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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ティムール再生の最高形とは(スタンダード)
今週末にはいよいよプレイヤーズツアーファイナルが開催される。
2020年からスタートしたこの制度だが、新型コロナウィルス感染症の世界的な蔓延によりその開催に関して大きな変更を余儀なくされた。いろいろあったが、とにもかくにも開催されることは喜ばしいことだ。
このトーナメントはマジック・プロリーグ所属選手やこれまで開催されたプレイヤーズツアーを勝ち抜いたプレイヤーなど、正真正銘の実力の持ち主しか参加できない招待制のイベントだ。平たく言うと、世界中の強いヤツらの中でも特に強い連中がMTGアリーナで火花を散らす!
2日間のスイスラウンドを勝ち抜いて、8月1日(アメリカ太平洋夏時間)開催予定の決勝ラウンドに進出するのはどのような顔ぶれになるのか。そして当コラムとしてはどんなデッキが勝つかというところも大いに気になるところ。
フォーマットはスタンダードである。となれば、環境における強いデッキというのはある程度絞り込めるが……大本命は1つ。「ティムール再生」だ。
先に開催されたプレイヤーズツアーオンラインでは4大会中3大会の優勝がこのデッキによるもの。そこから『基本セット2021』が加入したことで環境が変化した中で開催されたRedBull Untapped予選でも最新型の「ティムール再生」が優勝しており、正真正銘、現スタンダードにおける最強デッキであると言っても決してオーバーな表現ではない。
今日はファイナルでも活躍すること必至の緑青赤3色デッキの、ベストな形とはどういったものなのか考察してみよう。
2 《森》 2 《島》 1 《山》 4 《繁殖池》 1 《神秘の神殿》 3 《踏み鳴らされる地》 3 《蒸気孔》 4 《ケトリアのトライオーム》 3 《ヴァントレス城》 2 《爆発域》 4 《寓話の小道》 -土地(29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《厚かましい借り手》 2 《夜群れの伏兵》 -クリーチャー(6)- |
4 《成長のらせん》 2 《霊気の疾風》 2 《否認》 2 《焦熱の竜火》 4 《神秘の論争》 4 《荒野の再生》 3 《サメ台風》 4 《発展 // 発破》 -呪文(25)- |
4 《砕骨の巨人》 1 《厚かましい借り手》 1 《長老ガーガロス》 2 《霊気の疾風》 2 《否認》 1 《ナーセットの逆転》 1 《焦熱の竜火》 2 《終局の始まり》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 2 《島》 2 《山》 4 《繁殖池》 1 《神秘の神殿》 3 《踏み鳴らされる地》 4 《蒸気孔》 4 《ケトリアのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 1 《爆発域》 4 《寓話の小道》 -土地(29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 -クリーチャー(3)- |
4 《成長のらせん》 3 《霊気の疾風》 2 《否認》 4 《神秘の論争》 4 《荒野の再生》 2 《嵐の怒り》 3 《サメ台風》 4 《発展 // 発破》 2 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(28)- |
2 《砕骨の巨人》 3 《長老ガーガロス》 2 《焦熱の竜火》 1 《霊気の疾風》 1 《否認》 2 《魂焦がし》 1 《嵐の怒り》 2 《終局の始まり》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
前述のRed Bull Untapped 2020 International Qualifier II優勝の井川良彦、および準優勝のハビエル・ドミンゲス/Javier Domínguez、それぞれの「ティムール再生」を見比べるところから始めよう。
その前に、「ティムール再生」というデッキの動きが分からないという方は先にコチラでコンボの基本的な部分を把握してみよう。
《荒野の再生》から繋ぐ決め技である《発展 // 発破》(の《発破》)と《サメ台風》、そこに繋ぐためのマナ加速《成長のらせん》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》……これらデッキの固定部分、コアパーツと言えるカードらの枚数には差異はない。
最も大きな違いは、再生からのX呪文・ウーロに続く勝利手段となるカードにある。それぞれにこのスロットに2枚ずつ、《夜群れの伏兵》か《世界を揺るがす者、ニッサ》を採用している。
《夜群れの伏兵》は瞬速持ちであり、《荒野の再生》設置後であればメインで別の動きをしてから相手のエンドにシュッと戦場に送り出すことも容易い。タフネスも4と高く、自ターンメインで動かないことでトークンも生成し止まらない軍団を形成する。特に同型戦では1枚で勝負を決めるカードなのでサイドに採られることが多いが、そもそも同型戦自体が多いし、もうメインで良いだろうとこのように採用されている姿も多く見る。
