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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
バント・ランプ(スタンダード)
万能感。ゲームをやっている時に求めていることは、これに満たされることといっても過言ではあるまい。
あらゆる敵を粉砕し、向こうからの攻撃は無に等しいレベルで受け付けない。なんでもできる無双状態になる、その過程を楽しむってところか。
マジックにおける万能とはどんな状況だろうか。とりあえず、マナはあふれんばかりにないとな。マナが支払えなくて手札のカードが使えなくて負け、ってのは万能からほど遠い。あとはマナだけあっても手札がなくて何もできないってのも良くない、ドローはたっぷり好きなだけ。でも手札とマナが十分にあっても、ライフがなければ常に相手の攻勢に怯えなくてはならない。おっかなびっくりは万能感とは対極だ、ライフを回復したり相手のクリーチャーを除去したりなどの妨害する手段も欲しい。
とりあえずこれらが揃っていて、1枚でいろいろなことができてしまうパワーカードがあれば万能感に満ち満ちている状態、そういって差し支えはないね。
それぞれの役割を色で考えてみよう。マナを大量に得る、これは緑の得意分野だ。ドローは青の御家芸。ライフ回復は白と緑、パーマネント除去は白。妨害手段として打ち消しも考えれば青もカウントできる。という具合に、とりあえず白青緑の3色があれば万能感を得るために必要なものは一通り揃う。
この器用さと、確かなパワーカードを携えていることから、このカラーリングを好むプレイヤーは多い。マジックの歴史上、さまざまなフォーマットでこの3色、通称バントを名に冠するデッキが活躍してきた。
現行スタンダードでも「バント・ランプ」は人気と確かな実力を併せ持った万能デッキだ。
2 《森》 2 《平地》 2 《島》 4 《寺院の庭》 2 《豊潤の神殿》 4 《繁殖池》 2 《神秘の神殿》 3 《啓蒙の神殿》 3 《ケトリアのトライオーム》 1 《爆発域》 4 《寓話の小道》 -土地(29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《厚かましい借り手》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(7)- |
4 《成長のらせん》 3 《霊気の疾風》 1 《萎れ》 3 《空の粉砕》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 2 《サメ台風》 4 《時を解す者、テフェリー》 1 《伝承の収集者、タミヨウ》 3 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(24)- |
1 《厚かましい借り手》 2 《夢さらい》 4 《ガラスの棺》 3 《ドビンの拒否権》 2 《ヘリオッドの介入》 2 《神秘の論争》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
現スタンダードを象徴するカードと言われているのが《成長のらせん》。
土地を手札から戦場に出せるので、万能の基盤となるマナを増やすことに貢献する、この手のカードは昔からあるが、このカードの優れている点はカードが1枚引けるというところ。土地を戦場に出したりマナを生み出したりするカードというのは、序盤には大いに活躍するがゲームが煮詰まった終盤に引いてきた時にはもう役目を終えており、無駄ドローになりがちである。らせんはドローが付いているので、最低限カード1枚分の働きをしてくれるので無駄にはならない。それでいて2マナと軽くインスタントなので使いやすいのだから、たまらないね。
このらせん、そして似た能力を持った《自然の怒りのタイタン、ウーロ》でカードを引き、引いてきた土地を置き、相手よりも使えるマナが多いという状況を作っていく。これができる青緑使用デッキはスタンダードの覇者とも呼べる、頭一つ抜けたデッキパワーを持っているのだ(「ティムール再生」とかね)。
さて、「バント・ランプ」。らせんとウーロで置く土地が、そもそも毎ターン手札から出す土地がないという状況は絶対に避けたいので、土地は山盛りの29枚採用だ。
デッキの半分が土地であるならば初手7枚の半分もそうだろうし、毎ターンのドローも2回に1回は土地。これぐらい徹底することでいわゆる土地事故を回避し、重いカードで勝負できるようになる。
それらの土地から出るマナをさらに引き上げるのが、キーカード《世界を揺るがす者、ニッサ》。
彼女の能力で森タイプの土地から出るマナは倍になるので、《ケトリアのトライオーム》《繁殖池》《寺院の庭》から大量のマナを得て、相手よりも重いカードと手数で圧倒してやるのだ。土地を3/3の警戒持ちにして殴ることでこれ1枚でも勝ちに行くことができ、プレインズウォーカーの並べ合いでも大きなプレッシャーを与えられる。彼女こそまさに万能の体現者だ。
みなぎるマナからはお馴染みの《ハイドロイド混成体》を繰り出そう。
巨大な飛行&トランプル持ちのフィニッシャー、そしてドローと回復付き。万能感に包まれてしまうではないか。ただ、このハイドロイドを唱えるのは隙の大きなアクション。本体が打ち消されてもドローと回復はできるが、青いデッキ同士の対決だと打ち消しの探り合いとなるので唱えられず、手札に留まってしまいがちだ。その少々もっさりした部分を解消するために枚数は2枚に抑えている。従来は4枚使われるのが当たり前だったので、スタンダードも変わったなぁと実感する。
この空いた2枚の枠には疑似「X呪文」であり、巨大な飛行クリーチャーに繋がる《サメ台風》を採用している。
サイクリングで{X}{1}{U}を支払うことでX/Xのサメ・トークンを生成する。これであれば隙なく相手のターン終了時に巨大なクリーチャーを展開してプレッシャーをかけられる。プレインズウォーカーへ殴りかかったり、相手の攻撃後にサメが飛び出してブロックなど、除去的にも使えるのが強みだ。
サイクリング能力は呪文を唱えるわけではないので、《時を解す者、テフェリー》を相手がコントロールしていても問題なく好きなタイミングでサメを出せる。このデッキもテフェリーを出して相手の妨害を食い止めて大技に繋げるデッキだが、このサメを採用することでテフェリー合戦で負けることのないようにしているのだ。まあ要するに、テフェリー超強いってこと。
優秀なカードで固められてあり、従来のランプとは異なり軽快に動いてくるバントはかなりの脅威だ。プレイヤーズツアーでもかなり多くのプレイヤーがこの安定感のあるデッキを選択していた。爆発的な刺激は控えめかもしれないが、着実に勝ちたい時にはコレだろう。
『基本セット2021』参入後には《精霊龍、ウギン》という大技が入ってくる。《崇高な天啓》なんかも面白い。土地を並べる手段には《耕作》《迷える探求者、梓》が追加される。ランプのデッキパワーはより高まるか? 次期スタンダードでも無視できない存在になりそうだ。
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