // 退場》など、実質的に2マナ以下の呪文として使えるがこのデッキの続唱を邪魔しないカードを使うことでこの問題の解決を図っている。

 構築する時点から工夫が楽しめるデッキであり、プレイ体験もオンリーワンのものである。『時のらせんリマスター』を機に組むデッキとしてオススメしておこう。

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