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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:ゴルガリ・パクト(ヒストリック)
やあ、金曜日の夜がやってきた。先週から始めた「今週のCool Deck」、企画倒れにせずにちゃんと第2回やってくぞ~ッッ!
初回でも説明したように、このコーナーでは私・岩SHOWが世界中のデッキリストを漁りながら見つけた、「これはクールだなぁ」というデッキを取り上げる。そのデッキの強さ、大会での勝敗や実績はひとまず置いておいて、とにかくクールだと思える、かっこいいデッキリストというのを第一にやっていきたいと考えている。このコーナーではクールさは何よりも優先する!
とりあえずは定着することを目指して、今週もキンキンにクールなヤツ、紹介しちゃうぞ!
8 《森》 6 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 2 《疾病の神殿》 2 《ロークスワイン城》 -土地(26)- 4 《ラノワールのエルフ》 3 《漁る軟泥》 2 《群れネズミ》 3 《長老ガーガロス》 -クリーチャー(12)- |
4 《思考囲い》 3 《取り除き》 3 《大渦の脈動》 2 《裏切る恵み》 4 《悪魔の契約》 1 《絶滅の契機》 2 《戦争の犠牲》 3 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -呪文(22)- |
2 《才気ある霊基体》 3 《探索する獣》 1 《スラーグ牙》 2 《墓掘りの檻》 1 《強迫》 2 《喪心》 1 《苦悶の悔恨》 2 《絶滅の契機》 1 《衰滅》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
生命の緑と死の黒が合わさる、カラーリングの時点でクールであり、この色の組み合わせの通称である「ゴルガリ」も響きがクール。デッキ名は「ゴルガリ・パクト」。「パクト/Pact」とは契約の意味で、マジックの長い歴史でもさまざまな「パクト」と呼ばれるカードが登場している。契約という重いフレーズの通り、それらはいずれも大きな効果と控えに何らかの代償を要求してくる。
このデッキのパクトは《悪魔の契約》。
名前からもうヤバさしか漂っていないが、危険を冒してこそのクール。リスクなくしてクールなし。《悪魔の契約》を用いた、黒緑の中速デッキの全容を暴こう!
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:悪魔との危険な契約
《悪魔の契約》は戦場に出しただけでは何もせず、アップキープを迎える度に何かが起こるエンチャント。4つのモードから、まだ選択されていないものを選んでいくという形でイベントが進行していく。
- クリーチャーかプレインズウォーカーかプレイヤーに4点のダメージを与え、4点回復する
- 対戦相手は手札を2枚捨てる
- カードを2枚引く
これら3つのイベントをすべて消化することができれば、カード1枚で最大でカード5枚分の働きをすることになる。即効性がなくても、これだけ効果が大きければ問題なし、4マナというコストも軽いってなもんだ!
……で、これらのイベント3つを消化したから最後のモードを……と4度目のアップキープを迎えた時……あなたはゲームに敗北する。誇張表現ではなく、読んで字のごとくの即・敗・北ッ! 悪魔がタダで良い思いさせてくれるわけがない。そんなわけでこのカードを使う際には、4度目のアップキープを迎える前にゲームを終わらせるか、あるいはそれまでに契約を戦場からどかしてしまうかする必要がある。このデッキではその後者、契約を破棄するべく緑の力を借りるためにゴルガリ・カラーになっている。
クールポイントその2:契約は破棄するもの
デッキとしては緑のクリーチャーと黒の除去や《思考囲い》で構成されており、相手のクリーチャーや手札を攻めてプランを崩させ、《群れネズミ》や《長老ガーガロス》といった盤面を支配できるクリーチャーで制圧して勝利する。
その過程で《悪魔の契約》を除去や手札破壊、アドバンテージ源として使って得しようというものだ。
黒と緑が合わさることで、《大渦の脈動》《戦争の犠牲》《ゴルガリの女王、ヴラスカ》とパーマネントの種類を問わず破壊できるカードを扱えるのが強みだ。そして、これこそが《悪魔の契約》による契約死を回避する、契約破棄手段でもある。
《戦争の犠牲》で相手のクリーチャーとプレインズウォーカーと土地を破壊するついでに……契約破棄。ヴラスカの[+2]能力で生け贄に捧げて……契約破棄。死が迫るその前に、緑がらみの弁護団に助けていただこうってわけだ。これには無法が売りの悪魔たちもお手上げ! 契約の美味しいところだけ受け取って、最悪の結末は回避する。これをクールと言わずしてなんと言う。
《大渦の脈動》で破壊するのはなんだか損しているように思えるが、己の身より大事なものはないのでやむを得ない。しかしながら2枚以上並んだ契約をまとめて破棄した際には、超やり手弁護士に依頼して良かったぁという気持ちになれるはず。あとヴラスカにはついでに《裏切る恵み》も処理してもらおう。便利屋扱いしてすんません!