自分のメインで動いて再生で土地を起こしてというデッキの基本方針と、メインで何も唱えないことでトークンを生み出す伏兵の能力は噛みあっていないようにも見えるが、《ヴァントレス城》《爆発域》《ケトリアのトライオーム》《サメ台風》などの起動型能力に対してマナを気にすることなく用いられるので無駄にはならないだろう。
一方の《世界を揺るがす者、ニッサ》は追加の《荒野の再生》のような役割を果たす。毎ターン3/3を作ってライフを詰めるという役割は伏兵と似ているが、こちらは森タイプを持つ土地から追加のマナが得られる能力が豪快。大量に生み出されるマナで《発破》や《サメ台風》サイクリングを撃ち込んで圧勝というプランが取れるのが強みだ。
また両者の違いとして除去呪文も挙げられる。より小回りが利く《焦熱の竜火》か、まとめて流せる《嵐の怒り》か。
どちらにも良さがあり弱点があるが、共通しているのはクリーチャーにもプレインズウォーカーにもダメージを与えられる点。《時を解す者、テフェリー》という天敵に対してのアンサーになりつつ、クリーチャーデッキの勢いを削ぐカードであることが重要だということが読み解ける。
今度は共通点になるが、《神秘の論争》がメインから4枚という形が決勝まで勝ち残ったことにも注目だ。
これもまたテフェリー、そして同型を強く意識した結果だ。戦場に居座るとすべてのインスタントと《荒野の再生》を否定するテフェリーが3ターン目に出てくることは絶対に許さず、同型の《成長のらせん》などに対しても気軽に唱えられる。重要局面の打ち消し合戦などはこれの枚数で勝敗が決するレベルだ。重要なのは青以外の呪文に対しても正規のコストで唱えられるので、完全な無駄カードとはならない点。今後の再生デッキには「論争、持ってませんように!」というプレイがほぼ通用しないと考えた方が賢明だろう。
『基本セット2021』の新カードからは、意外にも《長老ガーガロス》がこのデッキを強化する1枚となったようだ。
サイドボードから登場するこの6/6のビースト、そのタフネスの高さからダメージ除去では対処しにくく、高パワーは素早くゲームを終わらせる。一度でも攻撃できればトークンを出すなりカードを引くなりアドバンテージは確実に得られる、実に頼もしい追加フィニッシャーだ。今後の定番になるか要注目。
1 《森》 2 《島》 1 《山》 1 《平地》 2 《繁殖池》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 2 《神聖なる泉》 4 《ケトリアのトライオーム》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 4 《寓話の小道》 -土地(29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(5)- |
4 《成長のらせん》 2 《否認》 1 《霊気の疾風》 1 《焦熱の竜火》 3 《神秘の論争》 4 《荒野の再生》 4 《サメ台風》 4 《発展 // 発破》 3 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(26)- |
2 《幽体の船乗り》 2 《帰還した王、ケンリス》 2 《敬虔な命令》 2 《裁きの一撃》 1 《霊気の疾風》 1 《丸焼き》 1 《否認》 1 《神秘の論争》 3 《陽光の輝き》 -サイドボード(15)- |
「ティムール再生」というデッキが最強格であれば、そのデッキに勝てる再生デッキこそが真の最強デッキである!と言わんばかりに登場したのがティムール・カラーに白を加えた「4色再生」。天敵《時を解す者、テフェリー》を味方に迎え入れて、こちらだけが再生の恩恵にあずかろうという野心的な構築だ。
白を足すことでもう1つ使えるカードが《帰還した王、ケンリス》。
ドロー・回復・クリーチャーのサイズアップに速攻&トランプル付与を一手に引き受けるスーパーカードで、再生により大量に使えるマナをこれの起動型能力に注ぎ込んで無茶苦茶してやろうというわけだ。このリストではサイドに控えているが、メインにて伏兵やニッサらの勝ち手段ポジションにてデンと構えているリストもある。《荒野の再生》を巡る戦いは次のステップに突入した、というのをこのデッキの登場からも実感できる。
はたして、プレイヤーズツアーファイナルで好成績を収めて賞金およびグランドファイナルへの出場権を勝ち取るデッキの中に《荒野の再生》デッキはどれほどの割合で存在するのか。今週末の大きな注目ポイントである。ハイレベルなスタンダードのトーナメント、ぜひ観戦も楽しんでほしいね。
2020プレイヤーズツアーファイナル 日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者:1日目&2日目
- 司会・実況:大和周平(@YamatoColors)
- 解説:井川良彦(@WanderingOnes)
- 解説:市川ユウキ(@serra2020)
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