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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スゥルタイ・ミッドレンジ:主役は呪われしガラク(スタンダード)
誰しもこのキャラクターが好きなんだよなぁ~と、いわゆる「推しキャラ」がいることだろう。マジックでもそういうのがいたら楽しい、いないのなら今後のセットで見つかれば良いなと思う。
僕が好きなのはガラク・ワイルドスピーカーだ。《野生語りのガラク》というかなり強いプレインズウォーカーとして『ローウィン』にて初登場。最初の5人に選ばれただけあって基本セットの神話レア枠を長きに渡って担っていた。緑の力強さ、野生の獣と関係のある能力でプレイヤーにトークンや手札をもたらし、クリーチャーを強化して相手を追い込む攻めのカードが多い。
リリアナに呪われることで黒緑の2色になり、そのインパクトにあふれる見た目と残酷なカードの数々はテンションが上がるものだった。『基本セット2015』以後しばらく出番がなかったものの、昨年『エルドレインの王権』にて再登場。相変わらず呪われたままであったが、このセットのストーリーにてその呪いがついに解ける。そしてまた緑単色に戻ったガラクは『基本セット2021』にて《解き放たれた者、ガラク》として久々に緑の神話レアを担ったのであった。
パワフルな見た目と悲しい生い立ち、ローアンとウィルに恩義を感じて彼らを助けんとする頼もしさ、背景世界的にも濃いキャラクターだし、カードも良いものが揃っている。
現スタンダードのガラクの中でも個人的に好きなのは《呪われた狩人、ガラク》。
通常版とボーダーレス版でアートが2種類あり、どちらもどっしりしていてカッコイイ。
狼・トークンを呼び出す能力も強力だ。クリーチャーを破壊してカードを引けば、カードアドバンテージも得られる。そして自分の能力で忠誠度を増加できないカードなので[-6]能力は狼・トークンが死亡するか、何らかの手段を絡めない限り起動できないという点が独特で、使いこなしてやろうじゃないのという気にさせてくれる。
この6マナガラクを4枚フル投入したリストはないだろうか……昨年秋からずっと抱いていた思いが、この2020年冬についに実った。MTGアリーナのランク戦、プラチナ帯で使用され8マッチ戦って勝率100%に使用者が確かな手応えを感じていたリスト、ご覧いただこう!
4 《沼》 1 《森》 1 《島》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《疾病の神殿》 2 《欺瞞の神殿》 4 《清水の小道》 2 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 2 《忘却の虚僧》 2 《スカイクレイブの荒廃者、グラークマウ》 2 《残忍な騎士》 3 《半真実の神託者、アトリス》 -クリーチャー(9)- |
4 《血の長の渇き》 3 《無情な行動》 2 《苦悶の悔恨》 2 《取り除き》 4 《紋章旗》 4 《絶滅の契機》 1 《ハグラの噛み殺し》 3 《悪夢の詩神、アショク》 4 《呪われた狩人、ガラク》 -呪文(27)- |
3 《スカイクレイブの影》 1 《トリックスター、ザレス・サン》 2 《強迫》 1 《塵へのしがみつき》 4 《神秘の論争》 2 《記憶盗み》 2 《屍呆症》 -サイドボード(15)- |
いや~もうリストだけでたまらなくカッコイイなぁ。黒を主体にして青と緑を足した「スゥルタイ・ミッドレンジ」とでも呼ぼうか、どっしりとしたデッキである。
「グルール・アグロ」などのクリーチャーデッキには大量の除去を武器に根絶やしにする戦法で、《空を放浪するもの、ヨーリオン》擁するコントロール系のデッキ相手にはカード2枚分の働きを見せるクリーチャーやガラクなどのしぶといパーマネントで勝負する。そういう柔軟さがミッドレンジと分類されるデッキのセールスポイントだ。
このリストはガラクで勝ちにいくことを強く意識しているのもあってか、ミッドレンジの中でもクリーチャーカードの総数は少なめになっている。
ガラクは2色で6マナとヘビー級のカードだ。6マナなければ唱えられないので、とりあえずコツコツと土地を並べながら相手のクリーチャーを除去していくゲームになる。
悠長に土地を並べると6ターン目の登場になり、また除去も使いながら出すとなるともっとマナが必要になる。土地だけでまかなうのは真面目すぎるので、ちょっとしたマナ加速を用いてこの弱点を埋めるのが良い。
そこで、このデッキで取り入れられているのがまさかの《紋章旗》!
これには初見時大いに驚かされた。確かに色を選べるマナ・アーティファクトなのでその時に不足しているマナが得られ、3色デッキでは便利なものだろう。同時に、ガラクを唱えるのに必要な黒か緑を指定した場合、能力で生成する狼・トークンは黒と緑の多色なのでどちらであってもパワーが上昇するのだ。毎ターン計パワー6分のクリーチャーを展開する能力と考えれば、これは対戦相手にとって脅威以外の何物でもない。マナ加速は後引きすると無駄な手札になってしまいがちだが、《紋章旗》であればクリーチャーのパワーを上昇させるカードとして使えるので最低限の働きは見せてくれる。
黒を指定すればデッキ内のすべてのクリーチャーを強化してくれるのも見逃せない。狼のみならず、威迫持ちの《半真実の神託者、アトリス》のパワーを上げてアドバンテージを得ながらライフを詰めたり、《忘却の虚僧》《残忍な騎士》など絆魂持ちのパワーを上げればアグレッシブに攻められた後の回復速度もアップ。《悪夢の詩神、アショク》のナイトメア・トークンもパワー3になれば打点は十分でライブラリーも喰ってくるという鬱陶しいことこの上ない存在となる。よくこんな噛み合うカード見つけたものだなぁと唸らずにはいられない。
意外な組み合わせでガラクを強力に運用する「スゥルタイ・ミッドレンジ」。最近はプレインズウォーカーをスタンダードで使うこともなくなったなぁというプレイヤーも少なくない中、6マナらしいパワーとガラクらしい個性を併せ持った《呪われた狩人、ガラク》は久しぶりにプレインズウォーカーを扱うことの楽しさを思い出させてくれる1枚だ。
ガラクの信奉者たる同士たちも、彼を輝かせるデッキを作って、さあ、狩りの時間だ。
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