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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:マルドゥ・プラウ[鋤](スタンダード)
筋金入りのデッキビルダーは、我々とは視点が違う。
カードを見た時に、そこに書かれたテキストだけでなくそこから拡がるもの・繋がるものまでもが見えているのだろう。パッと見て使い道が分からないなぁ、と流していたカードを主役にしたデッキを組んで勝ち星を重ねているプレイヤーを見ると、ただただ感嘆するのみだ。簡潔にまとめるのなら、Cool Deckってやつだな。
というわけで今週もやってきましたこのコーナー。今回のデッキは……なかなかスゴいビジュアルだ。僕はこのデッキのキーカードを見てこの使い方は出てこなかった、たまげたよ。
早速リスト、いってみよう!
2 《沼》 1 《山》 1 《平地》 4 《サヴァイのトライオーム》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《陽光昇りの小道》 1 《静寂の神殿》 4 《針縁の小道》 1 《凱旋の神殿》 2 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《巨人落とし》 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《嘘の神、ヴァルキー》 4 《砕骨の巨人》 4 《死の神、イーガン》 1 《傑士の神、レーデイン》 -クリーチャー(21)- |
2 《血の長の渇き》 1 《強迫》 1 《切り裂かれた帆》 3 《ティマレット、死者を呼び出す》 1 《エルズペスの悪夢》 3 《スカルドの決戦》 4 《巨大な鋤》 -呪文(15)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 1 《傑士の神、レーデイン》 3 《強迫》 2 《存在の破棄》 1 《ガラスの棺》 1 《切り裂かれた帆》 2 《弱者粉砕》 2 《アクロス戦争》 1 《スカルドの決戦》 1 《エレボスの介入》 -サイドボード(14)- |
このクールなデッキは?
って聞かれても、なんと形容したら良いものか。大まかなくくりだとマルドゥ(白黒赤)カラーのミッドレンジ(中速)ってことになるが……うむ、ある1枚が存在感を放ちまくってるね。《巨大な鋤》、インパクトに溢れた機体だ。
この巨大な耕耘機、本体のコストは{2}と安いが、搭乗コストはパワー6分と重め。6/3という攻撃的なスペックで、攻撃するとライフを3点回復し白マナを3つ供給。畑を耕した結果美味しい作物が収穫できたのだろう。
で、この白マナはステップやフェイズが終わってもなくならないので、戦闘中に得ても続くメインフェイズにて使用することが可能だ。いわば攻めとマナ加速を同時にこなすわけで、動き出せばなかなか強い。
ただ合計パワー6分のクリーチャーをタップすることが重く、また白という色にはあまり得たマナを活かす手段がないので、構築でどう使ったものかと流していたのだが……このリストを見て気付かされたのは、この《巨大な鋤》自体は無色のカードなのだから、白マナにこだわらずとも良いということ。不特定マナの支払いに充てれば、どんな色のデッキでも活かすことができるのである。
目から鱗、カードリストを見るときは脳細胞をクールにしないといけないなぁ。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:黒と赤の耕し手
《巨大な鋤》を動かすためにはパワー6分のクリーチャーが必要だ。パワー2を3体など複数体で支払っても良いが、可能であればその枚数は少ない方が良い。2ターン目に鋤を置いたのであれば3ターン目に起動して殴りに行きたいところ。
これは無理難題にも見えるが、黒と赤にはアンサーがある。《死の飢えのタイタン、クロクサ》と《死の神、イーガン》。それぞれ2マナと3マナでパワー6、条件を満たしている。
クロクサは2マナで唱えて戦場に出すとすぐに生け贄に捧げられてしまうが、ご安心を、その生け贄にする能力を解決する前であれば、これをタップして搭乗することが可能だ。それらを適切なタイミングで戦場に出し、乗り込ませて殴る! カード2枚で攻めながらマナとライフをクールにゲットだ。
どちらの乗り手も高いパワーを誇る強力なカードだが、どちらも墓地にある程度のカードがないと戦場に出せない or 維持できない。そこで《ティマレット、死者を呼び出す》やイーガンの第2面である《死の玉座》で切削して墓地を貯めるのだ。
墓地にまつわる死のクリーチャーが耕耘機を動かして命の恵みをもたらす……その光景もクールだな。
クールポイントその2:収穫物の使い道
さて、3つの白マナの使い道についても触れておこう。最も強烈なものは、色も合っている《スカルドの決戦》。
超強力英雄譚で4枚追放し、さらに手数を増やす。鋤のマナで追放したカードを使い切れれば御の字だ。
白であれば《巨人落とし》もちょうど3マナで出来事モードで唱えられる。
殴りながらパワー4以上のブロックしてきそうなクリーチャーを破壊し、鋤が迎え撃たれるのを防ごう。
また、不特定マナとして用いるのであれば《嘘の神、ヴァルキー》も良い使い道だ。
相手の手札から追放したクリーチャーのコピーとなる能力を起動するためにマナを注ぐのも一興、あるいは《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えるためのマナとして使うのもまた一興。
また、何もすることがない!という状況でも《湧き出る源、ジェガンサ》を手札に加えるという最低限カード1枚分の働きはしてくれるので、完全に無駄になるというケースは少ないだろう。収穫したマナはクールに消費しゲームに還元しよう。
さらなるクールのために
実際に使ってみると、1枚挿しされている4種類のカードがハマるケースもあれば使い道がないケースもあり、生みの親の好みやよく対戦しているデッキへの対策が色濃く反映されているデッキだというのがわかる。
もし興味が湧いて真似をしてみたいというのであれば、1枚だけ採用されているカードをいったんすべて抜いて、他の2枚や3枚のカードを4枚に整えたリストを使ってみるというのがオススメだ。それでやってみて多すぎると思うカードや他の役目のカードが欲しいと思ったら枚数を調整していく。サイドボードについても同様だ。
個人的にはせっかく白を足しているので《ドゥームスカール》なんかを採用したら、後手の際の押し込まれるゲームをもう少し踏ん張れるようになってよりクールになるかなと思ったね。
クールなまとめ
《巨大な鋤》を使ったデッキが出てくるとは、そしてそれが黒と赤がメインカラーのデッキになるとは。世界は広い、デッキ構築は深い。新カードを見定めるクールな眼を養いたいものだ。
カードに印刷されている色を鵜呑みにしない、そんな反抗心にも似た熱意がクールなデッキを生むのだろう。それでは今週はここまで。Stay cool! Let's plow!
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