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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ペインター・コンボ~牛を呼ぶ謎の笛~(レガシー)

岩SHOW

 今週のぉ? Coooool Deck!! いや~ちょっと聞いてくれるかな。Cool Deckが、とかじゃなく当コラム、デイリー・デッキ自体が今回で1212回目なんですわ。結構な数字でしょう。

 大きさもそうだけれども、大事なのはその値。1212で12のゾロ目。マジック的には12/12と見ることができ、巨大なクリーチャーを連想してしまう。《原初の飢え、ガルタ》か《真実の解体者、コジレック》か。いやいや、もっとクールなのがいるでしょう、現存する7種類の12/12の中で最古にして最高にクールなのが《ファイレクシアン・ドレッドノート》。

 こいつは本当にアートが素晴らしくってねぇ。右下に描かれたとあるプレインズウォーカーと比べると、その巨体っぷりがよくわかる。12/12と超弩級のサイズにしてたったの{1}というコスト、そしてデメリット。カードデザインのすべてがクールだ。初代『ミラージュ』版もジャッジ褒賞プロモもどちらもカッコイイ、クール極まる。

 こいつのデメリットを《もみ消し》などで打ち消して開幕から超巨体で圧殺する「スタイフルノート」と呼ばれるデッキは、それはそれはクールだった。現代レガシー版を紹介しようかなと思ったが、その最新型のリストがスッと見つからなかった……クールじゃないね……。

 ちょっと落ち込みそうになったときに、たまたま目にした他のレガシーのデッキの中に一際クールなものを見つけた。クールな逆転劇である。今日のデッキはコイツで決まりだ!

MentalMisstep - 「ペインター・コンボ」
Magic Online Legacy League 5勝0敗 / レガシー (2020年11月6日)[MO] [ARENA]
2 《冠雪の山
1 《冠雪の島
3 《Volcanic Island
4 《沸騰する小湖
1 《溢れかえる岸辺
2 《汚染された三角州
3 《霧深い雨林
3 《古えの墳墓
1 《裏切り者の都

-土地(20)-

4 《絵描きの召使い
1 《粗石の魔道士
1 《ハールーンの将軍、セスロン
4 《アクームの怒り、モラウグ
4 《ボロスの布陣者

-クリーチャー(14)-
4 《渦まく知識
4 《Didgeridoo
4 《丸砥石
4 《思案
4 《紅蓮破
3 《赤霊破
2 《呪文貫き
1 《目くらまし

-呪文(26)-
1 《トーモッドの墓所
2 《稲妻
1 《墓掘りの檻
1 《精神支配
1 《真髄の針
2 《削剥
1 《サーボの網
1 《血染めの月
1 《コジレックの帰還
3 《精神壊しの罠
1 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 デッキリストをきちんと見てくれたのであれば、そのクールな圧力をビシビシと感じていることだろう。これはレガシーでも定番デッキの1つである「ペインター・コンボ」と呼ばれるデッキがベースになっている。ペインターこと《絵描きの召使い》を利用したコンボデッキだ。

 これを戦場に出し、色を青と指定するとすべてのカード・呪文が青の色を持つ。そうなると《紅蓮破》《赤霊破》が確定であらゆる呪文を打ち消し、またパーマネントも問答無用で破壊できるという夢の1マナインスタントに早変わり。

 これで相手の自由な行動を縛り、《丸砥石》で一気に勝負を決める。

 《丸砥石》で切削すると、相手の墓地に落ちる2枚のカードはどんな組み合わせであれ召使いで指定した青を共通して持っているので再度切削。切削。切削ゥゥゥ~ッ。一瞬でライブラリーを削りきりジ・エンド。クールなコンボだ。

 赤単で組まれる他に赤白、そしてこのリストのように赤青で組まれることが多い。《思案》《渦まく知識》とドローサポートに優れており、《丸砥石》にアクセスする《粗石の魔道士》が使えるなど青を足すことの恩恵は大きい。それだけでも十分にクールなのだが……。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:ここにきてミノタウルス

