READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:『ヒストリック・アンソロジー4』からあのカードでデッキを構築!(ヒストリック)

岩SHOW

 ヒストリック・アンソロジーの時間だぁぁぁッ。

 MTGアリーナのオリジナルフォーマットであるヒストリックは、デジタルであることを活かしてこのフォーマット用の特殊な再録セットを定期的にリリースしている。マジックの過去のカードから選ばれた各色数枚が詰め合わせになっているもので、これを購入して一気に全カードを4枚手に入れるもよし、ワイルドカードでコツコツ作ってもよし。このアンソロジーの存在はヒストリックをやる上で無視できないクールなものなのだ……

 というわけで今週もクールなデッキを紹介するこのコーナー。今回は4度目の登場となるヒストリック・アンソロジーに収録されるカードからデッキを考える特別編だ! そんなわけで今回のアンソロジーに収録されるカードを以下にまとめてみた。

『ヒストリック・アンソロジー4』収録カード

 今回のアンソロジーは近年作られたカードの割合が高めだ。それらは『アモンケット』や『カラデシュ』のリマスターには収録されなかったものや、『モダンホライゾン』などの特殊セットに含まれるものなど、アンソロジーならではの再録という顔ぶれになっている。

 最も注目されているのは《死の影》だろう。1マナで10/10以上も夢ではない圧倒的なコストパフォーマンスを狙うために自らのライフをすり減らすデッキはモダンやレガシーで人気を集めている。《スカイクレイブの災い魔》と併せて、パイオニアにもない自も他もなくライフを削り取るデッキが誕生することだろう。

 これもまたクールではあるが……当コーナー的に要注目はこのカード。

 イラストがキュートで人気を集めたカードだが、その効果もまたクール。自身のパーマネントを対戦相手にあげるという、古くは『ウルザズ・ディスティニー』の《寄付》をリメイクしたカードだ。

 《寄付》といえば、かつてエクステンデッドというフォーマットにて《Illusions of Grandeur》のコントロールを対戦相手に譲るというコンボデッキが一時代を築いたものだ。

 累加アップキープのコストが重いので、そのうち払えなくなりこれを生け贄に捧げて20点のライフを失うのを待つか、あるいは渡してから《紅蓮破》でさっさと破壊するかして勝負を決める。2枚でゲームに勝てるその単純にして並ぶもののない破壊力は、まさしく環境最強のコンボ。その末裔とも言える《無害な申し出》がヒストリックにやってくるとは……歴史に思いをはせることもできるクールな再録だ。

 《Illusions of Grandeur》はヒストリックにはないが、それに近いカードなら探せば……あるじゃないか。《無害な申し出》がスタンダード現役だった頃の相方、《悪魔の契約》が!

 『アモンケットリマスター』で特別再録されていたのはこの伏線だったのか……。《悪魔の契約》はアップキープごとに4つの何かを与えてくれる。対戦相手の手札を2枚捨てさせる・任意の対象に4点ダメージ&自分が4点回復・2枚ドロー・そして、敗北。契約満了となると悪魔に魂を奪われてしまうのだが、この契約の途中で《無害な申し出》で契約を対戦相手に押しつけることで、問答無用で敗北させることが可能となるのだ。何が無害なのかという酷い話だが、同時にクールとさえ思える美しいコンボだ。ようし、今回はこのコンボをヒストリックに蘇らせよう!

 《悪魔の契約》はコンボパーツであり、同時に1枚でカード複数枚分の働きをするアドバンテージの稼ぎ役でもある。これは4枚採用してデッキの主役にしたい。では《無害な申し出》も4枚投入するのかというと……こちらはコンボ以外で活かす手段がないので、あまり多く入れてしまうと無駄なドローになりかねない。なので、採用枚数は2枚くらいに抑えておきたい。契約の2枚ドローとかで引けると考えよう。

 さて、コンボパーツは赤と黒。ということはこの2色はデッキに必要になってくる。ここに3色目を足すのか黒赤の2色にまとめるのかが重要ポイント。今回は……足します! 契約を押しつけることに成功すればそのまま勝利となるが、もしそうできなかった場合。それすなわち敗北だ。なので、これを回避するためのカードが必要になる。

 黒と赤はエンチャントに触れるということに関しては苦手であり、ほとんどできないと言ってしまってもいいので、それが可能な緑を足すことにした。具体的には《大渦の脈動》《戦争の犠牲》である。

 万能パーマネント除去であり、相手が強いパーマネントを展開している場合はこれで破壊し、そうでなくて契約の終了が迫っているという状況では自分の契約に撃ち込んで破棄する、という考えだ。

 これでデッキの方向性は決まった。対戦相手のパーマネントを破壊しつつ、《悪魔の契約》でアドバンテージ差をつける。最後は《無害な申し出》で契約なすりつけ! いでよ、「ジャンド・パクト」!

