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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ジェスカイ変容:アンリコは墓地にある(スタンダード)
「○○はアンリコ!」とか言いながらキャッキャしているマジックプレイヤーを見たことはないかな?
何のテンションだよ……と引いてしまったこともあるかもしれない。ただ、はしゃぎたくなる気持ちもわかってやってほしい(もちろん、このご時世ということを抜きにしても公共の場ではしゃぎすぎるのは良くないぞ!)。
アンリコってのはこの上なく最高なのだ。アンリコって何?という方も多いことだろう、説明しよう! アンリコとは《Ancestral Recall》のことである!
直訳すれば「祖先の回想(実際MTGアリーナのイベントではこの名前だった)」、イラストからもわかるとおり、はるか古代の知識・記憶が流れ込んでくるというイメージだ。その結果もたらされるのは手札、しかも……3枚も! マジック最初の基本セットに収録された、マジック最古のドローカードであるアンリコは、たった1マナでカードを3枚も引けるぶっ壊れ性能のインスタントなのである。今日に至るまで、おびただしいほどのドローカードが創り出されてきたが、起源であるアンリコを超えるものはないと言えよう。
レガシーにて禁止、ヴィンテージでさえ制限というのは伊達ではない。ヴィンテージやキューブドラフトなどで何度かアンリコを唱えたことがあるが、これで3枚引くときは「ピャ~ッ」とでも叫びたくなるような、テンションの最高域に達してしまうものだ。
このアンリコが再録されるということはないが、なんとかアンリコ気分を味わいたいプレイヤーのために、条件は厳しくなっているがカード1枚で手札をモリッと増やせるものがアンリコリメイクとして定期的に輩出されている。特に1枚のカードが3枚に増えるものはアンリコ感がより高く、思わず使いたくなってくる。
最新のものでいえば《真実の視認》はかなりそれらしいのではないかな。
普通に唱えれば手札が増えることはないが、手札以外の領域から唱えることでライブラリーの上から見た3枚がすべて手に入る。厳密に言うとカードを引いているわけではないのだが、アンリコと言って差し支えはないだろう。
《真実の視認》でアンリコ感を味わいたい! そんな欲求があるのなら……こんなデッキはどうだろう?
3 《島》 3 《山》 4 《神聖なる泉》 4 《聖なる鋳造所》 4 《蒸気孔》 4 《ラウグリンのトライオーム》 -土地(22)- 4 《伝承のドラッキス》 3 《雷の頂点、ヴァドロック》 -クリーチャー(7)- |
4 《選択》 4 《ショック》 1 《希望の光》 4 《無神経な放逐》 4 《ラゾテプの板金》 4 《真実の視認》 1 《雷猛竜の襲撃》 1 《ドビンの拒否権》 1 《急報》 1 《約束の終焉》 1 《ヘリオッドの介入》 4 《時を解す者、テフェリー》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -呪文(31)- |
《真実の視認》を手札以外の領域から唱える。選択肢は大きく3つ、墓地・追放領域・ライブラリー。このデッキは墓地から唱えることを狙ったものだ。どうやるか、それは……《雷の頂点、ヴァドロック》!
《翼竜怪獣、ラドン》としても知られるこの伝説の怪獣が変容すると、そのたびに墓地から3マナ以下の非クリーチャー呪文が唱えられる。これを利用して、墓地から真実を視認して3枚手札に加えてやろうという、大いなる野望を抱いたリストなのだ。
変容するデッキと言っても、クリーチャーがたったの7枚。少なすぎるように見えるかもしれないがご安心を。ヴァドロック、そして同じく変容クリーチャー《伝承のドラッキス》は、変容というクリーチャーに重ねることで機能する能力を持っていながら、どちらも墓地にある非クリーチャー呪文に対して働く能力を持っている。
変容するためにクリーチャーを一定数デッキに採用すると、非クリーチャー呪文がなくて変容する意味がない……そうならないように、インスタントやソーサリーでありながらクリーチャー・トークンを生成する呪文を多く採るという形でこの問題を解決しているのだ。《ラゾテプの板金》《無神経な放逐》《急報》がその枠である。
特に動員を行う2種類は強い! パーマネントを手札に戻して相手の展開を妨害し、呪禁で変容するためのトークンを護る。その上、動員で生成されるゾンビ・軍団はそれ自身は0/0で+1/+1カウンターが置かれているので、変容することでヴァドロックたちをサイズアップさせることもできるのだ。
《選択》《真実の視認》で必要なカードを引き込み、《ショック》などで除去しつつ上記のトークン生成カードを唱える。これが序盤の動きだ。そして準備ができたらトークンに変容クリーチャーを重ね、能力を誘発させてアドバンテージを得る。その中でもヴァドロックからのアンリコというのが最強の動きだというわけだ。
もちろんいつでも手札を3枚増やすというのが正解ではなく、《無神経な放逐》で戻しまくってハメるというのも強烈。状況に合わせてベストな動きをして相手を圧倒しよう。
ヴァドロックはインスタントやソーサリー以外も墓地から唱えられるので《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》なども使いまわせる。相手からしたらたまったもんじゃないだろう。カード1枚のパワーは決して高くないので、手数で勝負するデッキだということを覚えておこう。変容したクリーチャーで速やかに殴り勝ちたい。
このリストはMTGアリーナのミシックランク帯、BO1(メインのみ1本勝負)で使用されたものだ。アグロデッキが比較的多いBO1、実際に使ってみるとそれらの攻撃を受け流しながら綺麗に変容クリーチャーに繋げ、4/4飛行・先制攻撃で殴りながら墓地を使いまわして逃げ切る、なかなかに強いデッキだった。《希望の光》などが1枚挿しされているのはBO1のメタゲームに合わせた結果だろう。4点回復をおかわりするのもアグロとの殴り合いでは勝負を決める一手になり得る。
こういった非クリーチャー呪文がたっぷりあって、かつクリーチャーも用いるデッキというのは難しく見えるものだ。実際テクニカルなデッキではあるが、そこまでプレイ難易度が高いというわけでもないので、興味が湧いたのなら臆せず挑戦してみてほしいね。
せっかくスタンダードでアンリコできるのだから、この最高に気持ちいい体験を味わってみるか、くらいの気持ちでね!
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