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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:食物連鎖に願いを込めて(レガシー)

岩SHOW

 クールからいよいよウォームになってきましたね、気候が。あったかい、桜も満開、マジックやるにはもってこい!

 店舗でのイベントも再開され、MTGアリーナが多くのスマートフォンなどでもプレイできるようになり、何か新しいことを始めるにはうってつけの4月にプレイヤーが増えることが予想されるね。

 皆ももう、そういった新規プレイヤーから見ればマジックの先輩です、先輩らしく楽しく正しく振る舞って、それぞれのコミュニティを盛り上げていこう! そうしたら君もクールプレイヤー!

 というわけで今週も私が独断と偏見で選ぶ、この1週間見てきた中で「これはクールでしょ」と思ったデッキを紹介するこのコーナー。この4月からもどうぞよろしく。

 いきなりだけれども、マジックプレイヤーの好きなものはレガシーに全部あるんじゃないだろうか。「クリーチャーでの戦闘」「カードを引く(大量にドサッと引くのと、毎ターンその盤面に必要なものを引き込むのと両方)」「無限を含む各種コンボ」「時間をかけて最強の盤面を築き上げて優越感に浸る」……などなど、マジックのエッセンスが詰まっている。

 この春、新しいことをやるならレガシーデビューなんてどうかな? 古いカードが必要なのでハードルはなかなか高いが、Magic Online(英語版のみ)だと特定の期間すべてのカードが使い放題になるサービスがある。それを使ってレガシーデビューついでにMOデビューってのもクールかもね。

 今日はそんなレガシーの中でも強烈にクールなデッキを紹介だ。いくぞ~ッ!

bozo2112 - 「バント食物連鎖」
Magic Online Legacy Preliminary #12274968 3勝1敗 / レガシー (2021年3月23日)[MO] [ARENA]
2 《冠雪の森
1 《冠雪の平地
2 《冠雪の島
1 《Savannah
1 《Tropical Island
1 《Tundra
2 《霧深い雨林
2 《溢れかえる岸辺
3 《汚染された三角州
1 《虹色の眺望
1 《カラカス
3 《古えの墳墓

-土地(20)-

3 《船殻破り
1 《永遠の災い魔
1 《呪文探求者
1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《霧虚ろのグリフィン
3 《歩行バリスタ

-クリーチャー(11)-
4 《渦まく知識
4 《思案
2 《剣を鍬に
3 《運命の操作
2 《生ける願い
4 《食物連鎖
2 《一日のやり直し
1 《直観
1 《セヴィンの再利用
4 《意志の力
2 《時を解す者、テフェリー

-呪文(29)-
1 《封じ込める僧侶
1 《スレイベンの守護者、サリア
1 《拘留代理人
1 《フェアリーの忌み者
1 《秋の騎士
1 《霧虚ろのグリフィン
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
2 《夏の帳
1 《花の絨毯
1 《耳の痛い静寂
1 《剣を鍬に
1 《安らかなる眠り
1 《森の知恵
1 《基本に帰れ

-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 レガシーの「バント食物連鎖」だ。キーカードはその名の通り《食物連鎖》。

 当時中学生だった僕にはこのカードのテキストはなかなかに難しく、また理解したところで「クリーチャーを失ってクリーチャーを唱えてもなぁ」という感想しか出てこなかったものだ。

 少し時が流れて、このエンチャントと《ゴブリン徴募兵》を組み合わせるデッキがあることを知った。ライブラリーのゴブリンを全部唱えられるなんて、《食物連鎖》はとんでもないマナ加速になるポテンシャルを秘めていたんだなと驚く。

 そこからもっと時が流れて『アヴァシンの帰還』で《霧虚ろのグリフィン》が登場。

 このグリフィンは追放領域から唱えられる。ということは、《食物連鎖》でグリフィンを追放し、{U}5つを得たらそのうち4つを使って、たった今追放したそのグリフィンを唱える→また追放して5マナ得て……という動きを無限に繰り返せる。クリーチャー呪文にしか使えないが、無限マナが得られるというコンボだ。

 時を経て誕生したクールコンボは、レガシーの定番コンボのひとつとして今日も活躍中だ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:グリフィンを発見せよ

