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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ティボルトの計略コンボ(モダン)

岩SHOW

 早いもので、2月ももう2週目。2月は28日間と他の月と比べて日数が少ないので、余計に時間の流れを早く感じてしまう。『カルドハイム』がオンラインでリリース、そして紙のカードも発売されてからあっという間にそれなりの時間が経過したってことだよ。

 2週間もあれば、世界中のマジックプレイヤーのひらめきがデッキへと昇華されるには十分な時間だ。新カードを使ったコンボデッキなども完成度を高める頃合いである。早速だが、まずはオンラインでのリリース直後に登場したこのリストを見てもらおう。

yamakiller - 「ティボルトの計略コンボ」
モダン (2021年1月28日、~『カルドハイム』)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
4 《踏み鳴らされる地
4 《樹木茂る山麓
3 《新緑の地下墓地
2 《血染めのぬかるみ
1 《沸騰する小湖
4 《銅線の地溝
4 《岩山被りの小道
4 《燃え柳の木立ち
4 《カープルーザンの森
1 《焦熱島嶼域
1 《地平線の梢
4 《パルンズの柱
4 《宝石鉱山
4 《霊気拠点
4 《氷の橋、天戸
2 《宝石の洞窟

-土地(52)-

3 《引き裂かれし永劫、エムラクール

-クリーチャー(3)-
1 《ティボルトの計略
4 《暴力的な突発

-呪文(5)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ

-相棒(1)-

3 《ネファリアのアカデミー
3 《光輝の泉
2 《ボジューカの沼
3 《爆発域
3 《エメリアの盾、イオナ

-サイドボード(14)-
ChannelFireballのTwitter より引用、一部本人の配信の情報により修正)

 

 フォーマットはモダン。土地の枚数52枚という異次元のリストだ。一体何をしようというのか。キーカードはたった1枚だけ採用されている《ティボルトの計略》だ。

 以下にコンボの詳細をまとめよう。

  1. 暴力的な突発》を唱える。
  2. 突発が唱えられたことで続唱が誘発。続唱→突発の順で解決される
  3. 続唱を解決。ライブラリー内には《ティボルトの計略》しか該当するカードがないので、絶対にこれが公開される。そのまま《ティボルトの計略》が唱えられる
  4. 計略の対象は未解決の突発。計略を解決し突発が打ち消される
  5. 突発でないカードはライブラリー内には《引き裂かれし永劫、エムラクール》しか該当するカードがないので絶対にこれが公開され、そのままエムラクールが唱えられる
  6. エムラクールが唱えられたので追加ターンを得て、そのターンで攻撃。滅殺6でパーマネントを根こそぎ消された対戦相手は何もできず、もう一度エムラクールで殴って終了

 《ティボルトの計略》という一見どう使うのかわからない呪文を使って、マジック界最強のクリーチャーを確実に降臨させるという凄まじいコンボだ。早ければ《宝石の洞窟》経由で2ターン目に決まる!

 しかしまあ、計略を確実に引き込みつつそれの対象となる呪文を用意する続唱呪文と組み合わせるとは、世の中には文字通りの天才がいるものだ。このぶっ飛んだコンボの思想をベースに、さらにプレイヤーたちがアイディアと知識を総動員して練り上げたリストが以下のもの。

Piotr Głogowski - 「ティボルトの計略コンボ」
モダン (2021年2月1日、~『カルドハイム』)[MO] [ARENA]
1 《
4 《真鍮の都
4 《宝石鉱山
4 《霊気拠点
4 《マナの合流点
4 《宝石の洞窟
1 《パルンズの柱
1 《反射池
1 《ネファリアのアカデミー

-土地(24)-

4 《猿人の指導霊
3 《真実の解体者、コジレック
4 《無限に廻るもの、ウラモグ
4 《約束された終末、エムラクール
4 《引き裂かれし永劫、エムラクール

-クリーチャー(19)-
3 《ティボルトの計略
4 《献身的な嘆願
4 《暴力的な突発
4 《輝く根本原理
2 《全知

-呪文(17)-
3 《ネファリアのアカデミー
2 《爆発域
3 《四肢切断
3 《神秘の論争
3 《混沌の辛苦
1 《精神壊しの罠

-サイドボード(15)-

 

 《暴力的な突発》に加えて《献身的な嘆願》で続唱を水増し。《ティボルトの計略》の枚数も増やしてコンボセットを複数用意して何度でも仕掛けてやろうという姿勢だ。

 計略からめくる当たりカードもエムラクール以外の伝説のエルドラージを増量。大当たりの可能性があるのは《輝く根本原理》。これでエルドラージ2枚以上唱えられたら即終了級の破壊力!

 夢にあふれたコンボだが、速度を重視したために採用した《猿人の指導霊》が飛び出す可能性もあり、ハズレ枠も生まれてしまった……が、それはそれでドキドキ感が味わえて良いと思うね。なんでもパーフェクトなものよりもちょっとクセがある方がかわいいというもの。

 上記の2リストで共通するのは、激シブカード《ネファリアのアカデミー》だ。こんなニッチな土地のことをよく覚えていたなと感動した。

 《思考囲い》などで手札を捨てさせてコンボを阻害する黒系のデッキに対して、土地という形なので《ティボルトの計略》や続唱のハズレにならない形でのアンサーとして機能する。う~む、天才か。

 あるカードやデッキの登場で、その脇役となる旧カードにも注目が集まる。こういうのはモダンのような広大なカードプールのフォーマットならではで、リストを見ているだけでも面白くなってくる。

 いろいろとネタ要素の強いキャラクターのティボルト。今回彼が用いた計略は、マジックの歴史にしっかりとその名を残しそうだ。続唱頼みなのでキッチリと対策を用意されると抑え込まれやすいコンボではあるが、オンリーワンの面白い動きをするデッキを欲しているプレイヤーにとっては満足のいく逸品だろう。

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