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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
エネルギー・ステロイド:育てよ打撃体(ヒストリック)
一撃必殺! 良い響きだ。どんなゲームでも一撃で勝負を決める技については一度は試し、決めてみたくなるというものだ。
マジック的一撃必殺の形はいくつかあるが、やはりシンプルなものだと「パワーが20のクリーチャーを用意し攻撃する」というもの。《暗黒の深部》から現れる「マリット・レイジ」トークンなどはその典型例だ。
それは別として、パワーが20のクリーチャーをイチから作り出すというのは簡単なことではない。オーラや装備品をたっぷりとつけたり、インスタントやソーサリーで対象に取りまくったりとやってみても、なかなか10を超えて20に届くということはない。まあこれが簡単に実現できたらそれはそれで夢も何もなく面白くないので、難しい方が夢を見られて良いよねと。大事なのはロマンだ。
そのロマンが到底リアルになりもしないものだと追いかけるのも辛くなるが、可能性がそれなりにあると挑んでみたくなる。胸が躍るってなもんだぜ。『カラデシュ』時代のスタンダードにはそんな素敵なデッキがあった。エネルギーを基調とした「グルール・アグロ」……否、ここは「エネルギー・ステロイド」と呼ばせてもらおう。何のこだわりかというと4年前、当時このコラムでそのように紹介したからってだけなんだけれどもね。
エネルギーはプレイヤーが得るカウンターであり、パーマネントでないリソース(資源)としてマジックに新しい側面をもたらしたカラデシュ次元の目玉だ。これを用いてサイズを肥大化させるクリーチャーたちが緑を中心におり、赤緑ともにエネルギーを得ることを得意としている。
これらを組み合わせて、クリーチャーを展開しつつそのパワーをエネルギー等で上昇させて殴り勝つ。そしてある1枚が一撃必殺を現実のものとする! 見よ、電気のこの力!
4 《森》 2 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《根縛りの岩山》 4 《岩山被りの小道》 4 《霊気拠点》 -土地(20)- 4 《導路の召使い》 4 《通電の喧嘩屋》 4 《砕骨の巨人》 4 《静電気式打撃体》 4 《逆毛ハイドラ》 -クリーチャー(20)- |
4 《霊気との調和》 4 《顕在的防御》 4 《蓄霊稲妻》 2 《暴力の激励》 1 《原初の力》 4 《争闘 // 壮大》 1 《エンバレスの宝剣》 -呪文(20)- |
2 《ガラクの先触れ》 1 《運命の神、クローティス》 2 《水晶壊し》 2 《変容するケラトプス》 3 《墓掘りの檻》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《削剥》 1 《原初の力》 -サイドボード(15)- |
《静電気式打撃体》ッ!
エネルギー3つを消費して自身のパワー分のプラス修整を……要するに、パワーを倍にできるアーティファクト・クリーチャーだ。
素が1/1と貧弱ではあるが、それは些細なこと。緑と赤にはクリーチャーのパワーにプラス修整を与えるインスタントやソーサリーがたっぷりある。当時は《気宇壮大》を使っていたが、今ならより扱いやすい《争闘 // 壮大》の《壮大》や効果の大きい《原初の力》などを使ってやろう。
そうやってパワーが5になった打撃体にエネルギーを注げば、それだけで10点ダメージの完成。さらに注げば20点、夢の一撃必殺への到達だ。
この必殺コンボを軸に、《通電の喧嘩屋》《逆毛ハイドラ》など、エネルギーで強化される他のクリーチャーも取り込み殴り勝つデッキに仕上げている、ロマンとリアルが無理なく同居しているリストだ。
肝心なエネルギーを得る手段だが、そもそも各クリーチャーが自身の能力を少なくとも1回は起動できるだけのそれを生み出す。しかしながら、それだけでは打撃体含め複数回能力を使いたい連中には少々足りない。
《霊気との調和》は1ターン目のアクションを埋め、枚数を絞った土地を手に入れる手段でもあり、かつエネルギー源だ。《蓄霊稲妻》は軽くて使いやすい除去であり、エネルギーを2つだけダメージに置き換えて残りはクリーチャー用に使ったり、あるいは唱えてダメージは0点で全部をクリーチャー用に使ったりしても良い。柔軟に使える良いカードだ。
《霊気拠点》のエネルギー1点もかなり重みがあり、有効に使ってやりたいが、だからといって展開を躊躇しすぎてダメージを全く与えられないのも問題である。我々の私生活においても言えることだが、限られたエネルギーをよく考えて効率よく消費したいものだ。
このデッキの重要な1枚は今も昔も《顕在的防御》。
簡単に除去されてしまう打撃体たちにエネルギーを注ぎ込むのは少々リスキーな面もある。パーマネントでもない、たかがエネルギー、されどこのデッキにとっては欠かすことのできないリソース。せっかく使ったエネルギーはしっかりダメージとして活きてほしい、そんな思いを踏みにじられないように《顕在的防御》をしっかりと構えておきたい。たった1マナで相手の対象を取る除去へとにらみを利かせられるのだから、ぬかりないように攻め時を定めよう。逆にこれを持っていなくても{G}を用意することでかなりの牽制になる。マジックは相手に迷わせればそれだけ勝ちが近づくゲームだ。
逆に《顕在的防御》を使われる側のプレイヤーは、どうせ撃たれて除去1枚が無駄になるなら、インスタントの除去であれ、自分のターンで唱えるという手段もあることを忘れずに。下手に相手のターンに唱えてしまうと、《顕在的防御》で弾かれた上にパワーが上がって余計にダメージを受けてしまう。打撃体の場合それが致命傷にも繋がりかねないので、注意されたし。
《静電気式打撃体》は実に良いデザインが施された、カラデシュ次元が生んだ逸品。見た目も無慈悲なロボットらしさと金細工的な美しさが合わさっていてカッコイイ。大ダメージを叩き込んで一気に勝ちを狙う、そんなデッキを目指すのであればぜひ検討してやってほしい1枚だ。
赤緑2色にこだわらず、他の色を足してデッキの器用さを引き上げてみても面白い。ワクワクするワンパンチ系デッキ、作ってみようぜ。
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