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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゼンディカーと言えば…12post?(レガシー)

岩SHOW

 ゼンディカー! この次元を舞台にした新セット『ゼンディカーの夜明け』がやってくる。

 ゼンディカーとの名のつくセットがリリースされるのは実に3度目。初代『ゼンディカー』は謎と冒険に満ちた新しい次元にプレイヤーを引き込んだ。パックから本来そのセットには含まれない古の強力カードが飛び出すトレジャーという仕掛けもあり、皆でこぞってこのセットを剥いたものである。だが、同セットからなるブロックにて、次元ゼンディカーに封じられていた多元宇宙の脅威・エルドラージたちが目覚めた。

 多元宇宙のすべて食い尽くそうとするこれらに対して、『戦乱のゼンディカー』ではジェイスなどプレインズウォーカーが立ち上がり、戦いを挑む。ゲートウォッチの初陣とも言えるこの戦いは、エルドラージの親玉であるウラモグとコジレックを撃破したことで無事決着。戦いで荒れ果てたゼンディカーが復興し、また新たな冒険が始まる……

 という意味合いで、今回は『ゼンディカーの夜明け』というセット名になっているってわけだ。だからどうしてもゼンディカーと聞くと、長くやっているプレイヤーはエルドラージをイメージしてしまいがちだ。今回は戦いが終わった後の世界なのでエルドラージは登場しないが、かつてエルドラージの封印に大きく関係のあった「面晶体」と呼ばれる浮遊するアーティファクトは変わらず登場する。空に大小の面晶体が浮かんでいるのこそ、ゼンディカーならではの光景だ。

 このアーティファクトはかつて、ナヒリとウギンが協力して作ったものだそうだ。ウギン、この人……というかドラゴンもゼンディカーとは切っても切り離せないキャラクターだ。

 彼はかつてこのエルドラージという危険な存在に遭遇し、ソリンとナヒリとプレインズウォーカー3人で対処法を探った結果、ゼンディカーに封印することに。この封印に関わる「ウギンの目」と呼ばれる遺跡を残し、離脱した。

 その後1回死んでいたのだが、歴史が塗り替えられて復活。ジェイスたちがエルドラージに勝利した直後にゼンディカーに再訪し、ウラモグとコジレックを死亡させたことに対してそれが多元宇宙にどれだけの影響をもたらすのかちゃんと考えて行動せんかい!と説教しつつ、それらの死骸を調査研究するとのことで話をつけて再離脱。

 ゼンディカーにはエルドラージとウギン、どちらも深い関係にあり、どちらもこの次元を語る上では外せない存在なのである。そんなわけで、今日紹介するデッキは……

Joraga - 「12post」
Magic Online Legacy League 5勝0敗 / レガシー (2020年9月4日)[MO] [ARENA]
4 《雲上の座
4 《微光地
4 《ヴェズーヴァ
7 《冠雪の森
1 《魂の洞窟
1 《大瀑布
1 《ボジューカの沼
1 《カラカス
1 《ウギンの目
1 《イス卿の迷路
-土地(25)-

4 《エルフの再生者
3 《不屈の巡礼者、ゴロス
4 《忘却蒔き
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
1 《真実の解体者、コジレック
1 《大いなる歪み、コジレック
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
1 《歩行バリスタ
-クリーチャー(17)-
4 《輪作
3 《Candelabra of Tawnos
3 《真髄の針
4 《むかしむかし
2 《探検
1 《全ては塵
1 《精霊龍、ウギン
-呪文(18)-
1 《Glacial Chasm
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale
2 《花の絨毯
3 《アメジストのとげ
2 《漸増爆弾
1 《一瞬の平和
1 《無のロッド
2 《クローサの掌握
1 《世界のるつぼ
1 《精神壊しの罠
-サイドボード(15)-

 

 ウギン、そしてウラモグ・コジレック・エムラクールのエルドラージ三柱がそろい踏み。レガシーの「12post」だ!

 デッキ名については後に説明するとして……{8}の《精霊龍、ウギン》がこのデッキではまだ軽めな現実的なカードとして採用されているのがヤバい。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《真実の解体者、コジレック》《大いなる歪み、コジレック》といずれも10マナ、そして頂点には{15}の《引き裂かれし永劫、エムラクール》!

