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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
インビテーショナルに備えろ! ゴブリン編(ヒストリック)
今日も前回に引き続き、2020ミシックインビテーショナルに向けてヒストリックのデッキを紹介しよう。
ヒストリック環境は、この夏に劇的な変化を迎えている。しかも2回も。『Jumpstart』と『アモンケットリマスター』、2つのセットが立て続けにリリースされたからだ。
前者に大きく影響を受けたデッキ、後者によって成立したデッキ、両方のカードが合わさったことで誕生したデッキ。いろいろあるが、今日のデッキは『Jumpstart』により一気にのし上がったものである。同セットは再録カードと、全く新しいカードとで構成されている。この再録と新規、両方がこのデッキを組め!と言わんばかりのクリーチャータイプが……ゴブリンだ。
多元宇宙にも広く生息しており(アモンケットにはいないようだが)、その種類は全クリーチャーの中でもトップクラス。1体ずつの危険度はたかが知れていても、群れることで凶悪になる連中だ。この赤の主要部族、『Jumpstart』ではまさしく群れることを強化するカードがズラリと登場。《ゴブリンの酋長》はサイズでは小さなゴブリンを強化しつつ、速攻も付与して一気に攻めるのを大きく後押し。そして《群衆の親分、クレンコ》はゴブリンの数だけゴブリンを生み出す……倍々ゲームに持ち込む強力な能力持ちだ。
この2枚が揃うだけでも強烈で、十分ゲームに勝ててしまう。そんな2体をまとめて戦場に呼び出し、かつ自身も驚異的に強いのが……《上流階級のゴブリン、マクサス》!
マクサスは……ヤバいね。ライブラリーの上から6枚公開し、その中のゴブリンを全部戦場に! 攻撃するとゴブリンの数だけサイズアップ! 横と縦、2つの軸での攻めを同時に行う、鬼神のごとき能力を持ったゴブリンの貴族様だ。
これら3種のゴブリンでゴリゴリに攻める、今日の紹介デッキは……
18 《山》 4 《エンバレス城》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(24)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《人目を引く詮索者》 4 《ゴブリンの扇動者》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの戦長》 2 《ゴブリンの女看守》 1 《宝石の手の焼却者》 4 《群衆の親分、クレンコ》 1 《ゴブリンの首謀者》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(36)- |
-呪文(0)- |
3 《宝石の手の焼却者》 2 《ゴブリンの鎖回し》 2 《ゴブリンの損壊名手》 1 《ゴブリンの首謀者》 4 《レッドキャップの乱闘》 3 《丸焼き》 -サイドボード(15)- |
まずは「赤単ゴブリン」から! 土地24枚に残りの36枚はすべてクリーチャー、すべてゴブリン。徹底した構築を施すことで、4枚採用したマクサスがそのポテンシャルを全開に発揮する。そんなわけで、デッキとしては「マクサスを唱えて勝つ」というゴールを第一の目標に組まれたものになっている。
6マナと重くても、キーカードのマクサスは4枚! そしてこれにより公開されるゴブリンのうち《ゴブリンの酋長》、そして《ゴブリンの戦長》を計8枚体制で採用することで、かなり高い確率でマクサスおよび彼が連れてきたゴブリン軍団に速攻付与組も含まれ、突然のゲームエンドをもたらすことが期待できる。もちろんクレンコもめくれれば、速攻で能力起動して出てきたトークンも速攻持ち! ドカン、ガツン、終了! このわかりやすさこそ、ゴブリンの魅力である。
マクサスは6マナと重く、またそれ以外にも3~4マナの連中が多く採用されているゴブリンデッキは、とてもマナを必要とするデッキだ。そこで重要なパーツとなるのが《スカークの探鉱者》。
ゴブリン1体を生け贄に捧げることで{R}を得る。一見すると損をしているように見える能力を持っているが、前述のようにマクサスは戦場に出ればとてつもない物量を生み出すカードである。多少の損は気にせず、ゴブリンを生け贄に捧げてマナを生み出し、マクサスの早期降臨を狙うのだ。
《ゴブリンの扇動者》はカード1枚で2マナになるので、3ターン目にマクサスというのも可能なのだ。もちろんマクサス展開後にも、探鉱者がいることでさらなる追加のゴブリン展開も狙いにいけてしまう。クレンコがトークンを生み出せば、それらを糧に1ターンにマクサスを2枚唱えるなんて荒業も夢じゃない。
