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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ディミーア&青単フラッシュ:瞬速時代の到来か(スタンダード)

岩SHOW

 『イコリア:巨獣の棲処』ではさまざまな新しいメカニズムを持ったカードが目立っているが、ごく基本に立ち返ったカードも含まれている。

 代表的なのは2色のキーワード能力サイクル。カード裏面のデザインに描かれた、色を示すシンボル。これが並び合う色は友好色と呼ばれ、共通点を持っていたり、お互いに出来ないことを補ったりと相性が良い。『イコリア』では友好色の組み合わせ5グループに、それぞれが得意とするキーワード能力に関するカードが割り当てられた。混成カードのアンコモン、○○眷者というカード名の人間たちはそれぞれの2色が得意とするキーワード能力の価値を大きく高める。

 これらの中でも最もコストが軽いことで構築シーンでの活躍が予感されたのが《狡賢い夜眷者》。

 2マナでマナ加速兼打ち消し無効という思い切った瞬速強化は注目を集めた。これを軸に青と黒の瞬速持ちを結集させたデッキを紹介しよう。

chicagofan - 「ディミーア・フラッシュ」
MagicFest Online Monday, April 20 — Qualifier 2 (5勝) / スタンダード (2020年4月20日)[MO] [ARENA]
10 《
6 《
4 《湿った墓
3 《欺瞞の神殿
1 《ヴァントレス城
1 《ロークスワイン城
-土地(25)-

4 《幽体の船乗り
4 《塩水生まれの殺し屋
4 《狡賢い夜眷者
4 《厚かましい借り手
4 《海駆けダコ
4 《滑りかすれ
2 《大食の巨大鮫
3 《メア湖の海蛇
-クリーチャー(29)-
4 《火消し
2 《無情な行動
-呪文(6)-
3 《見栄え損ない
2 《軽蔑的な一撃
2 《否認
1 《無情な行動
1 《思考消去
3 《神秘の論争
3 《虚空の力線
-サイドボード(15)-
mtggoldfish より引用)
 

 青にはもともと、《幽体の船乗り》《塩水生まれの殺し屋》《厚かましい借り手》と優秀な瞬速持ちが揃っている。

 それらを《狡賢い夜眷者》でバックアップするだけでも強力だが、さらに『イコリア』からの新戦力として青と黒の瞬速持ちを総動員している。

 夜眷者とともにその構築を後押ししているのが《滑りかすれ》。

 瞬速を持つカードを唱えると1枚ドローと相手が1点ライフを失うという大盤振る舞い。これにより、相手のターンにクリーチャーを唱えてはカードを引いて、尽きない手札で隙の無い攻勢を仕掛けることが可能となりデッキが成立した。

 このカラーリングには珍しく、クリーチャー呪文がデッキ内に占める割合が圧倒的に大きい。クリーチャーでガンガンと攻め立てるアグレッシブなデッキだ。

 基本的には自分のターンにはカードを引いて土地を置いて、攻撃したらターン終了。後は相手のターンに構えて、何かあれば《火消し》や《大食の巨大鮫》で打ち消したり、借り手の出来事や《無情な行動》でクリーチャーに対処したり。

 何もなければ相手のターン終了時に瞬速持ちを唱えて、無事に次の自分のターンを迎える。ターン終了時に展開することで相手のソーサリー除去を避けつつ1回は攻撃し、最低限の働きはさせようというわけだ。

 このリストでは採用されていないが、《哀歌コウモリ》も除去であり飛行を持った打点でもあり、縦横無尽の活躍を見せてくれる1枚となるだろう。

 《滑りかすれ》とともに《海駆けダコ》も手札補充に大いに役立ってくれる。

 単体で使っても良いが、攻撃が通ったクリーチャーに変容させることで気持ちよくカードが引けることだろう。

 こうしてキッチリとドローを重ねることで、毎ターン土地を置きながらもクリーチャーでプレッシャーをかけるという理想の動きが可能に。一見重たく使いにくそうな《メア湖の海蛇》もこれらのドローにより供給される土地と夜眷者のコスト軽減によりスムーズに戦場に降臨し、ブロック不可となる能力でとどめの一撃を担ってくれるだろう。

bobjackson - 「青単フラッシュ」
Magic Online Standard Challenge #12138062 5位 / スタンダード (2020年4月19日)[MO] [ARENA]
20 《
2 《ヴァントレス城
-土地(22)-

4 《幽体の船乗り
4 《塩水生まれの殺し屋
4 《厚かましい借り手
4 《海駆けダコ
4 《石とぐろの海蛇
-クリーチャー(20)-
3 《選択
4 《本質の把捉
3 《火消し
2 《霊気の疾風
3 《神秘の論争
3 《中和
-呪文(18)-
3 《紺碧のドレイク
3 《墓掘りの檻
2 《霊気の疾風
2 《魔術遠眼鏡
1 《神秘の論争
2 《サメ台風
2 《影槍
-サイドボード(15)-
 

 オマケでもう1つ、こちらは青単。《大嵐のジン》と《執着的探訪》があった時代には隆盛を極めた青単色の攻めるデッキが《海駆けダコ》の登場で復活なるか?

 色的に除去はなく、より打ち消しに特化した形になる。隙を見つけて瞬速持ちをねじ込み、飛行で戦闘を制する形になるのでよりテクニカルなデッキとなっている。《海駆けダコ》のドローで打ち消しを常に手札を補充し、相手のアクションを完封して勝ちたい。

 《海駆けダコ》の変容と相性の良さから《石とぐろの海蛇》が採用されているのも特徴的だ。

 トランプルでダメージを通しやすく、また変容後はタコを上にすることで海蛇の+1/+1カウンターとタコの2/2でサイズアップできるってわけだ。

 《中和》のような扱いやすい打ち消しも加わったことで、《海駆けダコ》を用いる青いクリーチャーデッキ、《狡賢い夜眷者》&《滑りかすれ》で攻める「ディミーア・フラッシュ」などなど、インスタント・タイミングでの応酬を狙うデッキが増えてくる可能性がある。『イコリア』環境のスタンダード、相手が最もイキイキと動いてくるのはこちらのターンかもしれないぞ。

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