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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ローテーション後のデッキを考えよう! 赤単編(新スタンダード)
『ゼンディカーの夜明け』がやってくる、ということは同時に起こるイベントが。スタンダードのローテーションだ。
昨年『エルドレインの王権』で経験しているプレイヤーも多いことかとは思うが、ここを読んでくれているプレイヤーの中には今回が初めてのローテーションだという方も少なくないだろう。スタンダードは使用できるセット数が限られている。しかしながら新しいセットは定期的にどんどんとリリースされていく。そこで定期的に、現在のサイクルでは秋のセット発売時に、ローテーションが行われて古いセットがスタンダードを退場していくのである。
愛したセット、お気に入りのカードが使えなくなるのは寂しいことではあるが、このローテーションによって新たに日の目を浴びるカードやデッキも出てくるし、ローテ落ちしたカードはヒストリックやパイオニアといったフォーマットが受け皿となってまだまだ活躍する余地があるので安心してほしい。
今回スタンダードを去るのは……『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』『灯争大戦』『基本セット2020』の4つ。これらが『ゼンディカーの夜明け』リリースと同時にスタンダードから退場となる。どのカードも……お疲れさまでした!
上記4セットのカードが抜けるとなると、もちろん環境は大激変を迎えることになる。ラヴニカの2色土地サイクルが抜けることは、すべての多色デッキにとって大きなプロブレム。『灯争大戦』のプレインズウォーカーがまとめていなくなるのも環境を激変させる要因だろう。
ローテ直後の環境最初期というのは、全員が試行錯誤しながらデッキをゼロから作ることになる。ここでスタートダッシュを決められれば、ランク戦やトーナメントでの良い結果に繋がることは間違いない。今日はそんなデッキをみんなで考えてみよう!
23 《山》 -土地(23)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 3 《リムロックの騎士》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(30)- |
3 《初子さらい》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(7)- |
3 《エンバレスの盾割り》 3 《レッドキャップの乱闘》 3 《魂標ランタン》 3 《溶岩コイル》 1 《実験の狂乱》 2 《無頼な扇動者、ティボルト》 -サイドボード(15)- |
というわけでまずはサンプルリストを見てもらおう。ローテ前環境の赤単色のアグロデッキだ。1~3マナの優秀なクリーチャーを序盤から展開し、コストを軽減した《エンバレスの宝剣》で二段攻撃を決めるか、《朱地洞の族長、トーブラン》でダメージを増量して押し切るかして勝つ。
スピーディーなゲーム展開を信条とした、アグロの代表格だ。《鍛冶で鍛えられしアナックス》の信心を稼ぐために《ショック》などの使い捨ての呪文よりもクリーチャーを最優先するスタイルが基本形となったね。
このサンプルリストから、ローテーションで抜け落ちるカードを差っ引いてみよう。いち、にの、ポカン。
23 《山》 -土地(23)- 4 《熱烈な勇者》 4 《義賊》 3 《リムロックの騎士》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(22)- |
3 《初子さらい》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(7)- |
3 《エンバレスの盾割り》 3 《レッドキャップの乱闘》 3 《魂標ランタン》 -サイドボード(9)- |
おや、意外と減らない。1マナ圏にして実質パワー2として扱え、ブロッカーの上から強引に本体にダメージを与えられる《焦がし吐き》、そして最大4/4にまでサイズアップし同時にマナ加速としても用いることのできる《遁走する蒸気族》。メインデッキが失うのはこの2種類のみ。となれば、他のカードで十分に穴は埋められそうである。
『ゼンディカーの夜明け』の新カードから候補を探してみよう。まず1マナ圏。ここには今回、かなり魅力的なクリーチャーがいる。
《アクームのヘルハウンド》はパワー0ではあるものの、土地を戦場に出せば上陸によりパワー2に。《焦がし吐き》の代役として打点は負けていない。《寓話の小道》のような土地と組み合わせると、1ターンに2回誘発なんかも狙える。
もう1枚は《むら気な猛導獣》。そのスペックは驚異の2/2速攻&トランプル!
