READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

きずなジャンド(パイオニア)

岩SHOW

 マジックには5つの色があり、色にはそれぞれにできることと、できないことがある。色ごとの機能や特徴を表現したものをカラーパイと言い、2色以上で重なる部分もあれば、単一の色にしかできないこともあったりする。まあ、どの色でもなんでもできるんだったら色が分かれてる意味がないもんね。

 独自性の高いカラーパイとしては「追加ターン」というものがある。「このターンに続いて追加のターンを得る」という効果を持ったカードは、赤に少しばかり存在するが、その大半は青のカラーパイだ。古の《Time Walk》から《運命のきずな》まで、追加のターンを得る青のカードはどれも強力なものである。追加ターンを得て勝つデッキを使いたければ、基本的には青いデッキを組むことになる。

 ……のだが、今日紹介するのは前回ラストでも触れたようにとんでもない角度から勝利する、一筋縄ではいかないデッキだ。青の力を一切借りずに追加ターンを連続して得る、そんな無謀とも思えるチャレンジを成功させた傑物、刮目せよ!

Zxrogue - 「きずなジャンド」
Magic Online Pioneer League 5勝0敗 / パイオニア (2020年3月11日)[MO] [ARENA]
5 《
1 《
1 《
4 《草むした墓
2 《森林の墓地
4 《花盛りの湿地
4 《踏み鳴らされる地
1 《根縛りの岩山
1 《ロークスワイン城
4 《寓話の小道
-土地(27)-

4 《樹上の草食獣
3 《森の女人像
4 《不屈の追跡者
3 《クルフィックスの狩猟者
1 《イリーシア木立のドライアド
3 《フェイに呪われた王、コルヴォルド
-クリーチャー(18)-
4 《創案の火
3 《ウギンのきずな
4 《大いなる創造者、カーン
4 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
-呪文(15)-
1 《ダークスティールの城塞
1 《歩行バリスタ
1 《トーモッドの墓所
1 《真髄の針
2 《軍団の最期
1 《減衰球
3 《殺戮遊戯
1 《交易所
1 《ウギンのきずな
1 《王神の立像
1 《キランの真意号
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
-サイドボード(15)-
 

 黒赤緑のいわゆるジャンドカラー、赤は一応は追加ターン系のカードを有する色だが《最後の賭け》のようなリスキーなカードを用いようってわけではない。

 このリストをざっと見ると、《樹上の草食獣》《創案の火》《ゴルガリの女王、ヴラスカ》《フェイに呪われた王、コルヴォルド》と、スタンダードでもよく見るカードが並んでいる。《不屈の追跡者》《クルフィックスの狩猟者》など往年の名カードの姿も。

 そこに混ざって…ん?となる1枚が《ウギンのきずな》。

 プレイヤーが追加ターンを得ることを防ぐアンチカードでありながら、これが墓地に落ちた時に代わりに追放することで追加ターンを得られるという、かなり特殊な挙動を見せるカードだ。このアーティファクトを墓地に落とすには破壊するか生け贄に捧げれば良いのだが……そう、そこで《ゴルガリの女王、ヴラスカ》《フェイに呪われた王、コルヴォルド》で生け贄に捧げることで追加ターンを得ようってわけだ。《ウギンのきずな》もこれらのカードもコストが重めなので、同一ターンに2枚唱えられるように《創案の火》ってわけだな。なるほどな~。

 いやちょっと待とう。生け贄で追加ターンというのは楽しいだろうが……ただ1ターンを得るだけってのはなんだかパンチに欠けるのでは、と思ってしまうのが人情。得たターンで決着がつけられれば良いのだが、それほど猛攻を仕掛けられるような構成にもなっていないし……という疑問を解決するのが《大いなる創造者、カーン》。

 この手のデッキのお約束とも言える、アーティファクトをサーチする1枚。このデッキでもサイドボードから《ウギンのきずな》を引っ張ってくることでメインデッキの枚数を水増ししてくれる……だけではない。カーンの[-2]能力はサイドボードからだけアーティファクトを持ってくるものではない。追放領域からも持ってこれるのだ。追放、すなわち自身の能力で追放された《ウギンのきずな》を回収して再使用可能ということだ。

 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》は生け贄を重ねればどんどんとサイズも上昇していくので、きずなループの中で3回ほど殴れば対戦相手をノックアウト可能だろう。一度動き出したらノンストップ、この使用感は他のデッキでは味わえない独自性の強いものになっている。よもや対戦相手も、このカラーリングのデッキ相手にターンを得られ続けて負けるなんてことは考えもしないはずだ。

 デッキを円滑に動かすための《創案の火》の採用により、そのポテンシャルを爆発させるカードが《不屈の追跡者》だ。

 土地を置くと手掛かり・トークンを生成し、それを生け贄に捧げてドローする。本人のサイズもアップして打点が増す。引いてきた手札を使うのは《創案の火》のおかげでマナが不要なので気兼ねなく起動して手札を満たし、コンボパーツをかき集めよう。手掛かりを生け贄に捧げることで《フェイに呪われた王、コルヴォルド》の能力も誘発し、1つで2枚ドローという爆発的なアドバンテージも得られる。これできずなやカーンを引き込んで、ループを途切れさせないようにするってわけだ。

 マジックにおいて一番やってはならないことは、決めつけること・思い込むこと。相手の土地からデッキ内容を判断するのは大事なことだが、こんなことが起こるはずがないと油断しているととんでもない角度からの勝利を決められてしまうぞ。まあ、警戒したところでこんなデッキは知らんわい!ってなものなんだけどね(笑)。いわゆる「わからん殺し」ってやつで、ネタが割れればどこを気を付けるべきか対策を練られてしまうが、初見の相手は翻弄してしまえるだろう。

 たまにはこんなデッキで暴れてみるのも、マジックの楽しさを拡げられて良いものだよ。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索