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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:土地0にして土地24(パイオニア)
きました今週のCool Deck! 今日はなんと『ゼンディカーの夜明け』オンラインでの先行リリース日! そんなわけで早速新環境のデッキを取り上げたいところだが、これを書いている現在、実はまだ全カードの情報も公開されていないという状況。なので実際に使われたデッキを紹介することなんてもちろんできやしない。
かといって『ゼンディカーの夜明け』登場以前のデッキを紹介するってのも……あまりクールじゃない。このコーナーの方針に反する。
なので、ネット上で「早速新カード使ったデッキを考えてみたぞ~」とアイディアを公開しているプレイヤーを探して回った。そして、とんでもなくクールなリストを見つけたのだ! いや~クールなデザイナーがいてくれて助かった! そんなわけで今週のデッキはコイツだ!
-土地(0)- 4 《ナルコメーバ》 2 《タッサの神託者》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《銀打ちのグール》 4 《地底街の密告人》 4 《欄干のスパイ》 2 《世界棘のワーム》 -クリーチャー(24)- |
4 《立身 // 出世》 4 《思考囲い》 4 《這い寄る恐怖》 4 《マラキールの再誕》 4 《ペラッカの捕食》 4 《ハグラの噛み殺し》 4 《ゾフの消耗》 4 《海門修復》 4 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(36)- |
このクールなデッキは?
「おいおいあんた、土地の掲載忘れてるぞ~」と思われた方もいるかもしれない。が、違うんだ。そこがこのデッキのクールなところなのさ……全部が呪文カード、つまり土地が1枚も採用されていないのが今日のデッキだ。このリストはパイオニアのもの。ベースになっているのはモダンやレガシーのデッキで、「Oops All Spells」と呼ばれているコンボデッキ。「ありゃ、全部呪文だ」というデッキ名の通り、土地を1枚も採用しない。なぜか、それはもちろん勝つためだ! マジックにおいて最も大事な土地を使わずに勝つ、その反抗的な姿勢はなんともクールだ!
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:土地が1枚もないことで……
土地を採用しないということにどれだけのメリットがあるのか。その答えは2種類のカードにある。《欄干のスパイ》と《地底街の密告人》、どちらも『ギルド門侵犯』のクリーチャーだ。
スパイは戦場に出た時に誘発、密告人は1マナ払ってクリーチャーを1体生け贄にすることで起動する能力を持ち、その内容は同じ。プレイヤーのライブラリーのカードを土地が公開されるまで墓地に置き続ける、というもの。
本来は対戦相手を対象にしてライブラリーを削り、空っぽにして勝ちを狙う切削デッキ向けのカード、に見えるのだが……自分に対してこれらの能力を用い、土地が1枚もないライブラリーを用意していれば全てのカードが墓地に落ちる。そう、狙うのはセルフライブラリーアウト!クール!
クールポイントその2:土地はなくともマナは欲しい
土地を1枚も採用しないことでスパイ&密告人が火を噴くことは分かった。しかしながらこれらのカードは、どちらも計4マナを必要とする。土地がなくて一体どうやってそれを得るのか。《水蓮の花びら》《暗黒の儀式》などがあるレガシーなどのフォーマットであればそれもわかるが、パイオニアにはそれらのカードはない。
そこで用いるのが……土地でないカードでありながら土地として使用できる、『ゼンディカーの夜明け』のモードを持つ両面カードを用いるのだ。
《マラキールの再誕》などのカードは第1面の呪文として唱えてもいいし、第2面の土地として戦場に出すこともできる。実質土地カードでありながら、ライブラリーにある時には土地ではないのである。このリストは1枚も土地を採用していないのと同時に、24枚土地を採用しているリストでもあるのだ。これらの土地を置きながら、着実にスパイ&密告人で全削りするその時を待つのである。
クールポイントその3:コンボのフィニッシュは……
4マナ揃えてスパイか密告人で自分を対象にし、ライブラリーを墓地に落とし込んだ。その後どうするのか。コンボのフィニッシュとしては《タッサの神託者》を用いる。
ライブラリーを墓地に落とし込んだのち、神託者を戦場へ。ライブラリーが青への信心以下……多くの場合、2枚以下であればその場で勝利となる。全削りコンボを決めてから素出しするか、墓地に落ちた神託者を《立身 // 出世》で釣って勝利することになる。
この時、4マナしかないがとりあえずコンボをぶっ放し、ライブラリーを落とし込んでしまってもターンを跨いで生きていられるように工夫がしてある。《世界棘のワーム》の採用だ。
このワームはいずれかの領域から墓地に落ちた際に、ライブラリーに戻る能力を持つ。これを採用することでライブラリーがすべて墓地に落ちた後にワームがライブラリーに帰り、次のドローステップでカードが引けずに負けるということを防ぐ。手札に来た際を考慮して2枚採用しており、どちらも墓地に落ちたあとにライブラリーに帰ったとて2枚。神託者の信心以下に収まるように設計されているのだ。これはなんともクールだ。
クールテクニック!
デッキの他の部分は神託者で勝てない状況のためのサブプランで埋められている。ライブラリーが墓地に落ちることで《ナルコメーバ》は戦場に出て、《這い寄る恐怖》は追放して相手のライフを3点吸い取る。最大12点のライフを失わせそれだけこちらのライフは回復。
3点以上回復するということは《銀打ちのグール》がターン終了時に蘇り、戦場へ。ナルコやグールが墓地から戦場に出たので、《秘蔵の縫合体》もつられて這い出してくる。
次のターン、これらで総攻撃をしかけてジ・エンド。これもまたクールな勝ち方で、一度は決めてみたいもの。最大ライフが12点回復し、ナルコが戦場に出てブロックにも回れるので、相手の返しの攻撃を耐えることもできるはずだ。攻防一体、クール極まるコンボだぜ。
さらなるクールのために
このリスト公開時にはまだ《アガディームの覚醒》が公開されていなかったので不採用になっている。
もちろん、このアンタップ状態で出せる黒い土地を入れない手はないので《ゾフの消耗》あたりと入れ替えよう。
《ペラッカの捕食》は打ち消しなどのコンボ対策として、《ハグラの噛み殺し》はクリーチャー除去として、どちらも唱えられる範囲のコストなので採用しておきたい。
どうしてもスパイ&密告人が見つからないという状況もあると思うので、《ヴァラクートの覚醒》で引きに行くというプランも用意するとクールさが増すかもしれない。
クールなまとめ
土地でない土地カードという矛盾した存在が誕生したことで、マジックの戦略に新たな1ページが加えられた。この「Oops All Spells」の他にも、デッキ内の土地カードの枚数を絞ったコンボやアグロはいくつか存在するので、それらも新たな形にステップアップする可能性もある。あるいはまったく新しいデッキも誕生するだろう。
土地事故で困るプレイヤーを減らしたいという思いで作られたであろうクールな両面カード、これを使わなきゃクールじゃないぜ!
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