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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
マジック初心者へ捧ぐ、『チャレンジャーデッキ』のご紹介(スタンダード)
『チャレンジャーデッキ』という製品シリーズがある。基本的に年1回発売される構築済みデッキだ。
いずれもその時期のスタンダード環境のデッキであるが、特徴として多くのレアや神話レアが含まれていることは見逃せない。特にマジックを始めたばかりのころというのは、同カードを集めていいのかが分からなかったりする。チャレンジャーデッキはそんなプレイヤーたちのスタンダードへの挑戦を促すため、スタンダードで多くのプレイヤーが使用しているデッキを土台にしたものや、こういうアプローチもあるよというサンプルとしてデッキが組まれている。
競技シーンでバリバリやっているデッキと比べるとデッキパワーが低くなってしまうのはやむなしではあるが、とりあえずこのデッキを購入すればメイン60枚+サイド15枚のデッキが手に入り、フライデー・ナイト・マジックのようなカジュアルなイベントであれば気兼ねなく参加できるようになっている。まずはスタンダードを身体で体験してみましょうと。
その上で、各デッキにはキーカードがきちんと採用されているので、それらが機能すれば他のデッキを相手に勝利することだって可能なのだ。勝てば嬉しいし、対戦中に相手のデッキからカードを学び、自分もあのカードを採用しよう!という発見もできるだろうね。
欲しいカードが収録されているセットを把握し、パックを剥くなどして手に入れ、カードを入れ替えて……理想のデッキにたどり着ければ、そこに至るまでの期間はマジックをかなり満喫できるのではないかな。
それでは今回は、先日その内容が発表されたばかりの『チャレンジャーデッキ2021』のうちから1つと、それの改造例を紹介しよう!
19 《森》
-土地(19)- 4 《僻森の追跡者》 3 《群れのシャンブラー》 2 《漁る軟泥》 2 《ヘンジの槌、ファレン卿》 2 《僻境生まれの保護者》 4 《恋煩いの野獣》 3 《カザンドゥのマンモス》 3 《打ち壊すブロントドン》 2 《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》 2 《水晶壊し》 2 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(29)- |
2 《蛇皮のヴェール》 4 《強行突破》 2 《変わり樹の共生》 3 《原初の力》 1 《解き放たれた者、ガラク》 -呪文(12)- |
3 《鎖巣網のアラクニル》 1 《打ち壊すブロントドン》 3 《オークヘイムの敵対者》 2 《巻き添え》 2 《蛇皮のヴェール》 2 《自然への回帰》 2 《カルニの待ち伏せ》 -サイドボード(15)- |
こちらが構築済みデッキ「緑単ストンピィ」。チャレンジャーデッキは全部で4種類。そのうち2つが単色で、軽量のクリーチャーを用いるアグロというジャンルのデッキだ。特別な知識も要求されないので初心者にはとっつきやすく、気軽にプレイする上ではオススメできるものだ。
ただ簡単なだけでなく、どちらも現行スタンダードにおいて強いデッキの1つとして活躍中なので、慣れてきたら改造してさらに上を目指せるポテンシャルもある。2色デッキはレアの土地が含まれており、それらも魅力的ではあるが、単色デッキはその分クリーチャーやその他の呪文にレアが割かれている……と考えれば、レアリティの高いカードのパワーをより体感できるというのが単色ならではの魅力と言えるね。
デッキとしての動きは何度も言うようにシンプル。コストが軽いクリーチャーがデッキのほとんどを占めるので、それらを早いターンから積極的に展開していき、対戦相手の体制が整う前に押し切るのが理想的なゲームプランだ。
コストが最も重いカードで4マナなので、5枚目以降の土地を引いてしまうとそれを活用しづらく、そのため採用枚数は少なめ。《森》19枚と切り詰めてはいるのだが、《カザンドゥのマンモス》《変わり樹の共生》は土地としても使うことが可能なので、全く土地を引けないという事態も回避できるようになっている。
《僻森の追跡者》《群れのシャンブラー》、《恋煩いの野獣》の出来事《切なる想い》など1マナのクリーチャーからスタートできる手札からゲームを始めて、狙うはスピード決着だ。
2マナ圏はいずれも2/2ながら、対戦相手に与えるダメージを跳ね上げる能力を持ったクリーチャーが揃う。これらのポテンシャルを引き出すには少々マナや工夫が必要になってくるが、無理して強く使おうとせずとも問題ない。ゲーム展開次第で上手くハマったらOKというくらいの認識で、頭をあまり悩ませずに用いたい。慣れてきたらこれらのカードでどのようなことができるか、状況に合わせて考えるのも楽しい。
