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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グリクシス・ドラゴン(パイオニア)

岩SHOW

 都道府県別○○生産量ランキングとかって、意外な結果が出たりして面白いもんだね。○○県が1位だと思ってたのに、みたいなことがザラだ。

 それなら、マジックではどうだろうか? 出身プレインズウォーカーの強さランキングとか、舞台になったセット数ランキングとか……かなりの部門をドミナリアが、次いでラヴニカがかっさらうことになりそうだ。

 2021年3月時点の最新セット『カルドハイム』がランキングに入るとすれば「最もメタルなセット」部門か。まあぶっちぎりだろう。個人的には「ドラゴンが強いセット」でも、上位とまでは言い過ぎだとしても、悪くないところを狙えるのではないかな。

 《黄金架のドラゴン》にはそれだけの素質がある。

 5マナ4/4飛行・速攻というスペックだけで歴代の多くのドラゴンたちを上回っているだろう。それに加えて、攻撃時と呪文の対象になった際に2マナ生み出せる宝物・トークンを生成する。パーマネントの数および使えるマナの数を増やせるってのはそれだけで優秀だ。この2マナで呪文を唱えて、また2マナ得て……と言うのを繰り返せるのがこのドラゴンのオリジナリティ。なかなかこんな真似ができるカードは、ドラゴン以外にもいるもんじゃない。

 というわけでドラゴン界に突如として表れた期待の新人である《黄金架のドラゴン》。このカードはスタンダードにおいてパワーを大幅に上昇させるコンボが人気になっているが、ドラゴンであるという点を活かしたデッキでもどれだけ存在感を示すのか気になるところだ。

 というわけで本日はパイオニアの「グリクシス・ドラゴン」を見てみよう!

Alex - 「グリクシス・ドラゴン」
パイオニア (2021年2月20日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
1 《
4 《湿った墓
4 《蒸気孔
4 《血の墓所
2 《清水の小道
1 《河川滑りの小道
1 《さまよう噴気孔
2 《荒廃踏みの小道
1 《ヴァントレス城
2 《寓話の小道

-土地(25)-

1 《厚かましい借り手
4 《破滅の龍、ニコル・ボーラス
4 《黄金架のドラゴン

-クリーチャー(9)-
4 《選択
4 《思考囲い
2 《致命的な一押し
1 《血の長の渇き
4 《シルムガルの嘲笑
1 《戦慄掘り
2 《光輝の炎
1 《コラガンの命令
3 《多元宇宙の警告
1 《衰滅
3 《時を越えた探索

-呪文(26)-
3 《ヴリンの神童、ジェイス
2 《厚かましい借り手
1 《パルン、ニヴ=ミゼット
2 《集団的蛮行
2 《否認
1 《削剥
1 《軽蔑的な一撃
1 《戦慄掘り
1 《神秘の論争
1 《衰滅

-サイドボード(15)-
Alex氏のTwitter より引用)

 

 「最もドラゴンをフィーチャーしたセット」ランキングで1位に輝く『タルキール龍紀伝』。すべての色にドラゴンと、ドラゴンと相互作用のあるカードが収録されている。

 このドラゴンづくしのセットに、黄金架と相性抜群の1枚が。《シルムガルの嘲笑》!

 普通に使えば少し弱めの不確定な打ち消しだが、ドラゴンをコントロールしているか手札からドラゴンを見せることで、確定の打ち消しに。2マナで確定打ち消しということはあの《対抗呪文》と同じだ。2マナで何でも打ち消せたらテンポが良すぎるでしょうが。

 そして2マナということは……そう、黄金架で攻撃して出てきた宝物で唱えられるのである。本来この手の打ち消しを用いるデッキはあまり自身のターンに土地をタップしたくないもので、全タップなんてもってのほか。しかしながらこのリストでは5ターン目に全タップから黄金架を走らせて、そのまま嘲笑を構えられるのだ!

 積極的に殴り相手にプレッシャーを与えながら、その反撃をシャットアウト。こういう戦略を古くから「クロック・パーミッション」と呼ぶ。黄金架×嘲笑のクロック・パーミッションをデッキの軸にしつつ、各色からドロー・除去・手札破壊を集結させたグリクシスらしいデッキに仕上げているのである。

 黄金架以外に採用されているドラゴンは《破滅の龍、ニコル・ボーラス》。

 パイオニアでも健在で、このカラーのデッキだと採用したくなってしまうカードランキング1位と言っても過言ではあるまい。その上ドラゴンなのだから隙は無い。

 ボーラスか黄金架が戦場に出るまでの序盤はこれを手札から見せて嘲笑を唱え、出てからは常に2マナ浮かせてプレッシャーをかける、という動きができたら理想的だな。暇なときは《多元宇宙の警告》を予顕するなどしておこう。

 黄金架かボーラスを戦場に出したら、殴って勝つなり変身させるなりしてなるべく速やかに終局へと持っていく。長期戦になっても《時を越えた探索》などでアドバンテージを稼いで戦えるが、やはりどんなゲームでも長引くと良くないことが起こる可能性が高まってしまう。その点、二大ドラゴンはぬかりなしだ。

 このデッキの制作者はここからリストをアップデートしていた。《光輝の炎》や《衰滅》を《神々の憤怒》と入れ替えて、墓地から戦場に戻るタイプのクリーチャーにも対処可能に。それと同時に土地基盤も調整。あとは《塵へのしがみつき》でドロー or 回復できるようにもしたりなど、デッキにより柔軟性を持たせる方向にシフトしたようだ。

 君もこのリストを見て何か思うところ、ビビッとくるところなどあったら、それを取り入れたデッキを作ってみよう。黄金架×嘲笑のようなベストマッチな組み合わせは、まだ眠っているはずだ。

 攻撃しながらマナを得るという唯一無二の特殊な能力を持った《黄金架のドラゴン》。果たして歴代ドラゴンランキングではどのあたりにつけるだろうね? 快進撃はまだまだここから!

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