宝物を生み出してマナ加速する《ずる賢いゴブリン》、そしてクリーチャーを生け贄に捧げて2マナを生み出す《ファイレクシアの塔》。
これらでマナを伸ばし、《ゴブリンの女看守》《人目を引く詮索者》《ゴブリンの首謀者》などでマクサスを手に入れて、一気に畳みかける! その爆発力はヒストリックでも最強格だ。
11 《山》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 3 《泥濘の峡谷》 1 《エンバレス城》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(25)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《人目を引く詮索者》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの戦長》 4 《ゴブリンの女看守》 1 《ゴブリンの鎖回し》 4 《群衆の親分、クレンコ》 2 《ゴブリンの首謀者》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(35)- |
-呪文(0)- |
1 《集めるもの、ウモーリ》 -相棒(1)- 1 《ゴブリンの損壊名手》 4 《思考囲い》 2 《マグマのしぶき》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《ひっかき爪》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(14)- |
ゴブリンといえば基本的に赤単だが、このリストのように色を足すというのも選択肢にある。クリーチャーのみで形成されていることに注目し、相棒に《集めるもの、ウモーリ》を採用した赤黒だ。
もともと《ファイレクシアの塔》を採用することの多いゴブリンなので、それに加えて優秀な2色土地を用いれば{B}{B}が必要なウモーリを使うくらいは造作のないことである。
このウモーリでクリーチャーのコストを軽減させてマクサスの展開をサポート!という動きもすることはあるが、どちらかというと保険的な存在。対コントロールなどで消耗戦の末に出せる4/5という最終手段的に捉えておくのが良いだろう。
また、そうやって黒を足すことでサイドボードで黒いカードを扱えるようになるのも魅力だ。《虚空の力線》が初手に来なくても出せるというのは安心感がある。そして《思考囲い》。
コンボ、コントロール、特定のキーカードに依存したデッキなどに強く効果を発揮する最強1マナ手札破壊だ。特に後手に回った際には、相手に2ターン目などに強烈なアクションを決められ、そのままずるずると受ける側に回り続けて負ける、いわゆる「マウントを取られる」ことを防いでくれることがある。上手く使って、不利なゲームでもチャンスを掴めるようにしてくれる、色を足す価値のある1枚だ。
力線に囲いと、どちらも非クリーチャーカードなので、これらをサイドからメインに投入するとウモーリが相棒から外れることになる。これはそれほど気にしなくても良い、もともとオマケのようなものだから。むしろ「ウモーリってことはサイドもクリーチャーばっかりなのか?」と思い込んだ相手を欺く要素にもなり得る。お互いのデッキリストを確認し合うトーナメントではそうでもないが、ランク戦ではこういう読み合いが勝敗に繋がることもあるぞ。
ゴブリンはマクサスを叩きつけてその「めくれ」さえ強ければそのまま勝ってしまう、その手軽さが魅力の1つである。しかしながら、昔からゴブリンデッキというものはプレイングが難しいとされるもの。部族間の相互作用(シナジー)が色濃く、選択肢も多いため最善の動きはどれなのか? プレイしていて悩む場面が多い。《スカークの探鉱者》はかなり重要なカードなので、1マナクリーチャーだからとうっかり出してしまうとこれを除去されて苦しくなることが多々あったり。
常にブン回りで早期マクサスが決まりまくれば勝ち続けられるが、実際にそんな甘い話はなく、いろいろとやりくりして勝ちをもぎとらなければならない。その時に、状況判断能力が求められるのだ。ミシックインビテーショナルにおいてゴブリンで白星を重ね続けるプレイヤーがいたら、間違いなく高い技術の持ち主だろう。あれ、そんなプレイングするんだ?というのがどう勝利につながるか、そのあたりを考えながら観戦すると、より熱が入り楽しい時間を送れるだろうね。
2020ミシックインビテーショナル 日本語版放送ページ・放送日程
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