クールポイントその3:背景ストーリー的な話
《悪魔の契約》はアートにも描かれているとおり、リリアナが過去に4体の悪魔と結んだ契約をカード化したものである。このカードが『アモンケットリマスター』にて再録されたのは、リリアナがアモンケット次元にこの契約を結んだ悪魔の1人であるラザケシュを始末しにやってきたというストーリーとマッチしているからだろう。
《悪魔の契約》初出の『マジック・オリジン』時にはまだ4体の悪魔のうち2体しかカード化されておらず、その正体は不明だった。カードの効果から、ラザケシュかベルゼンロックによって契約が完遂され、リリアナは命を落とすのではと考えていたプレイヤーも多かったが……結果としてはリリアナはこれら4体をすべて打ち負かして契約破棄に成功している。君もこのデッキでクールに契約破棄をしてやろう!
しかしながら、自分が結んだ契約を破棄するために手伝ってもらう相手がヴラスカとは……リリアナとヴラスカ、2人には共通点がある。黒の魔術を用いること、かつてニコル・ボーラスと共闘関係にあり彼の目標のために手先として行動していたこと、そして……ジェイス・ベレレンと恋愛関係にあった/あるということ。これは…クールっていうかなんか…気まずいわ!
クールテクニック!
4マナのカードが軸になっており、少々重めのデッキではある。が、逆に5マナのカード3枚、6マナのカード2枚と重すぎるカードに頼っている構成というわけでもない。7枚目以降の土地の価値はあまり高くないので、これを戦場に出すのではなく手札として持っておくことで有効活用するという場面もあるだろう。
相手のクリーチャーや手札をすり潰した際に、こちらが手札を複数枚持っているのであれば「なんか引いてきてもあれでまた潰されて終わりだな、投了しよう」と考えてくれることもある。そういったブラフ以外にも《群れネズミ》のコストに充てることで勝利へと貢献させることも可能だ。その土地は本当に出す意味があるのか、考えて行動しよう。
さらなるクールのために
このデッキで実際にプレイしてみたが、《悪魔の契約》でやりたい放題した後に契約破棄するのは最高にクールなマジック体験だ。その反面、手札と盤面の都合で契約破棄する手段がないまま《悪魔の契約》を貼らざるを得なくなり、それで2枚ドローするなどしても何も引けずにそのまま契約死を迎えてしまったゲームも何度かあった(笑)。契約を4枚使うのであれば、もうちょっと破棄する手段があると安定感が増すように思う。
《秘宝探究者、ヴラスカ》のような直接破壊できて使い減りしないカードを増やすか、あるいは《物語の終わり》で敗北を選ぶ前に能力そのものを打ち消してしまうか。《予言された壊滅》で生け贄に捧げるのも良いな。《奇怪な具現》で生け贄に捧げて、5マナのクリーチャーへと転生させるという契約変更ルートを用意するのもクールな予感。さらなるリスクの先のクールを求めるのであれば《リッチの熟達》で契約完遂後も死者として生き続けろ!
クールなまとめ
デメリットの大きなカードを何とかして使おうというのはマジックの昔ながらの楽しみ方のひとつだ。敗北という最悪の結末をクールなエンディングに置き換える、そんなデッキを皆が組んでくれるのをこれからも楽しみにしているぞ。《悪魔の契約》デッキ、クールを極めたいあなたにオススメ!
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