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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
セレズニア・タイタン(モダン)
「モードを持つ両面カード」というものがマジックの新たな側面を生み出しそうだ。
変身する両面カードというもの自体はこれまでにもあった。第1面のカードとしてプレイして、何らかの条件を満たすと第2面に変身するというものだ。今回はそうではなくて、プレイする段階から面を選択できる。
『ゼンディカーの夜明け』ではこの両面カードにもテーマがあり、いずれも土地が絡んでいる。青マナを生み出す《河川滑りの小道》と赤マナを生み出す《溶岩滑りの小道》が一体となっているような新しい2色土地である小道サイクル。そしてクリーチャーやその他の呪文である面と、土地の面が一体となったカード。これは新しい!
これまでもそのカードの本来の役割とは別のものとして使えるカードはいくつもあった。違うカードを引き込むためのドローになるサイクリングや、クリーチャーではなくインスタントやソーサリーとしても唱えられる出来事など……それらと比較しても、この土地の面を持つカードは革新的だ。
土地というものは引きすぎると何もできなくて負けてしまうが、引かなさ過ぎても何もできずに負けてしまう。それゆえにデッキに採用するべき枚数が難しい存在である。
この土地の面を持つカードは、土地が十分にある状況であれば第1面の呪文、例えば《アクームの戦士》として用い、逆に土地が十分に手札にない序盤には《アクームの歯》として戦場に出すことで土地として使える。土地を引きすぎることをフラッド、引かなさすぎることをスクリューと呼ぶが、この新しいカードたちはフラッドにもスクリューにもアンサーとなり得るポテンシャルを秘めている。
この記事を書いている今はまだ実際に新カードをプレイしていないのでどれほどのものなのか感覚は掴めていないが、大いに期待しているカードだ。
2 《森》 2 《冠雪の森》 1 《平地》 1 《冠雪の平地》 2 《寺院の庭》 1 《まばらな木立ち》 1 《聖なる鋳造所》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 1 《セレズニアの聖域》 1 《魂の洞窟》 4 《トロウケアの敷石》 2 《ギャレンブリグ城》 2 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 1 《ボジューカの沼》 2 《死者の原野》 1 《光輝の泉》 1 《幽霊街》 1 《爆発域》 1 《ヴェズーヴァ》 -土地(32)- 4 《エルフの開墾者》 2 《樹上の草食獣》 1 《桜族の長老》 4 《イリーシア木立のドライアド》 1 《秋の騎士》 1 《ラムナプの採掘者》 1 《春花のドルイド》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー(18)- |
4 《流刑への道》 4 《エラダムリーの呼び声》 2 《探検》 -呪文(10)- |
1 《溜め込み屋のアウフ》 1 《ガドック・ティーグ》 2 《不屈の追跡者》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《弁論の幻霊》 4 《天界の粛清》 2 《内にいる獣》 3 《沸騰》 -サイドボード(15)- |
で、急ではあるがデッキリストを紹介しよう。これは最近モダンで存在感を示したデッキの1つである「セレズニア・タイタン」。セレズニアの名の通り緑と白の2色デッキで、まあそれ以外の色が出る土地も入っていたりするがそれについては後述。
タイタンは《原始のタイタン》のことで、これで土地を戦場に出すことで勝利を目指していく。
土地の枚数32というリストからも、このデッキの土地の重要性がわかっていただけるだろう。タイタンというキーカードや、その他の土地に関するクリーチャー、1枚ずつ散らしたものなどを状況に合わせてサーチするために《エラダムリーの呼び声》を使用。
相手のクリーチャーを除去、あるいは自分のクリーチャーに撃ち込んで基本土地を戦場に出すこともできる《流刑への道》も用いるために緑と白でデッキとなっているのである。
デッキとしては、とにかく土地を戦場に並べていくことを目指す。毎ターン手札から出すのはもちろんのこと、《樹上の草食獣》《イリーシア木立のドライアド》《探検》で手札から、《桜族の長老》《春花のドルイド》《原始のタイタン》でライブラリーから、《ラムナプの採掘者》で墓地から土地を戦場に出すことで使えるマナを増やし、タイタンも投下して戦場を土地まみれにすることを狙う。
それだけ土地を並べてどうするのかというと、2種類の土地が勝利へと導いてくれるからだ。《死者の原野》は7種類以上の土地が戦場にあるとゾンビ・トークンを生み出す、お馴染みのあの超強力土地。これでザクザクとゾンビを量産し、相手の攻撃を受け止めつつ集団で攻撃してライフをもぎ取る。
そして《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》。山タイプを持つ土地を5枚以上コントロールしている状況下で山タイプの土地が戦場に出ると、3点ダメージ! 除去として使って盤面を掃除したり、対戦相手本体に連打してライフを焼き切ったりとなんでもござれだ。
って、山なんか1枚も入ってないだろ!……そうなるのが普通だ。しかしながらこのデッキに入っているすべての土地は山なのである。《イリーシア木立のドライアド》でそのタイプを与えてやる、というわけだ。
このデッキのように《死者の原野》および《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で勝ちを狙いに行く、山がまったく採用されていないタイタン・デッキというのは最近モダンでブームとなっているのだ。
このようなタイタン・デッキに、冒頭で触れた「土地の面を持つカード」は入ってこないだろうか、という話を今回はしたかったのである。原野やヴァラクートを誘発させるための土地として出して良し、表面のカードとしてプレイしても良しというカードを採用すると、デッキのアクセントになって面白そうじゃないかな、とね。
例えば《エメリアの呼び声》。序盤では(ライフは3点失ってしまうが)アンタップインの土地である《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア》として使える。
ゲームが長引いたり、土地は伸びてもタイタンがいないという時には《エメリアの呼び声》として唱え、航空戦力を得つつ他のクリーチャーに破壊不能を与えて地上をガッチリと護る、なんてことができる。
《オンドゥの空遺跡》は確定でタップインなので使いにくいかもしれないが、どうしようもなくなった盤面を《オンドゥの転地》でリセット出来るのは魅力的だ。土地で勝つデッキなのでそれ以外がすべて流れ去ってしまっても問題はないという点で噛み合っているかな、と。
タイタンを護る《セジーリの防護》も面白い。《バーラ・ゲドの復活》も消耗戦を制する1枚になり得る。純粋な土地ではあるが、《枝重なる小道》/《石重なる小道》は2色土地として複数枚採用しても使い分けることで原野の求める7種類の土地という条件に貢献できるという点もなんだかテクニカルだ。
ぜひとも『ゼンディカーの夜明け』の全く新しいカードでしか味わえないマジック体験を楽しんでほしいところだね!
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