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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

不気味なウモーリを信じろ? 黒単信心(スタンダード)

岩SHOW

 『イコリア:巨獣の棲処』のプレビュー初日、日本時間では深夜ではあったが、ゴジラ効果もあってそれはもう大いに盛り上がったものだ。

 新メカニズムである「相棒」は、パッとカードを見てどのようなデッキが組めるのかすぐには浮かばず、強いのかどうかわからなかったが……その答え合わせは済んだようだ。ルールスジャイルーダと、これまでになかったようなデッキの動きを可能にするカードが人気を集め、他の相棒たちもデッキが作られて活躍中だ。

 個人的には最初に公開された相棒の1つである《集めるもの、ウモーリ》が気になった。

 デッキ内のカードタイプを土地以外に1種類限定とすることで使える相棒で、選んだカードタイプのコストが{1}軽くなるという能力を持っている、本人も4マナ4/5と良サイズであり、土地以外クリーチャーのデッキであれば現実的に組みやすく、どのように勝つかもイメージがしやすい。

 ただ、こんなドロドロのウーズが相棒ってどうなんだ?とね(笑)。後にイコリアでは怪物と人間がエルーダという特別な絆で繋がるということを知り、余計に不気味に思ったもんだ。こんな形も定まっていないやつに通い合う心なんかそもそもあるのか?と。

 ビビアンのフィールド・レポートを読むと、ウモーリはイコリアの大地に生える結晶を抜き取っては自分の身体に突き刺しているらしい。本来イコリアの結晶は地面から引き抜かれると成長が止まるのだが、ウモーリの身体に刺さった結晶は不思議な力によって成長を続け、その見た目は天然のライトショーのようだという。このウモーリとエルーダによって結ばれて相棒になると、この行動の意味も理解できるようになるってこと……なのか?

 とりあえず害をなすものではなさそうなので、ビビアンの言葉を信じてデッキを作ってみたのだが……ウモーリ、なかなか楽しいね。まずは緑単で使って《巨大猿、コグラ》を速く出すデッキを作ってみたのだが、コグラのパワフルさも相まって腕白なアグロデッキを組むことができた。

 今日紹介するのは2つ目に組んでみたウモーリデッキだ。このウーズは緑であると同時に黒でもあるので、緑単の次は黒単! 黒単といえば、前環境でも信心デッキを組んで楽しんだものである。《アスフォデルの灰色商人》のコストが軽くなる? そいつぁいいねぇ。

 というわけで、実際に遊んでみたリストがこちら!

岩SHOW - 「黒単信心」
スタンダード (2020年4月)[MO] [ARENA]
19 《
4 《ロークスワイン城

-土地(23)-

4 《囁く兵団
4 《悪魔の職工
4 《忘れられた神々の僧侶
3 《ラゾテプの肉裂き
2 《ヤロクの沼潜み
4 《悲哀の徘徊者
3 《真夜中の死神
2 《残忍な騎士
1 《ロークスワインの元首、アヤーラ
1 《夢の巣のルールス
4 《悪夢の番人
4 《アスフォデルの灰色商人
1 《夜の騎兵

-クリーチャー(37)-

-呪文(0)-
1 《集めるもの、ウモーリ

-相棒(1)-

2 《夢の巣のルールス
2 《残忍な騎士
1 《虐殺少女
4 《墓掘りの檻
4 《ぬかるみの捕縛
1 《無情な行動

-サイドボード(14)-

 「黒単信心」は主にクリーチャーを戦場に並べ、黒の信心(パーマネントが持つ{B}の数)を稼いだら《アスフォデルの灰色商人》を戦場に出す。

 商人の能力で信心分相手はライフを失い、こちらは回復する。これにより相手のライフをごっそりと削り取って勝つわけだが、この戦術はクリーチャーのみでもなんら問題なく機能するので、ウモーリを相棒にして思い切った構築に至ったというわけだ。

 デッキとしては信心を稼ぐのと同時に、自分のクリーチャーを生け贄に捧げるという矛盾したようなもう1つのテーマを抱えている。これは《悪夢の番人》がいるからこそ。

 番人は自身のクリーチャーが死亡した際に、そのコピーである1/1のトークンを生成する。これは自分の生け贄によっても誘発するので、パーマネントの数を減らすことなく、生け贄に捧げた際のメリットのみを享受できるのである。

 《忘れられた神々の僧侶》《悲哀の徘徊者》と生け贄デッキのお馴染みのメンツに加えて、《ロークスワインの元首、アヤーラ》も用いる。

 これらのクリーチャーで生け贄に捧げて最も嬉しいのは……もちろん灰色商人。商人登場→能力で相手大量ライフ喪失→商人生け贄で番人の能力で再登場→フィニッシュ!というのがこのデッキの理想のゴール。

 そこに至るまで《囁く兵団》《ラゾテプの肉裂き》などの1枚で複数体の生け贄役になれるカードで繋いでいくのである。この展開をウモーリで助けるわけだ。

 クリーチャーだけでも《残忍な騎士》や《夜の騎兵》がいるので除去もできるし、なんとかなるものである。

 ただ、サイドボード後は相手によってこれを増やしたくなるもの。そんな時のために、サイドボードにはクリーチャーでない除去も用意している。ウモーリは、って? そう、相棒から外れてもらうのだ。ほら、いつも一緒なのが仲間ってわけじゃないって言うじゃないか。真の相棒だからこそ、いざという時は思い切ってその座を降板していただくのだ。

 で、サイド後にはメインにも1枚仕込んでいる《夢の巣のルールス》を増量し、《ぬかるみの捕縛》を墓地から唱えなおすのを繰り返し、相手の盤面からクリーチャーを根絶やしにするプランを用意している。

 《ヤロクの沼潜み》《悪魔の職工》なども墓地から唱えられるので、消耗戦になりそうな相手にもルールスプランは有効だ。

 また、最近流行りのライブラリーや墓地からクリーチャーを出したり呪文を唱えたりするデッキたち(ルールスジャイルーダウィノータなど)相手には《墓掘りの檻》で対抗しよう。

 このカード、相手はメインでこちらがウモーリを用いるクリーチャー単デッキを使っているのを見ているので、それほど警戒されずに突き刺さる可能性が高い。そういった、見えているものと見えていない情報を巡る駆け引きは、相棒デッキならではの楽しみ方だね。

 人は見た目で判断できないと言うが、相棒クリーチャーもそのようで、一番不気味なウモーリは妙にデッキを作りたくなる魅力を放っている。『イコリア』シーズンはこれを使うデッキを量産してしまいそうだ。皆も一度使ってみて、しっくりくる相棒を見つけてやろう!

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