それらの上に構える3マナ以上の面々は、主砲と名乗るのに相応しい重量級揃い。土地を出せばサイズアップする《カザンドゥのマンモス》、クリーチャーを出せばサイズアップする《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》、そして素のサイズが5/5と3マナにしては破格の《恋煩いの野獣》。これらで殴りかかることが出来ればかなりのプレッシャーだ。
それを実行するために、まずは安全に次のターンを迎えたい。メインとサイドに採用された《蛇皮のヴェール》は1マナと構えやすく、呪禁を与えることで対戦相手の除去呪文や能力からこれらの主砲をしっかり守護。無事に次のターンまで生き延びさせ、攻撃して大きなダメージかあるいはクリーチャーでのブロックかを強いる。+1/+1カウンターが置かれるのも、より打点を高めてくれて最高だ。
また、これらの主砲はトランプルを持たないため、対戦相手のちっぽけな1/1トークンなどでブロックされて足止めされることは弱点だ。《強行突破》《原初の力》で相手のクリーチャーを破壊し、強引にダメージを通すという手もあるし、《水晶壊し》の変容や《解き放たれた者、ガラク》の能力でトランプルを与えてで打ち抜くというのも1つのアンサーだ。
さて、それではこのチャレンジャーデッキをベースにどのようなカードを加えれば良いのか、手前味噌だが僕が実際にスタンダードでプレイしたリストを紹介しよう。あくまで参考程度のもので、各自の好きなカードや気に入ったカードを第一に優先して、チャレンジャーデッキの強化を目指してもらえれば嬉しいところだ。
18 《冠雪の森》 4 《ギャレンブリグ城》 -土地(22)- 3 《群れのシャンブラー》 4 《絡みつく花面晶体》 3 《漁る軟泥》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《恋煩いの野獣》 2 《老樹林のトロール》 3 《水晶壊し》 2 《探索する獣》 2 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(31)- |
2 《吹雪の乱闘》 2 《グレートヘンジ》 2 《原初の力》 1 《解き放たれた者、ガラク》 -呪文(7)- |
3 《鎖巣網のアラクニル》 1 《漁る軟泥》 3 《オークヘイムの敵対者》 1 《水晶壊し》 1 《巨大猿、コグラ》 2 《吹雪の乱闘》 2 《蛇皮のヴェール》 1 《英雄的介入》 1 《怪物の代言者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
デッキのコンセプト自体に大きな変化はないが、やや重めのカードも使っていこうということで土地の枚数は22枚、《絡みつく花面晶体》も加わりよりマナが得られる作りに。
6マナと高コストながら速攻を持つためとどめの一撃を担える《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》、これは持っているのであれば使わない手はない!
《群れのシャンブラー》《漁る軟泥》《石とぐろの海蛇》などカウンターの置かれるクリーチャーの効率を高め、緑単最強カードである《グレートヘンジ》との相性も抜群だ。
このヘンジはクリーチャーを出せば手札が減るという自然の摂理をねじ曲げて、展開すればするほど手札も満ちるという恐ろしいアーティファクトなのでぜひともデッキに採用し、3ターン目野獣を出してそのパワーでコストを軽減し4ターン目に叩きつけてゲームをこちら有利にグッと引き寄せたい1枚だ。
単色デッキの良いところは土地を氷雪に統一しやすいというところで、そのおかげで《吹雪の乱闘》という軽くて強い除去呪文が採用可能に。
これだけ基本氷雪土地で揃えれば《不詳の安息地》も使いたいところだが、このリストでは《老樹林のトロール》を採用しているので相性のよろしくないこの無色土地は見送る形になっている。
どちらも土地がクリーチャーとなるため、戦場を掃除してくるタイプのデッキ相手にも切れ目のない攻撃手段となってくれる点がエラいヤツらだ。どちらかはデッキに入れると吉ってところだね。
《老樹林のトロール》は純粋に3マナ4/4でトランプルなのも強いし、さらにカードとして面白い挙動をする。これに《水晶壊し》を変容させて上に置くと、死亡した際にトロールとともに《水晶壊し》もオーラになって墓地から戦場に戻ってくる。《冠雪の森》2枚から4マナが得られるようになり、ヴォリンクレックスもヘンジも何でも唱えやすくなるという寸法だ。初見の時には自分で使っててビックリしたなぁ。
デッキを用意するというのはマジックを遊ぶ上で1つのハードルになるが、同時に最も楽しいパートでもある。『チャレンジャーデッキ』はそのハードルを下げて、美味しいところだけを得やすくしてくれる、マジック初心者にはぜひとも手にとってほしいシリーズだ。これをいくつか購入して、友人や家族とマジックを始めてみるというのも素敵だね。
いろんなデッキについて知りたくなったら、週5で更新されている当コラムもヨロシクゥ! ほな、また明日。
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