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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
のけ者ルーカの仲間たち(スタンダード)
《銅纏いののけ者、ルーカ》はその名の通り、銅纏いの一員であった。
イコリア次元の聖域であるドラニスを怪物の攻撃から防衛する軍団、それが銅纏い。怪物と戦う立場だったルーカだが、見張りの任務中に有翼の猫の怪物と遭遇。その時、彼はそれを倒すべき化け物としてではなく、野生の美しさを持った獣だと感じた。そしてこの獣との間に友情を築き、彼はこの次元で眷者と呼ばれる、怪物と強い結びつきを持った者となった。これはドラニスにおいては人間を裏切ったとみられる行為であり、彼はのけ者となったというわけ。
狩る側から、ともに戦う側への転身はなんとも胸が熱くなる展開であり、『イコリア』の背景ストーリーにうってつけの主人公と言えるね。
このルーカをカード化した《銅纏いののけ者、ルーカ》。
その能力は眷者らしくすべてクリーチャーと結びついたものになっている。クリーチャーが採用されていないデッキでは彼の能力は発揮できないので、デッキを選ぶカードではある。だが恒常的にアドバンテージをもたらす[+1]能力、起動できれば勝負アリの大ダメージを弾き出す[-7]能力と魅力的なデザインであることには違いない。
そんなわけで、現在ルーカが活躍しているのはクリーチャーてんこ盛りのデッキ……と言いたいところだが、事実は大きく異なる。クリーチャーがほんのわずかだけ採用されたデッキにて存在感を示している。おいおい矛盾してないか、と思われるかもしれないが……答えは[-2]能力にある。
青赤白、ジェスカイカラーのルーカデッキの登場だ。
2 《島》 2 《山》 3 《平地》 4 《蒸気孔》 3 《天啓の神殿》 4 《神聖なる泉》 4 《聖なる鋳造所》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 4 《アーデンベイル城》 4 《寓話の小道》 -土地(36)- 4 《裏切りの工作員》 -クリーチャー(4)- |
4 《海の神のお告げ》 4 《メレティス誕生》 3 《太陽の神のお告げ》 4 《創案の火》 4 《空の粉砕》 4 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 4 《銅纏いののけ者、ルーカ》 1 《太陽の宿敵、エルズペス》 -呪文(40)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》 -相棒(1)- 2 《夢さらい》 4 《鍛冶の神のお告げ》 2 《霊気の疾風》 4 《神秘の論争》 2 《轟音のクラリオン》 -サイドボード(14)- |
デッキにクリーチャーは計5枚のみ、しかも1枚は相棒である《空を放浪するもの、ヨーリオン》……ということでライブラリーの中には4枚の《裏切りの工作員》のみが鎮座している。(サイドボードには他に《夢さらい》がいる。)
しかしこれが強い、これでこそ強いデッキなのだ。ルーカの[-2]能力はクリーチャーを1体追放し、その後それよりも点数で見たマナ・コストの大きいクリーチャーが公開されるまでライブラリーを公開し続け、その公開されたクリーチャーを戦場に出す。いわゆるマナ・コスト踏み倒し系能力だ。
各種トークンを生成するカードと工作員のみのデッキを作ることで、ルーカの能力から100%工作員を戦場に出す。これがこのデッキの勝利へのシナリオだ。パーマネントカードが強いこの時代、それらを奪える工作員は最大最強の化け物なのである!(人間だけども)
このデッキはどっしりと戦うコントロールだ。対戦相手がこちらを攻めようと展開してくるものをあの手この手で妨害する。
《空の粉砕》《エルズペス、死に打ち勝つ》でパーマネントに対処、
《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》で行動を大きく制限し、
また《メレティス誕生》《太陽の神のお告げ》《太陽の宿敵、エルズペス》《アーデンベイル城》などトークン生成カードが相手の攻撃をブロックする壁役としても機能する。
こうしたカードで粘って、体制が整ったら今度はトークンを餌にルーカから工作員で反撃開始だ。この過程でヨーリオンを出撃させ、各種パーマネントを出し直して再利用しても良いし、グッと我慢して工作員が出てからそれを使いまわして大暴れってのも良い。
また、重めのカードで形勢逆転を狙うのを《創案の火》で大きくサポートする。「ジェスカイ・ヨーリオン・ファイアーズ」が大きく下地になっているデッキだ。いざって時にはヨーリオンをルーカで追放するという選択肢もあるね。
このデッキのルーカ工作員以外の勝利手段は……インパクト満点の《サメ台風》!
序盤はサイクリングしてしまっても良いし、その際にトークンを作ってルーカの餌にするというのも有用だ。だがこの重いエンチャント、ひとたび戦場に出てしまえばそれはもう鬼神の如き強さを発揮する。あらゆる非クリーチャー呪文にオマケのサメ・トークンがついてくる。このデッキには40枚もの非クリーチャー呪文が入っているので、何かアクションをすればうじゃうじゃと台風の中からサメが飛び出し、敵陣に突撃していくことになる。荒唐無稽に見えてただただ実直に強い、これぞフィニッシャーと呼べる1枚だ。まだこの衝撃を未体験のプレイヤーにはぜひとも味わっていただきたい。
相手の攻撃をはじき返す力に優れ、パワーカードをバンバン叩きつけるロングゲームの王者的なデッキである「ジェスカイ・ルーカ」。マジックフェスト・オンラインの各種トーナメントでも優勝したりとその存在感を大きくアピールしており、プレイしてみたいと思ったプレイヤーは少なくないだろう。
最後に1つだけ、これからルーカと工作員で気持ちよくなろうというプレイヤーに向けて注意を。ルーカの能力を勘違いしてはいけないぞ。このデッキが世に姿を現した後の2日間ほどは、ランク戦でとにかくこのデッキに当たったものである。そして多くのプレイヤーがある失敗をして、その場で投了していくという光景を目にした。
その失敗とは「ルーカの[-2]能力で工作員を追放する」というアクション。一見、工作員をおかわりして圧倒的優位に立てそうに見えるが、ルーカの能力はあくまでも追放したもの「よりも大きい」コストを持ったクリーチャーを探してくるというもの。同じコストのカードは見つけられないので、ただ工作員を失うだけになってしまう。工作員の出し合いになるルーカデッキのミラーマッチでこれをやってしまい、何も起こらないことに「…」となった後にすべてを察して投了していくプレイヤーの姿を目に焼き付けて、僕も「自分のデッキに入れるカードはよく読む」ということの意味を再認識したものである。これさえケアすれば、ルーカは君に勝利への糸口を与えてくれるはずだ。
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