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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
好奇心ニヴ=ミゼット(ヒストリック)
デッキというものには流行り廃りがある。
もちろん流行るのはその時に強いデッキ、あるいはプレイしていて楽しいデッキ。なぜいつまでも同じデッキが使われ続けずに移り変っていくのかというと、当たり前のことではあるのだが新カードの登場により変化が生まれるためだ。
マジックと将棋や麻雀といったゲームの違いはこれが大きいとよく言われる。駒や牌はいつまでも変わらないが、それでも戦術は時代とともに変化している。マジックの場合は全く新しいものがやってくるのだから、その変化は劇的なものになるのだ。
このデッキの変化・流行にも大きく分けて2パターンある。新しいカードを主役にした新デッキが誕生するというのが1つ。マジックのセットは絶えず新しいメカニズムを提供してくれる。これはすなわち新感覚、未体験のデッキがやってくるというわけで、これまでになかったマジック体験を味わいたいと思うプレイヤーの性を満たしてくれるデッキというものは爆発的に流行することになる。
そしてもう1つ。こちらは前者に比べれば地味ではあるのだが、新カードが既存のデッキ・戦術を強化してくれるというもの。デッキの主役になるプレインズウォーカーや伝説のクリーチャー、コンボを形成するパーツなどの派手な新カードもあれば、クリーチャー除去や打ち消しなどの実直な働きをする新カードもやってくる。この後者により、完成度を増したデッキが頭角を現したり流行したりするということもある。
今日はそんな、主役にはならないがしっかりと仕事をする新戦力によって形を成したデッキを紹介しよう。マジックを始めて3~4年以上経ったという人には懐かしさも覚えるものだ。これから流行の可能性も感じられる、個人的に推したいデッキでもある。ヒストリックの「好奇心ニヴ=ミゼット」だ。
6 《冠雪の島》 5 《冠雪の山》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 1 《移り変わるフィヨルド》 1 《ヴァントレス城》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《パルン、ニヴ=ミゼット》 -クリーチャー(4)- |
4 《霜噛み》 4 《選択》 1 《好奇心》 4 《宝物の地図》 2 《削剥》 4 《襲来の予測》 2 《焼けつく双陽》 1 《ヴァラクートの覚醒》 4 《多元宇宙の警告》 2 《嵐の怒り》 3 《サメ台風》 -呪文(31)- |
2 《厚かましい借り手》 2 《墓掘りの檻》 2 《魂標ランタン》 1 《好奇心》 3 《霊気の疾風》 2 《否認》 1 《削剥》 2 《神々の憤怒》 -サイドボード(15)- |
《パルン、ニヴ=ミゼット》はあなたがカードを引くと1点のダメージを好きなところに撃ち込む。
これに《好奇心》をつけて、攻撃するなりカードを引くなりして対戦相手にダメージを与える。
《好奇心》によってドローがもたらされ、カードを引いたのでニヴがまた1点を対戦相手に与え、それによりドローが……と、ループが形成される。こちらのライブラリーの残り枚数が対戦相手のライフを上回っていればそのまま勝利。カード2枚で勝てるのでコンボ完成までのハードルは低めで、何より《パルン、ニヴ=ミゼット》が単純にカードとして強くコンボを決めなくともゲームに勝てるという点がセールスポイントだ。
ニヴのコストの問題で青と赤以外の色を足すのは避けられ、自然とこの2色でデッキを組むことになる。そこに問題点があり、以前のヒストリックではデッキを形成するカードがやや足りていないようにも見受けられた。
『カルドハイム』から加わった青と赤のカードはこの問題点を解消してくれそうだ。このセットによりもたらされたのは氷雪と予顕。好奇心ニヴというコンボには一切関係はないが、コンボを決める、あるいはニヴを戦場に定着させるまでの地盤を固めるカードとして、上記のメカニズムを持ったカードは良い働きをしてくれるのだ。かゆいところに手が届くようになった、という感じだ。
まずは氷雪。これは1種のみ、《霜噛み》だけ。
たったそれだけではあるが、これの参入は大きい。氷雪パーマネントが3つ並んでいれば1マナ3点、クリーチャーにもプレインズウォーカーにもダメージを与えられるという優秀なインスタントである。これまで軽い除去の選択肢は限られていたところに、マスターピースがカチッとハマった。
何せ3点ダメージとして運用する条件は、氷雪土地を並べているだけで満たすことができる。それが満たされなければ2点ダメージで、つまりは序盤の2ターンはどうあがいても2点ダメージ止まりではあるものの、このタイミングで出てくるクリーチャーは2点で十分事足りるので問題ではない。プレインズウォーカーにダメージを与えられるのも大きく、天敵とも言える《覆いを割く者、ナーセット》をジュッと処理できるのはベリーナイス。
そして予顕。これは《襲来の予測》《多元宇宙の警告》の2枚で、2マナ払ってとりあえず伏せておくインスタントの参入はこのデッキの隙を埋めてくれるものとなった。
自分から戦場を作るデッキではないので、やることのないターンというものもある。特に2ターン目は《宝物の地図》を置く以外には自分から動くことはなかったが、これらのカードを予顕しておくという選択肢が加わった。
ニヴのために土地の枚数も確保しなければならないデッキなので《多元宇宙の警告》の占術&ドローはうってつけのものであり、またニヴを出す前のターンに予顕しておき、ニヴ降臨後に唱えてカードを計3枚引くという動きも強力だ。
《襲来の予測》もニヴを守るため、あるいは序盤の構成をしのぐための打ち消しとして2マナで扱えるのは好感触。今後もこのような使い勝手の良いインスタントが登場したら、ニヴとの組み合わせを検討しても良さそうだね。
《霜噛み》と組み合わせて対戦相手の戦場を焼き払い、《多元宇宙の警告》と組み合わせてガッツリと手札を補充する。《パルン、ニヴ=ミゼット》、久しぶりに使ってみたが制圧力にあふれた素晴らしいカードだ。
このリストはかなりお手本のような綺麗なものだが、コピーして使ってみると使いやすいと感じると同時に「自分ならこういうカードを入れたいな」と感じる部分がいくつかあった。余地があるってことは、これから多くのプレイヤーに研がれて伸びる可能性もあるってこと。流行のデッキに加わるのかもしれないニヴ=ミゼットのデッキ、今こそお試しあれ。
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