 2枚揃えば無限マナ、たとえクリーチャー限定といえども好きなだけマナが使えるとあれば勝利に繋がる。《歩行バリスタ》にマナをありったけぶち込んで、対戦相手めがけてバリスタを発射し続けて勝つのだ。

 というわけで実質3枚コンボ。グリフィンに加えて《永遠の災い魔》も追放領域から唱えられる、無限マナコンボのパーツとして機能する。

 《意志の力》のコストとして追放できるという点でグリフィンの方が優秀なので枚数は多く取られているが……それでもメインデッキに2枚のみ。いち早く揃えたいコンボなのに、こんなんで良いのか?と思ってしまうかもしれないが、ご安心を。このデッキにはクールなグリフィン獲得法があるのだ。

 まず1つは《運命の操作》。

 自身のライブラリーからカードを3枚追放するという、当時は何に使うのかわからないカードだった。これでグリフィンを追放し、そのまま唱えることでサーチ呪文として機能するというわけである。これも時を経てクールでニッチなカードとしての地位を獲得した1枚だ。

 そしてこのリストにはもう1つ、グリフィンを見つけ出す手段がある……《生ける願い》だ。

 ゲーム外=サイドボードからクリーチャー・カードを手札に加えられる強力なソーサリーだ。グリフィンを持ってくるだけでなく、《封じ込める僧侶》や《フェアリーの忌み者》など状況に合わせたクリーチャーを手に入れて相手の妨害も可能だ。こりゃあクールなゲーム展開だ。

 この2枚のソーサリー両方を探してこられるのが《呪文探求者》。

 これはそのまま《食物連鎖》に放り込んで4マナになるというグリフィンの餌としても働く。そう、これだけアクセスする手段があれば、メインデッキのグリフィン&災い魔の枚数は最小限に抑えられるのである。

クールポイントその2:やり直せない一日

 このデッキには食物連鎖以外にもう1つコンボが仕込まれている。それは《船殻破り》を用いるもので、以前にも紹介した一日のやり直し》との組み合わせだ。

 このソーサリーは通常、お互い手札と墓地をライブラリーに混ぜてから7枚カードを引くもので、7枚ドローというのは大変に魅力的だが対戦相手の手札も増えてしまうのがネックだった。

 《船殻破り》は対戦相手のドローステップでの1枚以外のドローをなかったことにして、なぜかこちらの戦場に宝物を生成するという強烈なドロー妨害能力を持っている。これがいるときにやり直しを解決すると、相手の手札は0枚になり、こちらは手札が7枚と宝物が7個。こんな状況になったらもう投了!

 決まることがそのまま決着も意味するレベルのスーパーコンボを、《食物連鎖》というコンボパーツが少ないコンボと共存させている。この貪欲さはクールと表現するしかないな。

クールテクニック!

 《直観》は使い方ひとつでかなりテクニカルなことができる夢の呪文。

 とりあえず3枚のうち2枚を《セヴィンの再利用》《食物連鎖》と持ってくれば……

 と、対戦相手がどのカードを選ぼうが《食物連鎖》が手に入る。コンボからは逃げられないということをクールに教えてあげよう。

さらなるクールのために

 《生ける願い》はグリフィンで無限が決まった後に勝ち手段の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を手に入れるための手段でもある。

 サイドボードに余裕があるなら、そういったクリーチャーだけでなく土地も採用することで戦術の幅が拡がるかもしれない。《カラカス》や《The Tabernacle at Pendrell Vale》など、レガシーの土地はいろいろできるぞ。《食物連鎖》が完全に封じられたときのために《暗黒の深部》《演劇の舞台》を潜ませて……というのはいくらなんでもクールが過ぎるか。

クールなまとめ

 動きがオンリーワンで、強く楽しくそしてクールである。《食物連鎖》デッキは、ハマる人はそれこそいつまでも遊ぶことのできるデッキだろう。レガシーはそう、いつまでも同じカードを使い続けることができる。新しいフォーマットに、昔から所持しているカードで挑むというのもクールだ。

 さあ、この春は新しいマジックに挑戦だ。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Try Legacy!!

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