ものすごくアグレッシブだが、デメリットとして対戦相手にダメージを与えた場合、土地を1枚手札に戻さなければならない。つまりこれでガシガシ殴っているうちは使えるマナが増えず、アナックスやトーブランなどといった3マナ以上のカードはかなり使いにくくなってしまう。このリストをベースにするのであれば、ヘルハウンドに軍配が上がる。
続いては2マナ圏。《マグマの媒介者》は4/4になるポテンシャルがあり蒸気族の後釜としてとても魅力的なレアではあるが、そのサイズアップの条件をこのデッキで満たすことができないため、このリストではその強さをフルに発揮できないだろう。
今回のセットでプッシュされているクリーチャー・タイプの1つである戦士にはなかなか魅力的なカードが2種類。《カルガの威嚇者》と《ゴーマ・ファーダの先兵》だ。
どちらもアプローチは異なるが、相手のクリーチャーがブロックしてくるのを防ぐ攻撃的な能力を持っている。これらは戦士が多いほど効果を発揮するので、使うのであればセットが望ましい。
また、非クリーチャー呪文の枠も一考に値するカードがやってきた。久しぶりの2マナ3点火力、《乱動の噴火》だ。
クリーチャー除去に使えて、プレイヤーも対象に取れるのでゲーム終盤は本体にも投げつけて一気に終幕へと持っていける火力呪文。2マナで3点は伝統的な値で、非常に使いやすい。残念ながらソーサリーなので相手の様子を見てからターン終了時に本体に撃ったり、オーラがつけられるのに対応して撃ち込んだりといった器用なことはできないが、キッカーで5点ダメージに引き上げることも出来るのは嬉しい。新環境で《初子さらい》がどれぐらい機能するか読みにくい部分があるので、ひとまず入れ替えても良いかもしれないね。
21 《山》 2 《エンバレス城》 -土地(23)- 4 《アクームのヘルハウンド》 4 《熱烈な勇者》 4 《カルガの威嚇者》 4 《ゴーマ・ファーダの先兵》 4 《義賊》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 2 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(29)- |
4 《乱動の噴火》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(8)- |
3 《エンバレスの盾割り》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《魂標ランタン》 3 《乱動する渦》 2 《燃えがら地獄》 2 《ヴァラクートの探検》 1 《アクロス戦争》 -サイドボード(15)- |
以上のカードをぶち込んで枚数調整したリストを作ってみた。もちろん、これを書いているタイミングでは新カードで実際にプレイはできないので、どんな動きになるかは完璧に把握はできていないが……既存のデッキをベースにしているので、ある程度の強さ・勝ち筋は保証されているので野心的に組んでみた。各自こんな感じで、思い思いの試してみたいカードで新環境のデッキを作ってみてほしい。
今回の赤には実にサイドボード向けのカードもいくつかある。最も気になる1枚は《乱動する渦》。
かつて赤いアグロやバーンデッキのサイド後最強カードとたたえられた《硫黄の渦》の調整版といった趣だ。置いておけば毎ターン、自動的に1点ダメージを与えてくれる。こちらにもダメージが入るので殴り合う展開では足を引っ張りかねないが、コントロールなどの遅いデッキを相手に2ターン目にポンと置くだけで、かなりのプレッシャーになってくれることだろう。
{R}を支払うことで相手がライフを得るのも防ぐのがかなり偉い。延命を妨害し、相手の土俵に入る前にゲームを終わらせよう。マナを支払わずに呪文を唱えるとそのプレイヤーに5点ダメージ、というのがどれほど機能するかは不明だが、《出現の根本原理》を使うコンボデッキなどが出てくればキラーカードとしても注目されるようになるだろう。
《ヴァラクートの探検》もかなり強いカードに見える。
土地を置けば、そのターン限定で手札が増えるような能力。この手の、追放したカードを唱えられる能力は赤に多く見られるが、唱えられるマナが足りなかったり対象にするものがない、そもそも土地だった、などの理由からアドバンテージを得られない空振りに終わることも多々ある。これまではそういうもんだと割り切って運用してきたが、《ヴァラクートの探検》はそうした理由からカードが唱えられなかった場合、ターン終了時にそれらを墓地に置いてその枚数分対戦相手にダメージを与えてくれる。土地を置けば、とりあえず最低1点ダメージは保証されるというわけだ。同型戦では除去を増やして相手の攻めを受け切って、《ヴァラクートの探検》で手数の差をつけて勝つというプランで戦うのも良さそう。
やっぱり、新しいカードを取り上げるのはワクワクする。同時にローテーションで、どんなカードが再評価されるのかも気になるところだ。とりあえず最初期は赤いアグロデッキの数が増えるのはいつもの流れ。他のデッキを試そうとしている場合、サイドボードに対策はしっかり準備しておこう!
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