 コストが重いカードというのは、それだけ強い。マジックの大前提、この上ない現実を相手に叩きつけることで勝利を目指すデッキである。複数のパーマネントの追放や生け贄強要、大量ドロー、追加ターン……これらに耐えられるデッキってのは、まあないよな。

 重い無色のカードを多数搭載してそのゴールを目指すためには、大量のマナが必要になる。幸いなことに、レガシー環境には無色マナであれば比較的簡単に大量に得る手段がある。《雲上の座》だ。

 「神座」という特殊なタイプを持った土地の数を参照し、それに等しい数の{C}を生み出す。1枚であれば1マナ、2枚あれば計4マナ、3枚あれば計9マナ…と並べれば並べるほど爆発的にマナが増える。

 マナ生産能力は低いが、神座を持っている《微光地》も併用してマナの生産力をアップ。これはマナの代わりに神座の数だけライフを得られるので、対アグロデッキの時間稼ぎにもなる。

 これらの土地は両方、英名が「~post」と共通する名前を持っているので「12post」というデッキ名に……って待てい。計8枚しかないぞpostは。そう、8枚しかないのだが、これを水増しする残り4枚のpostが…《ヴェズーヴァ》。

 戦場にある土地のコピーになるこの土地がいずれかのpostに化けるので計12枚ってわけだ。

 これらの神座土地を並べて《雲上の座》からグイッとマナを引き出しウギンやエルドラージを唱える。どうです、簡単でしょう。《ウギンの目》も添えてやることでよりエルドラージは唱えやすくなる。

 デッキの重い部分以外は神座を並べるためのパーツだ。《むかしむかし》でこれらの土地を確実に見つける、同時にマナが十分にある状況ではエルドラージを探す手段になるだろう。

 《輪作》は《冠雪の森》などを神座にチェンジ、状況によっては《イス卿の迷路》《カラカス》《ボジューカの沼》など相手のデッキに対するアンチカードを持ってきて時間を稼ぐことも。

 《雲上の座》はタップインなので《探検》でまとめておいて時間短縮も大事。

 そして土地を戦場に出すクリーチャーたち。まさかレガシーのような環境で《エルフの再生者》を使うなんて、と思うことだろう。

 3マナ1/1と貧弱ではあるが、神座を増やせる可能性がある。それだけで価値があるってことだ。最低限地上の攻撃を一度止めるブロッカーになるのも捨てたもんじゃない。

 そして《不屈の巡礼者、ゴロス》。彼……と言っていいのかわからないが、これもまた良い仕事っぷりを見せてくれる。

 確実に神座にアクセスし、次のターンの大技を確約。あるいは《大瀑布》を持ってきて、大量の無色マナを{W}{U}{B}{R}{G}に置き換えて、能力起動という手もある。エムラクールなんかめくってみなさい、その場でジ・エンドだ。伝説なのを活かして《カラカス》で戻して出してで神座をせこせこと準備するという動きも、消耗戦の果てに決められればゲームを決める強さがあるだろう。

 {6}とコストは重めではあるが《忘却蒔き》も一気に土地を増やすチャンスをもたらす。5/8と本人がレガシーの地上戦でまず負けることのないスペックなのも頼もしいね。

 これらを唱えて土地を並べ、大量にマナを得る算段を整えて大技で勝つ! 《Candelabra of Tawnos》で《雲上の座》を起こして無理やりマナを得るというのも強烈だ。そしてこれらの基本でない土地が《不毛の大地》のターゲットとなるのを防ぐために《真髄の針》で止めておいて抜かりなし。

 何度も言うが、『ゼンディカーの夜明け』にはエルドラージは登場しないし、ウギンもそうだ。しかしながらゼンディカー感のあるデッキとなると、僕なんかはどうしてもこの「12post」を思い浮かべてしまう。

 今回のセットでゼンディカーのイメージも大きく変わることになるだろう。無色の怪物との戦いから、再び冒険に満ちあふれた世界へ。新しいゼンディカーらしいデッキの登場が、今から楽しみだ。

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