 このデッキのクリーチャー欄には、構築で使われているところを初めて見るとんでもないヤツがドカッと腰を下ろしている。《ボロスの布陣者》だ。

 7マナ5/5とスペックはあまり良くはないが、能力がすごい。各戦闘においてクリーチャー1体に攻撃かブロックを強要し、もう1体のそれの参加を拒否する。相手のやっかいなクリーチャーの攻撃は防ぎ、あるいは潰したいクリーチャーには無理矢理攻撃やブロックをさせてこちらの戦力で討ち取る。なかなかにクールな能力で戦場を支配しうるポテンシャルを秘めているが……何せ、コストが重いため使いにくい。

 そんな布陣者を戦場に出すために《Didgeridoo》を用いる。

 Did……え、何それ? その読みは「ディジュリドゥ」。これはアボリジナル(オーストラリア先住民)が用いる民族楽器で、シロアリに食われることで筒状になったユーカリの木で作られる笛であるそうだ。

 なんともクールな楽器であるが、これが一体《ボロスの布陣者》と何が関係あるのかというと……ディジュリドゥはその音色で牛を集めることができるという。マジックにおけるそれは手札からミノタウルスを1枚戦場に出すという能力を持ったパーマネントだ。

 布陣者はミノタウルスなので、笛を吹くための{3}を支払えば戦場に出せる。出れば《グリセルブランド》だろうが《引き裂かれし永劫、エムラクール》だろうが「マリット・レイジ」だろうが一切の戦闘を許さないスーパーミノタウルスがゲームを支配するだろう。

 布陣者以外にも、強力でマナ・コストが4マナ以上のミノタウルスがいないとデッキが組みにくかったが、『Jumpstart』で《ハールーンの将軍、セスロン》、『ゼンディカーの夜明け』で《アクームの怒り、モラウグ》が加わったことでデッキが組みやすくなったというわけで、実は最近ディジュリドゥデッキが密かなブームなのだ。なんともクールなアーティファクトに目を付けたもんだなぁ。

 モラウグは戦闘を増やすことで布陣者との相性もバッチリだ。ペインターとディジュリドゥ、2つのプランでクールに戦え!

クールポイントその2:シブすぎ! 過去のトップレア

 デッキリストを眺めていると、サイドボードになんとも懐かしい名前が。《サーボの網》。

 クールすぎるよシブすぎる。かつて『インベイジョン』リリース時に《リシャーダの港》で苦しめられていたデッキたちはこの対策カードの登場に歓喜したものだ。

 マナ能力でない起動型能力を持つ土地のアンタップを防ぐという防御的な1枚で、相手が序盤にマナを出すために寝かせた《不毛の大地》を潰したり、モウラグを《カラカス》で何度も戻されるのを防いだりとシブ~い活躍を見せてくれるだろう。レガシーでは《リシャーダの港》がまだ現役というのもあるし、港対策で網を出すという光景を久方ぶりに目の当たりにすることもあるかもしれないね。

さらなるクールのために

 意外と「コストが重くて絶大なパワーを誇るミノタウルス」というのはいないものだが、《ファイアソングとサンスピーカー》を出したりすると面白いかもしれない。

 召使いで色の指定を白にして、《稲妻》で3点与えて3点回復、また3点与えるなんて芸当が……クールだけどもオーバーキルかな(笑)。

 レガシーでタップ状態で出る土地は許容しづらい部分はあるが《アクームの戦士》を入れるのはクールではある。でもやっぱ一番クールなのは《タールルームの勇士ターンガース》だな、《秘密を掘り下げる者》をターンガースでバシバシ叩き落とすというゲームをやってみたいね。

クールなまとめ

 マジックは本当に何があるかわからないゲームだ。こんなタイミングで《ボロスの布陣者》や《Didgeridoo》がイキイキと構築シーンに躍り出てくるなんて……その事実そのものがクール、レガシーはクールだ!

 『統率者レジェンズ』で謎に増えたサラマンダーとか、そういう種族も今後いきなりデッキが組まれるなんてことがあるかもしれない。可能性をいつでも信じて、それじゃまた来週ッ! Stay cool!!

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