岩SHOW - 「ジャンド・パクト」
ヒストリック (2021年3月)[MO] [ARENA]
4 《血の墓所
4 《竜髑髏の山頂
4 《荒廃踏みの小道
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
4 《闇孔の小道
1 《踏み鳴らされる地
1 《ロークスワイン城

-土地(26)-

2 《嘘の神、ヴァルキー
2 《恐怖の神、ターグリッド

-クリーチャー(4)-
4 《思考囲い
3 《血の長の渇き
4 《精神迷わせの秘本
3 《アングラスの暴力
4 《大渦の脈動
2 《無害な申し出
4 《悪魔の契約
2 《古き神々への拘束
1 《絶滅の契機
1 《衰滅
1 《戦争の犠牲
1 《炎鎖のアングラス

-呪文(30)-
4 《才気ある霊基体
2 《領界喰らい、サルーフ
3 《強迫
3 《墓掘りの檻
2 《取り除き
1 《絶滅の契機

-サイドボード(15)-

 ジャンドということで赤と黒を組ませるので《嘘の神、ヴァルキー》を採用。

回転

 序盤は相手のクリーチャーを一時的に奪う嫌がらせで時間を稼ぎ、ゲーム終盤では《星界の騙し屋、ティボルト》としてゲームを終わらせにかかる。契約コンボ以外の勝ち手段としても申し分なしだ。

 このカラーリングでの万能パーマネント除去として《大渦の脈動》に加えて《アングラスの暴力》も久しぶりに使いたいなと思い立った。

 2マナという軽さが魅力で、最序盤のパーマネントはこれに任せろというところ。

 このソーサリーは生け贄を要求するものなので、だったらと《恐怖の神、ターグリッド》もいっちゃおう。プレインズウォーカーなどピンポイントで生け贄にさせてこちらの手駒にしたいところだ。

回転

 ターグリッドは《ターグリッドのランタン》としてプレイして勝ち手段にも使えるのがこれまたエラい。

 そして、このランタンモードが、対戦相手だけでなく自分も対象に取れることに気付いた。つまりはランタンの能力で契約を生け贄に捧げて、敗北が来る前に帳消しにしてしまえるのである! こいつぁ……超クールじゃないか。そう考えればこれを4枚入れて黒赤の2色でデッキをまとめるのもクールな選択肢になってくる。クールデッカー諸君はチャレンジしてみてね。神のモードは《悪魔の契約》の2枚捨てさせる能力とも相性◎。

 同様の理由から《炎鎖のアングラス》も加入だ。

 彼もまたクールなキャラクターであり、同時にクリーチャー除去でもあり、単騎でゲームに勝てるポテンシャルもある。《思考囲い》《悪魔の契約》とアングラスで手札破壊し、非クリーチャーデッキ相手にもリソースを攻められる。

 生け贄という点でターグリッドともシナジーがあり、契約も破棄できる《暴虐の龍、アスマディ》も制作当時は採用していたのだが、クールさの向こう側まで行ってしまいそうだったので泣く泣く諦めた。戦場に出せたらめちゃ強だったんだが、間に合わないゲームの方がどうしても多くてね……。

 アスマディとは逆に現実的な理由から採用したのは《精神迷わせの秘本》。

 最初はこれなしでやっていたが、ストレートに言うと回らねぇ。土地が引けない、または土地を引きすぎという場面が頻発し、ドローを安定させる潤滑油が必要不可欠だと判断した。序盤は占術のモードでもガンガン起動して、アグレッシブに押してくる相手に対して立ち止まらないようゲームを進めつつ4点回復でライフを終盤戦まで保たせたい。

 カードを捨てさせ、クリーチャーやプレインズウォーカーやアーティファクトを除去し、《悪魔の契約》で差を付け、なんとか悪魔がこちらの魂を持って行かないようにごまかす。デッキに物語性があるのもクールなデッキの条件のひとつ。《無害な申し出》含むアンソロジーの登場で可能性が拡がるヒストリック。今後のセットに無茶苦茶デメリットがキツいカードが出ないかも楽しみだね!

 それじゃあ今週はここまで、Stay cool! Let's go Anthology!!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索