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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ナヤ・トークン:ルーカ率いる「異形」の軍団(スタンダード)

岩SHOW

 先日、イコリア次元で誕生したプレインズウォーカー、ルーカの物語を漫画にまとめたものが公開されたね。いつも素敵なイラストとわかりやすくまとまっているテンポ感が最高で、楽しく読ませていただいている。携わっているすべての人に感謝を。

 で、肝心のルーカだが、なんとまあ悲劇的な目覚め方だろうか。彼はまたイコリアの仲間たちの前に姿を現すことになるのだろうか、それも平穏な帰郷かあるいは……。

 プレインズウォーカーとして目覚めたルーカは、怪物を操る能力を持っている。《銅纏いののけ者、ルーカ》が持っている能力の内容も漫画を読めばなるほど納得のいくもの。ルーカと言えば《裏切りの工作員》、この最強クラスのコントロール奪取クリーチャーのみをデッキ内のクリーチャーにして、各種トークンを[-2]能力の対象にして強引に戦場に出す動きは最強と呼ぶにふさわしいものだった。

 工作員は禁止となり、それに伴って相棒を失ったルーカを使用するデッキも激減。『基本セット2021』のリリースで環境も変化し、新カードを使ったデッキが優先されてルーカは影を……薄くはしなかった。

 むしろ彼の能力を切り出したカードの登場により、ライブラリーからクリーチャーを直接戦場に出すカードが4枚以上扱えるようになった。そのカードは《異形化》。

 《変身》の色を赤に変えたものだ。異形化ルーカ体制で叩きつけるクリーチャーは何にするか? そこは破壊力重視でしょう……ってことで組み上げられた「ナヤ・トークン」、なかなかにビューティフルなものに仕上がっていて、思わず真似したくなるものだった。そのリストがこれだ。

Alonso Arrieta Cervantes - 「ナヤ・トークン」
スタンダード(BO1) (『ラヴニカのギルド』~『基本セット2021』)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
2 《平地
4 《踏み鳴らされる地
4 《聖なる鋳造所
4 《凱旋の神殿
4 《寺院の庭
3 《寓話の小道
-土地(24)-

3 《終末の祟りの先陣
-クリーチャー(3)-
4 《サテュロスの悪知恵
4 《禁じられた友情
4 《急報
4 《ゴブリンの集会
4 《太陽の神のお告げ
4 《異形化
4 《大集団の行進
2 《太陽の宿敵、エルズペス
3 《銅纏いののけ者、ルーカ
-呪文(33)-
 

 異形化ルーカ以外に採用されているのは、ひたすらにトークンを生成するカードばかり。そしてこれらを変身させてライブラリーから呼び出す巨獣が《終末の祟りの先陣》!

 7/7速攻・警戒・トランプル! 暴力的なスペックで急襲し、ライフを一気に詰める。

 もちろん本体だけではなく、戦場に出た時の能力も重要だ。自軍すべてのクリーチャーに+2/+2修整と警戒&トランプルを付与するこの能力で、並べたトークンらを強化し、先陣に続く大軍団として相手のライフに向かって突撃させる! これで二桁ダメージを叩き込み、瞬殺するデッキというわけだ。

 早くて《異形化》で4ターン目、《銅纏いののけ者、ルーカ》でも5ターン目に決まるので、それ以降のターンで勝負しようというデッキ相手には速度勝負で勝つことができる。デッキ作成者も《精霊龍、ウギン》より先に勝てる手段だと、ウギンデッキへのアンサーとして到達した構築のようだ。トークンを並べる→そのうち1体を先陣にする!このわかりやすい戦略もGood。

 トークン生成と言えば白と緑の得意分野だ。また赤にもゴブリンやサテュロスを呼び出す術がある。これらを駆使して盤面を作り、相手の戦場が空いていれば攻撃してライフを詰め、状況によっては相手の攻撃をトークンで受け止めて反撃までのライフを繋ぐ。

 《太陽の宿敵、エルズペス》は攻防両方に使える能力で良い仕事をしてくれるだろう。《大集団の行進》もうまく使ってトークンを最大級に並べて、絆魂を持った兵士らでダメージレースを制したい。

 僕もこの魅力的なリストをコピーしてプレイしてみた。ランク戦で1本だけの勝負、いわゆるBO1用に作られたものなのでそれに挑んでみたが、少々変更したい部分は見つかった。まず、《銅纏いののけ者、ルーカ》は4枚は欲しい。もちろん、複数枚引いてもあまりありがたみがないカードで、《異形化》とどちらか引ければというものではあるが……ゲーム展開によっては2回先陣を走らせて勝つということも多々ある。むしろ複数引いた時のことよりも、これらを全く引けずに1/1を並べ続けるしかないゲームの方が悲惨だ(笑)。

 そしてルーカを増やすのであれば、土地の枚数も増やしたいね。BO1用のデッキなので、MTGアリーナ特有のBO1の際の手札補正により、ゲーム開始時の手札にはデッキ内の土地の比率と近い枚数の土地カードがある(ことが多い)。そのおかげで無駄に土地を引きすぎなかったり、逆に土地を全く引かないということは避けやすくはなっているが……それでも4マナと5マナのカードをゴールにしているデッキで、土地24枚はやや少なく感じた。4枚目、5枚目の土地が引ければ勝てるのにという歯がゆいゲーム展開が続いたので、土地は少し増やした方が良いかもしれない。まあここは運にもよるから各自で自分に合った形に調整してほしいね。

 他には《神聖な訪問》を採用するというアイディアも見かけた。トークン自体を4/4飛行の天使に置き換えようという手だ。全体除去で盤面を掃除された返しで《サテュロスの悪知恵》などで立て直しを狙う際に、このエンチャントも絡めて強力な盤面を作れるのは魅力的だな。

 ルーカは果たして、異形の軍団を率いる悪の道を歩むのか、故郷で待つ大事な人々のために正しい道を選ぶのか。怪物を兵器のように扱うその能力の今後にも注目したいね。

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